概要
東日本大震災による原発神話の崩壊で,日本は原発にかわるエネルギーが求められています。再生エネルギー特別措置法案の施行が閣議決定されるなど,化石燃料(石油,天然ガス,オイルサンド,メタンハイドレート等)やウラン等の埋蔵資源を利用する原子力発電などの枯渇性エネルギーに代わり,太陽光,風力,波力・潮力,流水・潮汐,地熱といった再生可能エネルギーが注目を集め始めています。本書は今後のエネルギー資源として重要な意味をもつ自然エネルギーについてわかりやすく解説します。
こんな方におすすめ
- 再生可能エネルギー関連業務に関わる人,その方面の会社を目指している学生
著者から一言
本書は,別な業種から固定価格買取制度下の発電事業に参入してくる方々を念頭に置いて,あまり解説されることのない事業モデル,制度関連の手続き,ファイナンス(資金調達)面に焦点を当てて書いています。
目次
1章 再生可能エネルギーの基礎知識
- 1 新エネルギーと再生可能エネルギー
- 2 太陽光発電の基礎知識
- 3 風力発電の基礎知識
- 4 バイオマス発電の基礎知識
- 5 中小水力発電の基礎知識
- 6 地熱発電の基礎知識
- 7 その他の再生可能エネルギー
- 8 再生可能エネルギー固定価格買取制度
- 9 異業種参入が活発化
- 10 買取価格と買取期間
2章 固定価格買取制度下のビジネスの基本
- 1 固定価格買取の意味
- 2 系統連系協議
- 3 電気主任技術者の配置
- 4 資金調達の基本
- 5 コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンス
- 6 その他の資金調達形態
- 7 IRRの概念
- 8 IRRの意味と読み方
3章 太陽光発電事業の実務
- 1 初期設備投資
- 2 太陽光パネル①
- 3 太陽光パネル②
- 4 太陽光パネル③ パネル価格とIRRの関係
- 5 借地料① 借地料とIRRの関係
- 6 借地料② 借地料高騰への対策
- 7 用地選定の条件
- 8 日射による売上変動
- 9 用地の広さと出力の関係
- 10 農地転用の可能性
4章 風力発電事業の実務
- 1 事業リスクの高い風力発電
- 2 日本と欧州の風力発電
- 3 事業収支は風まかせ?
- 4 立地調査
- 5 風況調査
- 6 連系可能量の制約
- 7 風力発電の環境アセスメント
- 8 風力発電の適切なIRR
5章 地熱発電事業の実務
- 1 採算が取りやすくなった地熱発電
- 2 取り組みの歴史
- 3 地熱発電の買取価格
- 4 地熱発電のエネルギー源と発電のしくみ
- 5 地熱発電の課題
- 6 地熱発電のコスト
- 7 地熱発電開発のリードタイム
- 8 地熱発電の環境アセスメント
- 9 バイナリー発電の可能性
6章 バイオマス発電事業の実務
- 1 木質バイオマス発電は「量」との戦い
- 2 木質バイオマス発電は「ボイラー」が決め手
- 3 木質バイオマス発電の種別
- 4 木質系燃料 木質ペレットと木質チップ
- 5 バイオガス発電の基本
- 6 バイオガスでは発電量の見極めが重要
- 7 バイオマス発電事業の資金調達
- 8 自治体と連携する
サポート
正誤表
本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
(2013年6月6日更新)
P.143
図5-9-2のキャプションおよび同図右下の図版提供元の社名に誤りがありました。正しくは「富士電機株式会社」です。
関係者各位にお詫びするとともに以下のように訂正させていただきます。
誤 |
図5-9-2 富士電気システムズの地熱バイナリー発電設備(2,000kW)システム概要 |
正 |
図5-9-2 富士電機の地熱バイナリー発電設備(2,000kW)システム概要 |
誤 |
図版提供:富士電機システムズ株式会社 |
正 |
図版提供:富士電機株式会社 |