目次
第一章 サクラの分類学
(1)種の定義〜野生種と園芸品種
- ①野生種とは
- 野生種は分類学上の「種」
- 学名と和名
- 亜種・変種・品種
- 「品種」と「園芸品種」
- ②園芸品種とは
- 人が育て,作る植物の種類
- 園芸品種の学名と和名
(2)分類体系と分類群
- ①人為的で古典的な分類体系
- リンネの分類体系
- 会社の組織に似ている?
- 種内分類群
(3)サクラの分類学的位置
- ① 新しいバラ科の分類
- 最新の分類体系
- バラ科を14連とする分類へ
- ②サクラの花のつくり
- ③サクラ属の二つの分類
- 広義の分類
- 広義のサクラ属の特徴
- 狭義の分類の出現
- ④中国への伝播
- ⑤日本に於ける狭義の分類
- 大場教授の狭義の分類
- 大場教授のサクラ属の特徴
- 筆者の見解
- (コラム 中国の分類は政治的?)
- ⑥広義のサクラ属の分類学的位置と亜属
(4)日本の野生種・15種
- ①オオシマザクラ
- 海岸型とフォッサマグナ要素と
- ②ヤマザクラ
- 白い花と多毛の葉
- ③カスミザクラ
- 粘り気のある薄い葉
- カスミザクラとヤマザクラ〜観察による検討
- ④エドヒガン
- フラスコ型の花托筒,流線型の葉
- 巨木になるサクラ
- ⑤オオヤマザクラ
- うす紅色の大きな花
- 本当に遅咲きか?
- ⑥マメザクラ
- 小型のサクラ
- 「フジザクラ」の定義
- 系統進化の新説
- ⑦タカネザクラ
- 高山帯に咲くサクラ
- ⑧チョウジザクラ
- 丁の字形に咲くサクラ
- ⑨ミヤマザクラ
- 若葉の中に開く花
- ⑩エゾノウワミズザクラ
- 北国のサクラ
- 文献から学ぶ分布の問題点
- ⑪イヌザクラ
- サクラに見えないサクラ
- 巨木百選のイヌザクラ
- ⑫ウワミズザクラ
- ブラシのように咲くサクラ
- ⑬シウリザクラ
- 奥日光の名花
- ⑭バクチノキ
- まだらにはげ落ちる樹皮
- ⑮リンボク
- 若木の葉はヒイラギに似る
(5)海外のサクラの仲間
- ①多彩な姿・ヒマラヤザクラ
- ②ヒマラヤヒザクラの直系・カンヒザクラ
- ③古く日本に渡来したニワウメ
- ④中国横断山脈の原産・ウメ
- ⑤中国黄河上流の原産・モモ
- ⑥故郷は中央アジア・アーモンド
- ⑦中国から伝わったスモモ
- ⑧アジア西部~ヨーロッパの原産・オウトウ
- ⑨中国のオウトウ・シナミザクラ
(6)サクラの園芸品種
- ①日本の代表的な園芸品種・ソメイヨシノ
- 生い立ち
- 両親の花と比べる
- DNA解析
- 本当に実ができない?
