劇的に変化したソフトウェア開発の現場
十数年前まで、バージョン管理ソフトさえ導入していない開発現場も珍しくありませんでした。しかし現在ではその状況は一変し、Web企業だけでなく、銀行やメーカー、小売業といったあらゆる業界の企業が、ビジネスの中心にソフトウェアを据えるようになっています。そのような時代の開発現場において、大企業を中心にデファクトスタンダードとして選ばれているのがGitHub Enterprise
GitHubの思想とは
GHEについて解説する前に、まず
「プロジェクト」から「人」へ
従来の開発ツールでは、
「Pull Request」という発明
GitHubを象徴する機能がPull Request
GitHub Enterpriseは「統合開発プラットフォーム」
では、企業向けプランであるGHEは、個人で利用するGitHubと何が違うのでしょうか。一言で言えば、GHEは単なるバージョン管理ツールではなく、企業に必要なセキュリティと統制を備えた統合開発プラットフォームです。
鉄壁のセキュリティとガバナンス
企業利用で最も重要なのが
- 認証の強化:SAMLやLDAP、SCIMといった仕組みを使って、社内の社員データベースと連携したユーザー管理が可能です。退職者のアクセス権も自動的に停止できます。
- 監査ログ:
「誰が」 「いつ」 「何をしたか」 を詳細に記録し、監査やコンプライアンス対応を容易にします。 - 機密情報の保護:AWSのアクセスキーなどが誤ってコードに含まれた際、それを検知してブロックする機能や、OSSの脆弱性検知機能が備わっています。
開発プロセスの自動化
今やテストやリリースの自動化も欠かせない機能になっています。GHEにはGitHub Actionsが統合されています。外部のCIツールを導入しなくても、GitHubの中で
組織に合わせた柔軟な管理
数十人、数百人の開発者を抱える企業のために、OrganizationやTeamという概念があります。
しかし、いざGHEを導入するとなると
『GitHub Enterprise 設定・
本書の著者
池田尚史
ITコンサルタントとしてキャリアをスタート。その後コンサルタントからプログラマーに転身し、パッケージソフトウェア開発、Webサービス開発を経て、GitHub日本法人立ち上げなどに関わる。現在はStripeにてパートナーソリューションエンジニアとしてパートナー様の技術支援に従事する。著書に