工場、ビル、施設などの現場で電気関係の仕事を行う人には、「これはマスト」といえるような道具がいくつかあります。テスタ、クランプメータ、絶縁抵抗計、ワイヤストリッパ……。ここでは、なかでももっともメジャーといえるテスタをご紹介します。
テスタは一言でいうと、直流電圧、交流電圧、抵抗値などを測定するときに使用する計器です。よく使う機能として、電圧測定、抵抗測定(導通検査)があります。電圧測定はコンセントなどの電圧を確認したいときに使用し、導通検査や抵抗測定は回路が断線しているか確認したいときに使用します。
テスタにはデジタルとアナログの2種類があり、現在はデジタルテスタが主流です。図1は、日置電機製のデジタルテスタ・DT4224です。高機能なテスタには周波数、電流、コンデンサの容量測定機能が付いており、デジタルマルチメータ(DMM)と呼ばれています。
図1
交流電圧測定
コンセントの電圧をテスタで確認してみましょう。まず、ロータリースイッチを「~V」の交流電圧測定レンジにします(図2)。交流はプラス、マイナスの極性が関係ないため、赤色と黒色を気にせずにテストリードの先端をコンセントに差し込みます。表示された測定値を読み取ります。
図2
図3では102.7Vです。電気が来ている(電圧がかかっている)ことがわかります。電圧がかかっていないときの測定値は完全に0Vとはならず、0.88Vなどの低い値が出ることがあります。
図3
直流電圧測定
次に直流電圧測定です。パワーサプライの出力電圧を測定してみます。パワーサプライは、交流電源を直流電源に変換する、直流電源の供給を目的とした機器です。
ロータリースイッチを直流電圧測定レンジにします(図4)。赤色のテストリードの先端をパワーサプライのプラス側の端子に、黒色のテストリードの先端をパワーサプライのマイナス側の端子に接続します。テストリードの色を反対にすると、測定値がマイナス表示になります。
図4
表示された測定値を読み取ると、測定結果は24.14Vです(図5)。制御盤内に設置されているパワーサプライは直流24Vの機器がほとんどであるため、24V前後の値になります。
図5
本のご紹介:
いまご紹介したテスタの使い方は、書籍『電気エンジニア1年目の教科書』の一節を抜き出して、ぎゅっと圧縮したものです。『電気エンジニア1年目の教科書』は、「製造業やビルメンテナンスの現場に配属されたばかりの若手電気エンジニアや電気を専門としない方々が、電気の基本を身につけ、現場で迷わず対応できる力を養うこと」を目的に執筆された本です。
この本の著者のシマタケさんは、現場に立ち続けて15年の現役電気エンジニア。人気ブログ&YouTube「電気エンジニアのツボ」の運営者としても知られており、電気エンジニアを目指す方や現場で働く初心者エンジニアの疑問や悩みに応える情報を発信しています。『電気エンジニア1年目の教科書』は、ブログ&YouTube「電気エンジニアのツボ」のわかりやすさを、そのまま紙のメディアに持ち込むことをコンセプトに作られました。『電気エンジニア1年目の教科書』にちょっと興味が出てきたという方は、「電気エンジニアのツボ」を覗いてみることをオススメします。