未来エコ実践テクノロジー 図解でわかるカーボンニュートラル×国際標準化 ~脱炭素産業で生き残るためのルールメイクとルール優位性戦略⁠~

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著者
筒井潔つついきよし 編著
苑田義明そのだよしあき角田弘子つのだひろこ 共著
定価
2,970円(本体2,700円+税10%)
発売日
2025.11.6
判型
A5
頁数
272ページ
ISBN
978-4-297-15188-1

概要

海外では組織経営をする上で、カーボンニュートラル、ESGやSDGsといった国際アジェンダの達成が重視され、二酸化炭素換算 (CO2eq) や再生資源の利用状況などの非財務情報を、製品出荷時にデジタルデータとして発行することが国際的に義務付けられつつあります。そのため、国際法・欧州法と国際標準 (ISO) を組み合わせ、さらにデジタル化した制度として、整備されつつあります。今後、国内や海外で商品を市場投入する際の鍵となる、国際標準を含むルールを自社のデータ戦略に組み込みながら、拡大しつつあるデジタル経済圏へどのように参加してゆくのか、その実践方法を詳しく解説します。

こんな方にオススメ

  • 国際標準化(ISO)などの国際アジェンダにのっとったカーボンプライシングのルールを、自社の製品に組み込みたい技術者・産業関係者
  • SDGsを進める企業でカーボンニュートラルの達成度を測りたい人

目次

第1章 カーボンニュートラルの達成度を測る背景

  • 1.1 カーボンニュートラルとCO2排出権の金融化
  • 1.2 金融と環境問題
  • 1.3 カーボンニュートラルとSDGsの国際標準化
  • 1.4 SDGsは普遍的目標なのか
  • 1.5 日本とEUのカーボンニュートラル政策の比較
  • 1.6 EU気候法とは何か
  • 1.7 達成度を数値化する意義
  • 1.8 気候変動対策で活用されるビッグデータ
  • 1.9 カーボンニュートラルとミンスキー・モーメント

第2章 ルールフレームワークの基礎と国際標準の役割

  • 2.1 ルール優位性が必要とされる理由
  • 2.2 世界貿易機関のTBT協定とGP協定の役割
  • 2.3 国際標準化組織ISOとIECの役割
  • 2.4 マネジメントシステム規格の役割とビジネス戦略
  • 2.5 国際標準化での「水平標準」と「製品標準」の区分け
  • 2.6 標準の新潮流 IEC/ISO SMART
  • 2.7 先行する欧州ルールフレームワーク
  • Column1 EN規格の無償化を求める訴訟
  • 2.8 欧州の標準化への動き
  • 2.9 独自路線を進むアメリカルールフレームワーク
  • 2.10 欧米に後れをとる日本のルールフレームワーク

第3章 カーボンニュートラルのルールフレームワーク

  • 3.1 国際アジェンダ京都議定書とパリ協定の誕生
  • 3.2 温室効果ガスの種類とGHGプロトコル
  • 3.3 国際アジェンダと国際標準の連携
  • 3.4 ロンドン宣言とESGの関係
  • 3.5 SDGsとISOの標準化による企業経営への影響と課題
  • 3.6 国際アジェンダから地域・国家ルールフレームワークへ
  • 3.7 改正エコデザイン規則
  • 3.8 デジタル製品パスポート
  • 3.9 DPPシステムの標準化要求と整合規格
  • 3.10 DPPをめぐる覇権争い

第4章 カーボンニュートラルを支えるオントロジーとデジタル経済圏

  • 4.1 情報爆発で顕在化したデータ相互運用の必要性
  • 4.2 データ品質の劣化と相互運用の課題
  • 4.3 計算機が読み実行する新しい標準
  • 4.4 意味的データ相互運用性とオントロジー
  • 4.5 Industry 4.0の意味的データ相互運用性の歴史
  • 4.6 データスペースの取り組みへ
  • 4.7 相互運用性4層モデルでのCFPユースケース
  • 4.8 欧州主導のDPP実装フォーラムCIRPASS
  • 4.9 オントロジーとデジタル経済圏
  • 4.10 ルールが歪めるデジタル地勢とサイバー地政学

第5章 世界各国の事情をもとに日本が進むべき道

  • 5.1 デジタル経済圏が駆動する資本主義の変化
  • 5.2 サイバー空間を見える化する
  • 5.3 哲学の政治応用の例
  • 5.4 サイバーインテリジェンスと地政学
  • 5.5 サイバー空間における「部分」と「全体」について
  • 5.6 「近代の超克」と「自己の超克」
  • 5.7 日本が進むべき道について

プロフィール

筒井潔つついきよし

慶應義塾大学理工学部電気工学科卒、慶応義塾大学大学院理工学研究科電気工学専攻修士課程、博士課程修了。株式会社海野世界戦略研究所 (シンク&ドゥタンク、戦略コンサルファーム) 代表取締役

会長等を経て、アジアパシフィックコーポレーション株式会社 ( 永田町ロビー&コンサルティングファーム) 代表取締役社長。元・UK-Japan Corporation、Ltd. (国際ビジネスコンサルティングファーム) チェアマン。慶応義塾大学共生知能創発社会研究センター研究員。

苑田義明そのだよしあき

三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部DI戦略企画部。1964年広島県呉市生まれ。九州大学大学院工学研究科 (情報工学専攻) 修了。1989年同社入社。36年にわたり、発電プラント・船舶や航空機など同社製品の情報技術面での革新に従事。米ベンチャーとの現場向けウェアラブルコンピュータの共同開発、人間中心コックピット設計用シミュレータ開発、各種防衛関係製品開発、直近ではSpaceJetプログラムの型式認定業務に取り組んできた。現在はオントロジー技術と意味的データ相互運用に関する国際標準開発を通じた事業競争力向上のため、ISO産業データ委員会(ISO/TC 184/SC 4) やオントロジー委員会 (IEC/TC 3/SC 3D) など複数国際委員会のDeputyconvenor、Project leader、ExpertやLiaison、また一般財団法人エンジニアリング協会国際標準部会副部会長を務め、日本をルールフォロワーからルールメイカーへと意識変革するルール優位性戦略を推進中。

角田弘子つのだひろこ

三重大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士 (医学) 。順天堂大学医学部衛生学講座協力研究員、同志社大学社会調査研究センター嘱託研究員、日本ウェルネススポーツ大学スポーツプロモーション学部教授。統計数理研究所国際比較調査班では生活・文化・健康等に関する意識調査に従事。