概要
パソコンが外部から操られ,痕跡は残らない。
何が証拠なのかは教えてもらえない。
罪を認めないと,勾留延長,家族対策で自白を促す。
裁判になれば,99パーセント以上が有罪に。
家族の情報はネットでさらされ,瞬く間に拡散していく。
罪を認めず争えば,家族も本人もつらいだけ ――
パソコン遠隔操作事件を題材にした,あなたにも降りかかりうる災厄の物語。
【あらすじ】
父親が,ネットショップのサイトをハッキングして逮捕された ――
システム会社に勤務する石野拓巳が目の当りにした衝撃のニュース。警察に聞いても根拠は教えてもらえず,ソーシャルネットのアカウントが特定され「犯罪者の息子」として囃し立てられ,会社を休職せざるをえなくなった石野は,弁護士やサイバーセキュリティの専門家たちの力を借りながら,無実の人間が犯罪者に仕立てられる仕組みを解明しようとする。
潔白を主張する父親と家族を追い詰める,警察の驚くべきやり方とは?
インターネットの驚くべき実態とは?
真犯人の狙いどこにあるのか?
石野は父親の無実を証明することができるのか?
こんな方におすすめ
- ネットや社会の知られざる危険性に興味がある方
- パソコン遠隔操作ウィルス事件,Librahack事件に興味がある方
著者から一言
ネットの普及とともに急速に変化する世界。私たちは自覚なしに時代の曲がり角に向かっています。曲がった先になにがあるのかは,だれにもわかりません。
ひとつだけわかっているのは,そこにあるのは平和や繁栄ではないということです。混沌と破壊が次の時代を支配するテーマとなります。司法は混沌と破壊を食い止めようとしますが,もはやそれは不可能で,傷口を広げるだけです。
本書はフィクションですが,可能な限り現実に起こりうるものとして書いたつもりです。ここに書いてある技術,社会状況,制度は,私たちのリアルとほぼ同じです。だれでも主人公や登場人物と同じ境遇に陥る可能性があります。その現実を感じていただければ幸いです。