概要
第1特集
コード編集の高速化からGitHub連携まで
Vim[実戦]投入
フリーのテキストエディタの中では圧倒的な人気を誇る「Vim」。システム/インフラエンジニアの第一歩として,また自分のコーディングのさらなる高速化/効率化のために,新たにVimを選択する人は多いのではないでしょうか。本特集では,Vim業界で著名な5人が,初心者に向けた「Vimのはじめかた」,プログラマに役立つ「高速編集術」「正規表現」「GitHub連携」,さらには「Vim開発の最新事情」まで解説します。そして章末には,Vim初学者向けにコマンドを厳選した「Vimチートシート」も付属! 明日からの「実戦」に耐え得る大特集です。
第2特集
2年ぶりのLTS
安定のUbuntu 16.04の新機能
本特集では,Linuxディストリビューションの中でもデスクトップOSとして一番利用されているUbuntuの最新バージョン16.04の新機能,派生する各フレーバー,最新情報を紹介します。今回はLTS(Long Term Support:長期サポート版)で5年間サポートされます。前のLTSである14.04から2年が経過し,半年に1度のバージョンアップを追いかけていない方も,そろそろ本バージョンに乗り換えることを考えてみてはいかがでしょうか。
序章では,Ubuntuの概要や現在の立ち位置について解説します。そして第1章では,16.04での新機能や変更点について,第2章では,Ubuntuから派生する各フレーバー(Kubuntu,Xubuntu,Lubuntu,Ubuntu GNOME,Ubuntu MATE,Ubuntu Studio)と日本語入力メソッドについての解説,第3章では,サーバ用途として使われるUbuntu Serverについて独自機能(Juju,MAAS,LXD)を交えて紹介します。
特別付録&巻頭特集
SORACOM Air SD Special Version
特別SIMで始めよう! SORACOMでわかるIoT
ITエンジニアの間で非常に人気あるソラコム社が販売するSORACOM Air(データ通信専用SIMカード)の特別版を付録にしました。月刊雑誌付録ということで,アクティベーション期間が1ヵ月間と限定されるものの,商品版と同じサービスを使うことができます。
<「SORACOM Air SD Special Version」の機能>
- アクティベーション期間(2016年4月18日~2016年5月18日)
 
- データ通信専用,SMS(ショートメールサービス)は非対応
 
- ナノサイズSIM(3G/LTE通信回線を利用)
 
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電子版は特別付録「SORACOM Air特別版」は付いていません(通常価格)。
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一般記事
セキュリティ対策はまずここから! フリーで始めるサーバのセキュリティチェック
【前編】Nmapによるポートスキャン
システムやアプリケーションの脆弱性(セキュリティ上の問題点)を探し出し,その検出された脆弱性に対する対策を報告する脆弱性診断というサービスがあります。予算やスケジュールなどの理由から脆弱性診断を実施せずにリリースを迎えてしまうケースがありますが,これは脆弱性を包含したままリリースしている可能性もあり危険です。
本稿では,セキュリティベンダに依頼しなくても簡易的なセキュリティチェックを自分たちで行い,少しでもリスクを軽減することの一助になればと思い,フリーツールを用いたセキュリティチェックの方法を紹介します。
    
