生物ミステリー(生物ミステリー プロ) なぜ人の体はこんなにつくりが悪いのか ーー2足歩行で起こった人体の不合理に迫ってみよう

「なぜ人の体はこんなにつくりが悪いのか」のカバー画像
著者
飯島治之いいじまはるゆき 著
定価
2,640円(本体2,400円+税10%)
発売日
2025.12.1
判型
A5
頁数
176ページ
ISBN
978-4-297-15319-9

概要

人類は、かつて四本足で歩いていました。ところが進化の途中で「立って歩こう!」と方向転換。両手が自由になり、火を扱い、文明を築く──大成功のように思えます。

けれどその裏側では、とんでもない“副作用”が起きていました。腰痛や膝痛はもちろん、出産だって命がけ。どうしてこんなに不便な体になってしまったの?

本書では、人類の体に潜む「進化のざんねんポイント」をわかりやすく解説します。知れば知るほど「なるほど、体の不思議ってそういうことか!」と膝を打つこと間違いなし。あなたの腰痛も、実は400万年前の大決断が原因かもしれませんよ。

こんな方にオススメ

  • 人間の進化について知りたい方
  • 人間の機能形態について関心のある方
  • 直立生物と四つん這い生物の差について知りたい方

目次

序章

第1章 人類への歩み

  • 地球の歴史にみる人類
  • 動物学的な視点で見る人類

第2章 人類と2足歩行

  • ・2足歩行の獲得
  • ・4足歩行と2足歩行の違い

第3章 骨格系にみる直立の影響

  • ・ヒトの直立のメリット・デメリット
    • シグモイドカーブを手に入れた 脊柱
    • Σカーブが喪失した 下肢骨
    • 上下が小さく、左右が広くなった 骨盤
    • 負荷が大きくなった 股関節
    • 荷重分散率の低下により負荷が増大した 膝関節
    • トラス構造を発達させた 足底

第4章 筋系にみる直立の影響

  • ・3種類の筋が存在する筋系
    • 捻じれた 大胸筋
    • 捻じれた 広背筋
    • 活用される機会が限定的になった 上腕三頭筋
    • 退化の途中? 長掌筋
    • 収縮力のロスが大きくなった 殿筋
    • 重力に抗って余分な力が必要になった 大腰筋
    • 小さく萎縮した 足底筋
    • 退化してしまった 胸骨筋

第5章 内臓系にみる直立の影響

  • ・食物を消化し、栄養を吸収する消化器
    • 胃下垂が起こりやすくなった 胃
    • 便秘の原因となりやすくなった 大腸
  • ・血液・リンパ液を循環させる循環器
    • 浮腫みの原因となりやすくなった 心臓・静脈

第6章 人体進化にみる不可思議さ

  • ・直立の影響でない人体の不可思議
    • 神経を引きずりながら後ろへ移動した 横隔膜
    • 不合理な迂回路を辿る 迷走神経
    • 光を直接的に感知できなくなった 松果体

第7章 人類のこれから

  • ・科学の利便性と脳
  • ・利便性が脳に与える影響

プロフィール

飯島治之いいじまはるゆき

北海道リハビリテーション大学校解剖学講師。

昭和54年3月北海道大学理学部卒業。同年4月東京女子医科大学解剖学教室。平成4年同教室にて博士号取得。平成16年同大学看護学部准教授に就任。平成24年了徳寺大学客員教授を経て現職。