- 枝変わり
- ②日本とヒマラヤの桜を繋ぐカワヅザクラ
- 春告げ桜
- カンヒザクラとオオシマザクラの自然雑種
- ヒマラヤのサクラと日本のサクラの比較
- 二つのサクラを繋ぐカワヅザクラ
- ③消え行くか? アタミザクラ
- ④最新の園芸品種・カケガワザクラ
第二章 サクラの生物学
(1)花
- ①花序
- サクラ属の花序
- 花柄・小花柄・花梗
- ②花の作りで重要な専門用語「花托筒」について
- 花托筒の意味
- 歴史的な背景
- 現在の欧米の「花托筒」
- 結論
- ③雄蕊・雌蕊・胚珠
- ④受粉と受精
- ⑤花色変化と花吹雪
- ⑥花芽と葉芽,冬の眠り
- ⑦開花
- ⑧狂い咲き,四季咲き
- ⑨八重咲きへの変化
(2)果実
- ①色を変える果実
- ②双胚果,双子果
- ③染色体数と雑種
- (コラム コシノヒガンザクラの謎)
- ④自家不和合性と他家不和合性
(3)種子
- ①種子を守る核
- ②核の中の種子
- ③サクラは無胚乳種子
(4)葉
- ①葉の外形
- 葉身と鋸歯
- 托葉
- 蜜腺
- 葉身の作り
- トウオウカの若葉の作り
- ②葉の毛と葉裏のダニ室
- ③ヤマザクラの葉裏の粉白色への仮説
- 葉裏の粉白色
- 実体顕微鏡による観察
- 平行型気孔複合体の仮説
- ④光合成と呼吸
- 生長のための光合成
- 蓄えるための光合成
- 水を巡らせる蒸散
- ⑤落葉
- 紅葉と黄葉
- 落葉のしくみと意味
- (コラム 冬も葉をつける落葉樹)
(5)幹と枝
- ①骨格を作る長枝
- 頂芽と側芽
- 頂芽優勢と頂芽抑制
- 頂芽型と仮頂芽型
- ②肉を作る短枝
- ③桜の樹形
- ④モモとオウトウの園芸技術
- ⑤接ぎ木と挿し木
- ⑥サクラ属のクローンを作る
- ⑦萌芽,枝変わり
- 萌芽
- 狩宿の下馬桜の復活
- ⑧枝垂桜
- 枝垂れるサクラ
- 枝垂の原因 メンデル遺伝説
- 枝垂の原因 遺伝子突然変異説
- 枝垂の原因 突然変異・ジベレリン不足複合説
- 立ち性の枝と枝垂れる小枝の二要素が原因?
- 枝垂の小枝から立つ枝へ
(6)樹皮
- ①木を守る皮膚
- 一般的な樹皮
- サクラやシラカバの樹皮
- ② 光合成をする樹皮と甘皮
(7)材
- ①樹体を支える構造
- 木口,柾目,板目
- 散孔材と環孔材
- ② 生きる辺材と死せる心材
- ③腐る材
- 「桜切る馬鹿」の意味
- サクラの枝は切り口から腐る
- 「桜の枝は切るべし」
(8)根
- ①直根と水平根と細根
- サクラの根は中間型
- 細根
- ②根萌芽
- シウリザクラの根萌芽
- 根萌芽の林
- ペストと呼ばれたサクラ
- ③気根
- ④幹を食べる不定根
- 枝から根を出す伏状
- オオシマザクラの不定根
- 自らの身体を食べて生きる
(9)サクラの生き様と人
- ①熱帯樹の面影の陽樹
- 熱帯樹の面影
- 成長が早い陽樹
- ②変幻自在の生き方
- ③サクラとの共存の道
- もっとサクラを知ろう
- 「弘前公園方式」の技術
- リンゴ栽培の核心を生かす
- 弘前方式の現在
- 関東以西のソメイヨシノの管理を考える
第三章 人と桜
(1)桜の花を愛でる
- ①その歴史の始まり
- ②農と桜
- ③歴史を語る桜
- ④花より団子:八代将軍吉宗の政策
- ⑤サクラは日本特産か?
- (コラム 皇居東御苑の桜)
- ⑥ 桜に劣らない林檎の花見
(2)風景としての桜
- ①古くて新しい吉野の山桜
- 驚かされた街と森の二つの要素
- 吉野は歴史に彩られる
- 吉野林業の発展
- 吉野の人文風景(人文景観)
- (コラム 吉野山の桜と奈良春日山の原始林を救った土倉庄三郎)
- ②団子ばかりでない城跡の桜
(3)花の詩歌と樹木学
- ①春を告げる桜〜春への期待
- 小唄や歌の世界
- 樹木学
- ②爛漫と咲く桜〜人桜を観る
- 桜に憧れ,桜に酔う
- 樹木学
- ③散る桜―人桜に感ずる
- 潔さの裏返しの無常観
- 樹木学
(4)桜の諺と樹木学
- ①桜伐る馬鹿,梅伐らぬ馬鹿
- 諺の意味
- 樹木学
- ②桜を庭に植えると,家が傾く
- 諺の意味
- 樹木学
(5)桜の利用と樹木学
- ①食用としての利用
- 桜餅
- 桜湯
- 樹木学
- ②サクラ属の果物
- オウトウ
- ウメ
- アンズ
- スモモ
- アーモンド
- 樹木学
- (コラム 農業としての果樹栽培)
- ③建築材としての利用
- 建築材・器具材と版木
- 樹木学
- ④工芸品としての利用
- 樺細工の歴史
- 現在の樺細工
- 樹木学