書籍概要

知りたい!サイエンス

新しい自然免疫学
―免疫システムの真の主役

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概要

免疫システムは,「獲得免疫」系と「自然免疫」系に大きく分類することができます。侵入してきた病原体(抗原)に応じた武器(抗体)をつくり,次にその病原体がきたときに備えるしくみを「獲得免疫」,一方,マクロファージや樹状細胞などが病原体をのみこむ(たべる)しくみを,「自然免疫」と呼びます。20世紀の免疫学の主流は「獲得免疫」にあり,原始的とされていた「自然免疫」の研究はほぼ頭打ちとなっていました。しかしここ数年でその状況を覆した研究者がいます。それが審良静男です。本書は審良静男らの実績,研究にフォーカスしながら,現在にいたるまでの免疫学の歴史とともに,新たなる自然免疫システムについての考え方を解説していきます。

こんな方におすすめ

  • 免疫のしくみ,歴史に興味のある人
  • 生物やヒトのからだに興味のある人
  • 科学研究,サイエンス一般に興味のある人

目次

第1章 免疫学研究の夜明け

  • 1.1 “免疫”システムの本質を考える
  • 1.2 観察から始まった“免疫”
  • 1.3 獲得免疫の研究と私たち
  • 1.4 20世紀後半までの常識
  • 1.5 メチニコフと自然免疫
  • 1.6 ジェンナーと天然痘
  • 1.7 二人の巨人 パスツールとコッホ
  • 1.8 ベーリングの業績
  • 1.9 日本の免疫学の草分け,北里柴三郎

第2章 B細胞と抗体の多様性

  • 2.1 エールリヒの側鎖説
  • 2.2 免疫細胞の分類
  • 2.3 B細胞の発見
  • 2.4 B細胞とはどんな細胞か?
  • 2.5 抗体とはなにか?
  • 2.6 免疫グロブリンの性質

第3章 T細胞の多彩な働き

  • 3.1 T細胞の発見
  • 3.2 IgE抗体の発見
  • 3.3 アレルギーと抗体産生の関係
  • 3.4 T細胞の働き

第4章 敗血症と自然免疫学

  • 4.1 “眠りの森の美女”がかかった病気とは?
  • 4.2 敗血症の症状
  • 4.3 歴史に見る敗血症
  • 4.4 リムルス試験
  • 4.5 明らかになる敗血症の正体

第5章 新しい自然免疫学

  • 5.1 抗原提示細胞としての樹状細胞
  • 5.2 自然免疫研究の新しい展開
  • 5.3 遺伝子ノックアウト実験とは?
  • 5.4 新発見はショウジョウバエから始まった
  • 5.5 Tollとはどんなもの?
  • 5.6 Tollの構造

第6章 自然免疫の真の姿―審良静男研究室の成果を中心に―

  • 6.1 リポ多糖の受容体を巡って
  • 6.2 次々と明らかにされたTLRの機能
  • 6.3 さらに明らかにされた自然免疫の驚くべき姿
  • 6.4 自然免疫と獲得免疫を結ぶTLRの機能
  • 6.5 ガン免疫療法の謎とTLR
  • 6.6 TLRをはじめとする自然免疫システムの意味

第7章 生物の進化と免疫

  • 7.1 免疫も進化する
  • 7.2 軟体動物の免疫システム
  • 7.3 地球の支配者? 昆虫の免疫システム
  • 7.4 “われわれの親戚”ホヤの免疫
  • 7.5 獲得免疫への架け橋
  • 7.6 獲得免疫の起源を求めて
  • あとがきにかえて
  • インタビュー:審良静男「免疫学を学ぶ人たちへ」

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