書籍概要

組み立て×分解!ゲームデザイン
――ゲームが変わる「ルール」のパワー

著者
発売日
更新日

概要

ゲームの基本にある「ルール」に焦点を当てた,ゲームデザインの入門書。 お手本のない,オリジナルのゲーム作り。そこには,無数に思える選択肢があります。ゲーム作りは,どのように進めれば良いのでしょうか。本書では「アルゴリズム」「ルールの組み替え」「対称性」「自由と制約」という切り口のもと基礎事項から徹底解説。実在するシンプルかつ少し風変わりな例を用い,試行錯誤と決断の過程,考え方をたどりながら,ゲームを司るしくみを探ります。こんなゲームを作りたい!と思ったそのとき,ひらめきを形にするための秘訣が満載です。

こんな方におすすめ

  • どのような過程を経てゲームがデザインされているのかに,興味をお持ちの方々
  • 入門書などのお手本どおりのゲーム作りから,一歩先に進みたい方々
  • オリジナルのゲーム作りに関心をお持ちの方々(会社の研修でゲームを作る方/学校の卒業制作でゲームを作る方)

本書の構成

自分のゲームを作りたいと思うものの,入門書に載ったお手本の範囲から一歩抜け出せない人に向けて,本書は書かれました。シンプルで少し変わったゲームを作った際の過程を辿り,そこで利用した手法を解説することで,自分のゲームを作る際に,考え方の糸口として活用できる内容となっています。

第1章 ゲームデザインを行う前に

[キーワード]レベルデザイン,プログラミング,題材
ゲームの開発にはさまざまなプロセスが含まれていますが,本書の内容は,そのすべてを対象としたものではありません。本書では扱わなかった部分について,割愛した理由と共に,ゲーム開発における役割や,扱う際の注意点を解説します。

第2章 アルゴリズムからゲームを作る

[キーワード]アルゴリズム,予想外
ジャンルを決めてからゲームを作り始めるような,最初にプレイヤーの目的を決定する作り方は,完成形が見えやすい反面,その目的を意識するあまり,予想の範囲に収まってしまうことが起こりがちです。アルゴリズムという,通常ならば裏方となる部分からゲームを考え始めることで,その内容を,当初は予想しなかった方向へと導きます。

第3章 ルールを組み替えてゲームを作る

[キーワード]組み替え,単純化
新鮮さや奥深さを出すために,ゲームに新要素を追加することは珍しくありませんが,次第に複雑化して,理解の難しいゲームになってしまう危険性も忘れてはなりません。要素の削ぎ落としと追加を同時に行う,組み替えとも言える方法を用いて,そのような状況を避けつつゲームを再構築します。

第4章 対人ゲームから一人用ゲームを作る

[キーワード]対称性,アレンジ(翻案)
誰もが知っているほど良いゲームを参考にした結果,同様に参考にした誰かのゲームと,似通ってしまう可能性は否定できません。まだ手付かずで,それでいて良いゲームを見つけるために,ボードゲームをはじめとする対人ゲームにまで対象を広げて,一人用ゲームへの改変を強引に進めます。

第5章 自由と制約の関係を考える

[キーワード]自由と制約,視点の違い
行動の自由さはゲームの大きな魅力になりますが,使い方によっては,多過ぎる選択肢にプレイヤーが戸惑ったり,また,ゲームを台無しにする選択肢を作ってしまったりと,それは表裏一体の危険性とも隣り合わせです。ゲームとして成り立たせるための制約を与えた上で,自由さとも共存させる方法について考えます。

Appendix 基本用語の整理

サンプル

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目次

はじめに

本書の構成

プロローグ

目次

想定している読者と前提知識について

本書の補足情報について

第1章 ゲームデザインを行う前に

本書では扱わない内容

  • レベルデザイン
  • プログラミング
  • 良い題材の見つけ方

本書で扱う内容

本書における「ルール」の扱い

  • 現実のルールと,ゲームのルール
  • ルールの示す範囲

Column 不満と共感

第2章 アルゴリズムからゲームを作る

アルゴリズムとは何か

  • 単純なアルゴリズム
  • アルゴリズムが集まると
    • [Note&Rules]判定とゲームの関連性
      • 「ガールズモード」(GIRLS MODE)シリーズ/「シムシティ」シリーズ

ルールとアルゴリズム

    • [Note&Rules]知らないことは強みになるか
      • 『パックマン』/『塊魂』

「燃え広がる」アルゴリズム

    • [Note&Rules]セルオートマトン
      • 『ライフゲーム』(Conway’s game of life)

不完全は欠点か

    • [Note&Rules]ゲームとメディアアート
      • 『無限回廊』/『OLE Coordinate System』

プレイヤーへの制約を考える

  • 火をつける回数
  • 燃え尽きるまでの時間
    • [Note&Rules]身体性は,画面の外の戦略性
      • 『Touch the Numbers』/『ダンス・ダンス・レボリューション』/モグラ叩き

