「ITパスポート試験」は、「ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験」です。社会人として、ITと経営全般に関する総合的知識は不可欠ですから、企業においては社員の人材育成に幅広く活用され、採用活動においても注目を集めています。
試験範囲はテクノロジ系(IT技術)だけでなく、ストラテジ系(経営全般)とマネジメント系(IT管理)の分野を含みますので、幅広い勉強が必要です。そして、合格基準は「総合評価点を1,000点満点としたとき600点以上」だけでなく、「3分野の分野別評価点がいずれも1,000点満点中300点以上」という基準も設けられています。したがって、この試験に合格するためには、万遍なく得点する必要があり、言い換えると不得意分野を作らないという作戦が必要になります。
ということは、参考書のみを読んで理解したつもりでいると、思わぬ失敗をする危険性が多分にあるということです。総合得点では合格点に達していたのに、特定の分野で合格基準を下回ったために不合格になったというのでは後悔だけが残ります。これを避けるためには、質の良い問題集で、確実に実力をつけることが大切です。
本書の目的は、皆さんに「ITパスポート試験」に合格していただくことです。近年のDXの推進やAI、ビッグデータ、IoTなどの新技術は、私たちの生活を一変させる勢いで進化しています。2023年8月には、生成AIの仕組みや活用例などが追加され、近年の動向を踏まえた用語の整理がなされ、新しいシラバスが公表されました。私たちは、これらの改訂も織り込み、「ITパスポート試験」の傾向と過去の出題問題を研究し、検討を重ね、必要かつ十分な問題を取り上げて、本書を作成しました。
テーマ問題では、左ページに問題を、右ページには問題の解答・解説のみならず、そのテーマ周辺の知識を簡潔に記述しています。左ページの問題が解けるようになったら、右ページの周辺知識も確認しておいてください。右ページの内容も出題される可能性が高いからです。また、模擬試験問題は、本試験のつもりで、ぜひ時計を横において時間配分を考えながら、解いてみてください。
本書を使って実力を養成された皆さん全員の合格を、心から祈っております。