組み立て×分解!ゲームデザイン
――ゲームが変わる「ルール」のパワー
2016年2月18日紙版発売
2016年2月18日電子版発売
渡辺訓章 著,やまい イラスト
A5判/208ページ
定価2,618円(本体2,380円+税10%)
ISBN 978-4-7741-7944-5
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書籍の概要
この本の概要
ゲームの基本にある「ルール」に焦点を当てた,ゲームデザインの入門書。 お手本のない,オリジナルのゲーム作り。そこには,無数に思える選択肢があります。ゲーム作りは,どのように進めれば良いのでしょうか。本書では「アルゴリズム」「ルールの組み替え」「対称性」「自由と制約」という切り口のもと基礎事項から徹底解説。実在するシンプルかつ少し風変わりな例を用い,試行錯誤と決断の過程,考え方をたどりながら,ゲームを司るしくみを探ります。こんなゲームを作りたい!と思ったそのとき,ひらめきを形にするための秘訣が満載です。
こんな方におすすめ
- どのような過程を経てゲームがデザインされているのかに,興味をお持ちの方々
- 入門書などのお手本どおりのゲーム作りから,一歩先に進みたい方々
- オリジナルのゲーム作りに関心をお持ちの方々(会社の研修でゲームを作る方/学校の卒業制作でゲームを作る方)
本書の構成
自分のゲームを作りたいと思うものの,入門書に載ったお手本の範囲から一歩抜け出せない人に向けて,本書は書かれました。シンプルで少し変わったゲームを作った際の過程を辿り,そこで利用した手法を解説することで,自分のゲームを作る際に,考え方の糸口として活用できる内容となっています。
第1章 ゲームデザインを行う前に
[キーワード]レベルデザイン,プログラミング,題材
ゲームの開発にはさまざまなプロセスが含まれていますが,本書の内容は,そのすべてを対象としたものではありません。本書では扱わなかった部分について,割愛した理由と共に,ゲーム開発における役割や,扱う際の注意点を解説します。
第2章 アルゴリズムからゲームを作る
[キーワード]アルゴリズム,予想外
ジャンルを決めてからゲームを作り始めるような,最初にプレイヤーの目的を決定する作り方は,完成形が見えやすい反面,その目的を意識するあまり,予想の範囲に収まってしまうことが起こりがちです。アルゴリズムという,通常ならば裏方となる部分からゲームを考え始めることで,その内容を,当初は予想しなかった方向へと導きます。
第3章 ルールを組み替えてゲームを作る
[キーワード]組み替え,単純化
新鮮さや奥深さを出すために,ゲームに新要素を追加することは珍しくありませんが,次第に複雑化して,理解の難しいゲームになってしまう危険性も忘れてはなりません。要素の削ぎ落としと追加を同時に行う,組み替えとも言える方法を用いて,そのような状況を避けつつゲームを再構築します。
第4章 対人ゲームから一人用ゲームを作る
[キーワード]対称性,アレンジ(翻案)
誰もが知っているほど良いゲームを参考にした結果,同様に参考にした誰かのゲームと,似通ってしまう可能性は否定できません。まだ手付かずで,それでいて良いゲームを見つけるために,ボードゲームをはじめとする対人ゲームにまで対象を広げて,一人用ゲームへの改変を強引に進めます。
第5章 自由と制約の関係を考える
[キーワード]自由と制約,視点の違い
行動の自由さはゲームの大きな魅力になりますが,使い方によっては,多過ぎる選択肢にプレイヤーが戸惑ったり,また,ゲームを台無しにする選択肢を作ってしまったりと,それは表裏一体の危険性とも隣り合わせです。ゲームとして成り立たせるための制約を与えた上で,自由さとも共存させる方法について考えます。
Appendix 基本用語の整理
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本書のサンプル
本書の一部ページを,PDFで確認することができます。
- サンプルPDFファイル(270KB)
本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。
目次
はじめに
本書の構成
プロローグ
目次
想定している読者と前提知識について
本書の補足情報について
第1章 ゲームデザインを行う前に
本書では扱わない内容
- レベルデザイン
- プログラミング
- 良い題材の見つけ方
本書で扱う内容
本書における「ルール」の扱い
- 現実のルールと,ゲームのルール
- ルールの示す範囲
Column 不満と共感
第2章 アルゴリズムからゲームを作る
アルゴリズムとは何か
- 単純なアルゴリズム
- アルゴリズムが集まると
- [Note&Rules]判定とゲームの関連性
- 「ガールズモード」(GIRLS MODE)シリーズ/「シムシティ」シリーズ
- [Note&Rules]判定とゲームの関連性
ルールとアルゴリズム
- [Note&Rules]知らないことは強みになるか
- 『パックマン』/『塊魂』
「燃え広がる」アルゴリズム
- [Note&Rules]セルオートマトン
- 『ライフゲーム』(Conway’s game of life)
不完全は欠点か
- [Note&Rules]ゲームとメディアアート
- 『無限回廊』/『OLE Coordinate System』
プレイヤーへの制約を考える
- 火をつける回数
