著者の一言

「いいモノを作っているからもっと売りたい」
「事業の魅力を最大限に伝えたい」
「うまく資金調達をする方法を知りたい」

そんな希望を実現するには何が必要か。

私はこれまで投資銀行や外資系メンバーシップコンサルティングファームなどで17年間にわたり1,000社を超える起業家とお会いし、資金調達やIPO(新規株式公開⁠⁠、M&Aのご相談を受けてきました。

その現場で感じてきたのは、価値あるものほど既存の言葉やフレームワークからこぼれ落ちてしまう、という現実でした。

財務諸表には表れない魅力。
スライドに落とし込めていない、実現可能性のある未来。

そうした要素が企業の成長を押し上げ、企業の将来価値をご一緒に作っていく場面を、私は何度も目の当たりにしてきました。

「なぜ、どのくらい、どうやって伸びるのか?」

投資家も社員も本当に知りたいのは、そのストーリーです。
そこに共感が集まり、信用が集まり、お金が集まります。

幸運なことに、私は数多くの優れた起業家・経営者、VC・CVC、税理士・弁護士、各業界のレジェンドや、尊敬する上司、先輩、同僚、後輩の方々に恵まれました。これまでお世話になった皆様と、これから社会でさらに活躍される皆様にお返しできるよう、起業と経営を成功に導くノウハウを体系化したのが本書です。

本書では、価値をつくり、伝え、資金に変えるまでのプロセスを

「マーケティング」
「ストーリー」
「ファイナンス」

の3部構成で示します。

第1部では、売上につながる構成要素を分解し、価格以上の価値を生み出す方程式を獲得します。
第2部では、⁠人は論理で納得し、感情で行動する」構造を応用し、共感と応援を呼び起こすストーリーを作ります。
第3部では、6つの資金調達方法を組み合わせることにより、効率的なファイナンスを実現し、IPO/M&Aまでの戦略を描きます。

汎用的なフレームワークに加え、以下のようなエッジの効いたフレームワークもちりばめています。

  • 売上10倍の方程式
  • お値段以上を生み出す方程式
  • 投資家にMOTERUファクター
  • ミッションビジョンを生み出すABC
  • キャッシュフローを改善するクライアントファイナンス
  • 回転差資金を生む20のビジネスモデル
  • シナジーを生み出す3つのエンジン

起業家の方はもちろん、いつか起業することを考えている方、将来中小企業や大企業でリーダーになる方、すでに経営の第一線にいらっしゃる方、VC、CVCの方にとってもチェックリストとして使っていただけるでしょう。

課題を希望に変え、希望を売上に変える。

その仕組みを体系化した本書が、皆様の事業とお客様・社員の笑顔が溢れる将来にお役立ちできれば幸いです。

粂田将伸(くめだまさのぶ)

スタートアップ支援家/日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。

外資系メンバーシップコンサルティングファームにて,スタートアップの資金調達・M&A支援を統括。スタートアップ支援関連MVPを4回受賞。証券会社では投資銀行本部法人部門賞を受賞し,5万人規模の金融グループでビジョンを体現する5人のうちの1人に選出される。

強みは「マーケティング」「ストーリー」「ファイナンス」の3領域を行き来しながら①売上を伸ばす打ち手と②財務諸表に表れない魅力の言語化③成長資金の確保(資金調達/IPO×M&Aデュアルトラック)を1本の戦略に束ねること。起業家とともに問いを立て直し,起業からIPO/M&Aまで,企業のライフサイクルに応じてハンズオンで伴走し,多数の成功事例を生み出す。

中心となる問いは,次のとおり。

①マーケティング

  • ・いかにお値段以上を生み出すか?
  • ・売上を10倍にするには,今なにをすべきか?

②ストーリー

  • ・財務諸表に表れない当社の魅力をどう伝えるか?
  • ・スライドに落とし込めていない再現可能性のある未来をどう伝えるか?

③ファイナンス

  • ・資金調達をせずに,成長資金を確保できないか?
  • ・IPO×M&Aデュアルトラックによる資金調達額,売却額をいかに最大化させるか?

『起業家とつくった 起業の教科書』(日経BP),『スタートアップ法務』(中央経済社),旬刊『経理情報』(中央経済社)2022年11月20日号「スタートアップPMIを成功させるコツ」などへ寄稿。

滋賀県出身,近江商人。