概要
人を動かすのに必要なのは,正しい論理ではなく,“カッコイイ”“おもしろい”“カワイイ”“たのしい”といった感情に訴えること。
玩具メーカータカラ(現タカラトミー)にてきせかえ人形リカちゃん事業部長,新規事業部長(バウリンガル)などを務めてきた著者が,脳が喜ぶビジュアルの法則から,心を揺さぶるストーリーの組み立て方,印象を自在に操るスライドの秘密,人を動かす話し方のポイント,そしてイメージを形にするPowerPointの使い方まで,聴き手の感情を動かすための原理やテクニックを集大成しました。
こんな方におすすめ
著者から一言
正しいことを言っても動いてくれない人の気持ちをどう動かすか
「喫煙者の肺がんの発生率は,非喫煙者の10~20倍になります。だからたばこをやめるべきです」
「糖分の取り過ぎで,世界で年間18万人もの人が病気を発症しています。だから糖分は控えるべきです」
どうですか,あなたはこの話を聞いて,禁煙したり,糖分を控えようとするでしょうか?
プレゼンテーションの目的は,聴き手に話の内容を理解してもらったうえで,実際に行動してもらうことです。ところが,人は理解しただけでは行動してくれません。「言っていることは正しいし,理解できるけれども,行動してくれない」ということは世の中にはたくさんあります。
私はおもちゃメーカーで企画・マーケティングの仕事をしてきましたが,おもちゃの世界では“カッコイイ”“おもしろい”“カワイイ”“たのしい”といった感情が商品評価のものさしでした。機能や価格が優れていても,「おもしろそう」「たのしそう」と感じてもらえなければ,おもちゃは買ってもらえないからです。
おもちゃ屋に勤めていた時代は,“おもしろい”“たのしい”を聴き手に感じてもらうためにどのようなアプローチをすべきかを考えてきました。「チョ~たのしい」とか「おもしろさ200%」という表現はありますが,どうも感情を客観的な数字に置き換えて伝えたり,論理的に説明することは難しそうです。その中で気がついたのは,「子どもたちが新製品でおもしろそうに遊んでいるシーン」や「キラキラとした目でキャラクターグッズを楽しそうに選んでいる子どものシーン」には聴き手は“おもしろい”“たのしい”を感じてくれるということでした。感情が表現されたビジュアルイメージには,感情を動かす力があるのです。
本書は,さまざまな試行錯誤を繰り返す中で,聴き手の感情を動かすために有効だとわかったビジュアルプレゼンテーションの原理やテクニックをまとめたものです。また,ストーリーづくりと話し方についても,「感情に訴える」という視点から解説しています。さらに,PowerPointでイメージを実現する方法までフォローしました。
本書があなたのプレゼンテーションの力を高める手助けになればうれしく思います。
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