- 燃え尽きるまでの時間
- [Note&Rules]身体性は,画面の外の戦略性
- 『Touch the Numbers』/『ダンス・ダンス・レボリューション』/モグラ叩き
- [Note&Rules]身体性は,画面の外の戦略性
自機という制約
- 自機の存在による制約
- [Note&Rules]マップを変化させるアクションゲーム
- 『QIX』/『ディグダグⅡ』
- [Note&Rules]マップを変化させるアクションゲーム
形状が生む制約
- [Note&Rules]形状の向き不向き
- 『テトリス』
循環する構造
- [Note&Rules]循環型パズルの登場
- 『Lot Lot』
難易度の変化に潜む問題
- [Note&Rules]レベル内の難易度を保つ方法
- 『スペースインベーダー』/『ギャラクシアン』/『ディグダグ』/『バブルボブル』
強制スクロールの力
- [Note&Rules]スクロールの種類
- 『スーパーマリオブラザーズ』/『パックランド』
スネークゲームという方法
- [Note&Rules]潜むスネークゲーム要素
- 『パックマン チャンピオンシップ エディション DX』/『Nimble Quest』
机上で済む部分,空論になる部分
- [Note&Rules]ターン制の注意点
リスクとリターン
- [Note&Rules]複数の目的
- 『カタチのゲーム まるぼうしかく』/『燃やすパズル フレイムテイル』
Column 決めるのは誰か
第3章 ルールを組み替えてゲームを作る
足して作るか,引いて作るか
- 先祖返る
- 駄目になる
- [Note&Rules]単純化とジャンルの誕生
- タワーディフェンス/育成ゲーム/脱出ゲーム
- [Note&Rules]単純化とジャンルの誕生
組み合わさる要素
- 撃つだけで,避けない
- 避けるだけで,撃たない
- [Note&Rules]避けないシューティングゲーム
- 『ミサイルコマンド』/『クォース』/『パズルボブル』
- [Note&Rules]避けないシューティングゲーム
緩急の作り方
- [Note&Rules]位置による緩急
- 『Qバート』
接触による影響
- [Note&Rules]接触以外の影響
- 『ORBIENT』/『メタルギア』
点・線・面
- 空間を満たすもの
- [Note&Rules]弾幕と点・線・面
- 弾幕シューティング
- [Note&Rules]弾幕と点・線・面
ゲームとインフレーション
- [Note&Rules]パズルゲームの難易度とインフレーション
- 『くるくるアクション くるパチ6』/『パズルクエスト〜アガリアの騎士〜』
二種類の誘爆
- 自分は巻き込まれない誘爆
- 自分も巻き込まれる誘爆
- 問題点を探る
- 問題点のさらなる原因を探る
- [Note&Rules]爆発の形
- 『ボンバーマン』/『ちゃっくんぽっぷ』
- [Note&Rules]爆発の形
パワーアップの意味
- [Note&Rules]時間分割と空間分割
- 格闘ゲーム
投機的要素の扱い
- 柱の寿命を短くする
- 爆発の発生条件を,柱と爆弾の接触に変更する
- 柱は一定間隔で,強制的に立てるようにする
- [Note&Rules]良い投機的要素
- 『モノポリー』
- [Note&Rules]良い投機的要素
慣性と操作性
- 速度を出すことが有利になる
- 画面端が活用しやすくなる
- [Note&Rules]慣性の良し悪し
- 『エクセリオン』
- [Note&Rules]慣性の良し悪し
Column 否定的ノウハウ
第4章 対人ゲームから一人用ゲームを作る
スポーツと対称性
- [Note&Rules]テーブルゲームと対称性
- トレーディングカードゲーム/『スコットランド・ヤード』/『汝は人狼なりや?』
コンピュータゲームと対称性
- [Note&Rules]想像力と妄想力
- ブロック崩し/『スペースウォー!』/『コンピュータースペース』
勝ち負けの喪失と,その代替
- [Note&Rules]クリアと手詰まり
- 『ことばのパズル もじぴったん』/『Scrabble』/『ZOO KEEPER』
さらなる制約
- [Note&Rules]循環型と圧縮型
- 『Threes!』/『もうぢや』/『マネーアイドルエクスチェンジャー』
改良の果てに
- [Note&Rules]許せるランダム,許せないランダム
- ローグライク/ダイスロール/『マインスイーパ-』
ひとまずの完成と,本当の完成
- [Note&Rules]成長要素の二つの役割
- 「ペグソリティア」/『ハイドライド』
Column 二種類の企画書
第5章 自由と制約の関係を考える
分解されたルールが作るもの
- [Note&Rules]分解されなかった部分の扱い
- 『The Sims』
『パネキット』の内容
ゲームとしての自由
- [Note&Rules]バランスとスケール
- 『マインクラフト』
異なる視点
- [Note&Rules]ゲームからツールへ
- 『カルネージハート』/『ロードランナー』/『スーパーマリオメーカー』
自由が生む混乱
- [Note&Rules]数値の力
- 『どうぶつの森』
意識すること
Column 没企画の行方
おわりに
エピローグ
Appendix 基本用語の整理
索引
プロフィール
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