Figmaは、製品を生み出すためのコラボレーションに特化したデザインツールです。Webアプリやモバイルアプリなどの画面設計やプロトタイピング、デザインシステムの構築など、デザイン制作はもちろん、ホワイトボードツールやAIを始めとするさまざまな機能のアップデートを重ね、今では、プロダクト開発におけるあらゆるシーンをカバーした、コラボレーションプラットフォームともいえるツールへと発展しています。
しかし、現在日本で刊行されているFigma関連書を見渡しても、チームのコラボレーションを主眼に置き、具体的な実践方法まで踏み込んだ書籍は多くありません。本書は、Figmaの初歩的なハウツー本というよりは、Figmaをコラボレーションツールとして捉え、チーム全体の生産性を高めるためのFigmaのベストプラクティスを解説する実践的なガイドとなっています。
この本は、主にミドルからシニアレベルのデザイナーやデザインエンジニア、そしてプロダクト開発におけるコラボレーションを追求したいという方を対象としています。具体的には、以下のような課題意識をお持ちの方々に向けて、Figmaを最大限に活用するための実践的な知識と具体的なアプローチを提供します。
- 開発チーム全体の生産性向上や、組織におけるデザインの価値発揮を模索しているリーダーポジションの方々
- 職種間のコラボレーションをさらに質の高いものにしたいと考えているプロダクトに携わる方々
- デザインシステムの構築と運用を通じて、一貫したユーザー体験と効率的なワークフローを実現したい方々
- Figmaの機能を深く理解し、自分の業務にどのように落とし込むべきかを探している方々
Figmaの基本操作や表面的な機能の学習についてはあまり触れませんので、デザイナー経験が少ない方やFigmaを使い始めたばかりの方にとっては、少し難しい内容かもしれません。しかし、本書はさらなる成長を目指す意欲的なジュニアデザイナーにとっても、将来のキャリアを形成するうえで必要な実践的かつ高度なFigmaの活用術を、デザインの壁を越えてコラボレーションするという考え方に触れながら、学ぶことができる内容になっています。
本書を通じて、Figmaをプロダクト開発における強力なコラボレーションの基盤として最大限に活用できるようになり、その結果として、より高品質なプロダクトを、より速く、そして何より楽しく創り上げていくための一助となれば幸いです。