自機という制約

  • 自機の存在による制約
    • [Note&Rules]マップを変化させるアクションゲーム
      • 『QIX』/『ディグダグⅡ』

形状が生む制約

    • [Note&Rules]形状の向き不向き
      • 『テトリス』

循環する構造

    • [Note&Rules]循環型パズルの登場
      • 『Lot Lot』

難易度の変化に潜む問題

    • [Note&Rules]レベル内の難易度を保つ方法
      • 『スペースインベーダー』/『ギャラクシアン』/『ディグダグ』/『バブルボブル』

強制スクロールの力

    • [Note&Rules]スクロールの種類
      • 『スーパーマリオブラザーズ』/『パックランド』

スネークゲームという方法

    • [Note&Rules]潜むスネークゲーム要素
      • 『パックマン チャンピオンシップ エディション DX』/『Nimble Quest』

机上で済む部分,空論になる部分

    • [Note&Rules]ターン制の注意点

リスクとリターン

    • [Note&Rules]複数の目的
      • 『カタチのゲーム まるぼうしかく』/『燃やすパズル フレイムテイル』

Column 決めるのは誰か

第3章 ルールを組み替えてゲームを作る

足して作るか,引いて作るか

  • 先祖返る
  • 駄目になる
    • [Note&Rules]単純化とジャンルの誕生
      • タワーディフェンス/育成ゲーム/脱出ゲーム

組み合わさる要素

  • 撃つだけで,避けない
  • 避けるだけで,撃たない
    • [Note&Rules]避けないシューティングゲーム
      • 『ミサイルコマンド』/『クォース』/『パズルボブル』

緩急の作り方

    • [Note&Rules]位置による緩急
      • 『Qバート』

接触による影響

    • [Note&Rules]接触以外の影響
      • 『ORBIENT』/『メタルギア』

点・線・面

  • 空間を満たすもの
    • [Note&Rules]弾幕と点・線・面
      • 弾幕シューティング

ゲームとインフレーション

    • [Note&Rules]パズルゲームの難易度とインフレーション
      • 『くるくるアクション くるパチ6』/『パズルクエスト〜アガリアの騎士〜』

二種類の誘爆

  • 自分は巻き込まれない誘爆
  • 自分も巻き込まれる誘爆
  • 問題点を探る
  • 問題点のさらなる原因を探る
    • [Note&Rules]爆発の形
      • 『ボンバーマン』/『ちゃっくんぽっぷ』

パワーアップの意味

    • [Note&Rules]時間分割と空間分割
      • 格闘ゲーム

投機的要素の扱い

  • 柱の寿命を短くする
  • 爆発の発生条件を,柱と爆弾の接触に変更する
  • 柱は一定間隔で,強制的に立てるようにする
    • [Note&Rules]良い投機的要素
      • 『モノポリー』

慣性と操作性

  • 速度を出すことが有利になる
  • 画面端が活用しやすくなる
    • [Note&Rules]慣性の良し悪し
      • 『エクセリオン』

Column 否定的ノウハウ

第4章 対人ゲームから一人用ゲームを作る

スポーツと対称性

    • [Note&Rules]テーブルゲームと対称性
      • トレーディングカードゲーム/『スコットランド・ヤード』/『汝は人狼なりや?』

コンピュータゲームと対称性

    • [Note&Rules]想像力と妄想力
      • ブロック崩し/『スペースウォー!』/『コンピュータースペース』

勝ち負けの喪失と,その代替

    • [Note&Rules]クリアと手詰まり
      • 『ことばのパズル もじぴったん』/『Scrabble』/『ZOO KEEPER』

さらなる制約

    • [Note&Rules]循環型と圧縮型
      • 『Threes!』/『もうぢや』/『マネーアイドルエクスチェンジャー』

改良の果てに

    • [Note&Rules]許せるランダム,許せないランダム
      • ローグライク/ダイスロール/『マインスイーパ-』

ひとまずの完成と,本当の完成

    • [Note&Rules]成長要素の二つの役割
      • 「ペグソリティア」/『ハイドライド』

Column 二種類の企画書

第5章 自由と制約の関係を考える

分解されたルールが作るもの

    • [Note&Rules]分解されなかった部分の扱い
      • 『The Sims』

『パネキット』の内容

ゲームとしての自由

    • [Note&Rules]バランスとスケール
      • 『マインクラフト』

異なる視点

    • [Note&Rules]ゲームからツールへ
      • 『カルネージハート』/『ロードランナー』/『スーパーマリオメーカー』

自由が生む混乱

    • [Note&Rules]数値の力
      • 『どうぶつの森』

意識すること

Column 没企画の行方

おわりに

エピローグ

Appendix 基本用語の整理

索引

プロフィール

サポート

補足情報

(2016年2月24日更新)

本書関連のダウンロードページのご案内

著者の渡辺訓章氏による本書関連のダウンロードページは,次のとおりです。

P.84 『ORBIENT』項について

見出しおよび本文内で,欧米版のタイトル『ORBIENT』で掲載しておりますが,日本版のタイトルは『ORBITAL』になります。
リリース年などを含め,詳しくは以下のとおりです。

  • 『ORBIENT』(Nindendo,欧米版/2008)
  • 『ORBITAL』(任天堂,日本版/2006/2009)

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