概要
生物は体内時計を持ち,約24時間のリズムをつくりだします。これは生き延びていくために獲得した生理機能です。生体には1日のリズムだけでなく,90分,3日,7日,1カ月,1年,10.5年などさまざまなリズムが組み込まれています。心筋梗塞が朝だけでなく夕刻や,月曜に多いことはご存知でしょうか? 体内時計の研究が進み,時間と病気との関係が明らかになってきました。本書では,生活習慣病から発がんまで,生体リズムの乱れがもたらす病気について,最新知見を紹介するとともに,健康を維持し病気を防ぐための考え方と対策を解説します。30年にわたる時間医学の研究の成果を紹介します。
こんな方におすすめ
- 体内時計を詳しく知りたい人
- 生物リズムについて興味がある人
- 生体リズムと病気の関係を知りたい人
目次
chapter1 生体リズムとは?
- 1-1 なぜ私たちは時計を見るのか?
- 1-2 体内時計の発見はいつ?
- コラム1 隔離実験室での生体リズム研究の先駆者,ナサニエル・クライトマン
- 1-3 生体時計研究の発展
- コラム2 生態学研究をさきがけた,エルヴィン・ビュニング
- 1-4 細胞に時計がある?
- コラム3 人を含む哺乳類の時計機構
- 1-5 生命にはなぜ生物時計が備わっているのか
- コラム4 夜時計が決める求愛行動
- 1-6 時間医学とは何?
- コラム5 測るたびに違う血圧にもサーカディアンリズムがある?
- コラム6 7日のリズムを提唱したハルバーグの盟友,ヒルデブラント
chapter2 時間と医学
- 2-1 「朝(4時~9時)」に起こる病気の仕組みと対策
- コラム7 地震と急死
- 2-2 「朝(9時~12時)」に起こる病気の仕組みと対策
- 2-3 「昼(12時~17時)」に起こる病気
- 2-4 「夕(17時~24時)」に起こる病気
- 2-5 「夜(0時~4時)」に起こる病気の仕組みと対策
- コラム8 薄明と薄暮
chapter3 親時計と子時計とは?
- 3-1 親時計(脳)と子時計(末梢の細胞)をつなぐ自律神経とは?
- コラム9 生体時計と記憶
- 3-2 第3の時計:腹時計
- コラム10 1日を奮い立たせるグレープフルーツと 健やかな眠りを誘うラベンダ
- コラム11 心を静めるトロイメライ
chapter4 時間構造とクロノミクス
- 4-1 宇宙のリズムと人のリズム
- 4-2 サーカディアンリズムとは周期が異なる様々なリズム
- 4-3 人の脳波と地球の脳波
- 4-4 90分は基本のリズム
- 4-5 1週間のリズムも生体リズム?
- 4-6 約1カ月のリズムをつくる潮汐リズム
- コラム12 四季を測る時計
- 4-7 リチャードソンの1・3年のリズム
- 4-8 太陽のリズム(シュワーベ周期とヘール周期)と生命活動のリズム
- 4-9 万葉人も知っていたのか? 人と宇宙との対話
- 4-10文化的活動にみられる500年の周期
chapter5 生体リズムが乱れると生活習慣病になる
- 5-1 生体リズムの乱れと高血圧
- 5-2 生体リズムが乱れるとメタボリック症候群になる
- 5-3 生体リズムが乱れると糖尿病になる
- 5-4 生体リズムが乱れるとコレステロールが高くなる
- 5-5 生体リズムが乱れると骨が脆くなる
- 5-6 時計遺伝子異常がもたらす様々な癌
- コラム14 交替制勤務と寿命
- 5-7 生体リズムが乱れると早期老化が起こり寿命が短くなる
- コラム15 老化を決める生体時計
chapter6 健康を維持し,病気を防ぐための考え方とその対策
- 6-1 不眠と不登校
- コラム16 時計を止める真夜中の光
- 6-2 不眠と慢性疲労症候群
- 6-3 不眠と生活習慣病
- コラム17 時計を惑わし,時差ぼけを誘う,時計遺伝子
- 6-4 生体リズムを整えると病気が治る
- 6-5 生体リズムを守るコツ 朝の日差しと朝食,そして夜のメラトニン
サポート
正誤表
本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
P.215 6行目
誤 |
生体リズムがみらなくなった動物です。 |
正 |
生体リズムがみられなくなった動物です。 |