    
      サポート
正誤表
本誌の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。
(2016年4月29日更新)
P.36 「量指定子:0個または1個 ?、=」の正規表現例
補足情報
(2016年5月18日更新)
P.144 Unixコマンドライン探検隊 第1回の補足情報
PAGER(ページャー)
manは,標準で対象のmanページをコンソール画面に出力します。コンソール画面1ページでは表示できない内容も多いので,ページャーという外部のコマンドを通して出力することで,1画面に1ページがちょうどおさまるように表示しています。
<STEP UP!> 
manが使うページャーは,環境変数PAGERかMANPAGERで指定してあるプログラムが使われます。もしくは,“-P”オプションで明示的にページャープログラムを指定することもできます。
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ページャーは,ほとんどの場合lessかmoreが使われます。lessコマンドは,moreの発展形(moreに対する洒落のネーミング)で,エディタの“vi”コマンドライクな操作によって,ページの前後移動,行単位での移動,検索などができます。
OS Xでは,moreというコマンドは存在していますが,中身はlessになっているようです。
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less, moreの簡単な使い方(画面下に“:”が表示されている状態で,次のコマンドなどが有効です) | 
| q | ページャーをぬける | 
| f | 1ページ先に進む | 
| b | 1ページ戻る | 
| j | 1行進む | 
| k | 1行戻る | 
| / | 続けてキーワードを入力して前方検索する | 
| ? | 続けてキーワードを入力して後方検索する | 
| Ctrl+G | 全体での現在位置などの情報を最下段に表示する | 
| h | HELPを表示する | 
manページのある場所
さて,manページ(元データ)はどこにあるのでしょうか。プログラムの中にハードコードされているのでしょうか。そんなはずはないですよね。
manページは,OS XやLinuxでは,
/usr/share/man,/usr/local/share/manに格納されています。lsコマンドで,ディレクトリの中を覗いてみます。
| Ubuntuでの例 | 
$ ls /usr/share/man
ar   bo           da     eo  fo            gd  id  ko    man3  mhr  nn  pt_BR  sk  te  vi
ast  bs           de     es  fr            gl  io  ku    man4  ml   oc  ro     sl  th  zh_CN
az   ca           el     et  fr.ISO8859-1  he  it  lt    man5  ms   pa  ru     sq  tr  zh_HK
be   ca@valencia  en_AU  eu  fr.UTF-8      hi  ja  lv    man6  my   pl  se     sr  ug  zh_TW
bg   cs           en_CA  fa  fr_CA         hr  kk  man1  man7  nb   ps  shn    sv  uk
bn   cy           en_GB  fi  fy            hu  km  man2  man8  nl   pt  si     ta  uz
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man1〜man8が英語のmanページで,それぞれ1〜8セクションが分類されて収納されているディレクトリです。jaなどのほかのディレクトリは,各言語(ローケール)に対応した言語に翻訳されたmanページが,同様(たとえばja/man1〜ja/man8)に格納されています。
個々のmanページは,たとえばlsであれば“コマンド名.セクション[.gz]”という名称のファイルは,
ls.1.gz → 圧縮された状態
もしくは,
ls.1 → 非圧縮の状態
で存在しています。
Linux系の環境では,これらのディレクトリには圧縮されたものが入っていて,ディスクスペースを節約しています。
<STEP UP!> 
manページのファイルは,groffというマークアップランゲージを使った文書整形ツールの形式です。groffは“roff”(roffの名前は,Run OFFから)コマンドファミリーのフロントエンドプログラムで,manページはそのファミリーの中でも“nroff -manマクロ形式”です(nroffは,現在ではshellスクリプトになっていて,groffを内部から呼び出しています)。 
 
manコマンドを使うのと同様に,nrofffを使って
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| Linux | 
$ zcat ls.1.gz | nroff -man
  
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| OS X | 
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とすれば,整形された状態で表示できます。 
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日本語のページはどこに?
日本語のmanページがある場合は,通常日本語のロケールjaにに対応した/usr/share/man/ja,/usr/local/share/man/jaディレクトリに入っているはずです。
現在のロケールが何になっているかは,環境変数LANGを確認しましょう。
$ printenv LANG
ja_JP.UTF-8
  
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であれば,日本語がデフォルトです。en_US.UTF-8であれば,英語(米国)です。日本語になっていなくても,次のように環境変数を設定して,日本語環境にすることができます。
$ export LANG=ja_JP.UTF-8
  
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この場合には,jaディレクトリにmanページのファイルがなければ,デフォルト(通常英語)のページが表示されます。jaディレクトリがあっても,すべてのマニュアルが翻訳されているわけではありませんので,ページによって日本語であったり英語になることもあります。
いちいち環境変数を変更してしまうと,後に実行するコマンドのロケールへも影響してしまいますので,次のようにすれば,manの実行時だけロケールを変更できます。
| 日本語 | 
$ env LANG=ja_JP.UTF-8 man man
  
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<STEP UP!> 
日本語のmanページがインストールされていない場合,次の方法で簡単に導入できるかもしれません。root権限か,sudoersに利用者が登録されている必要があります。
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| Ubuntu | 
$ sudo apt-get install manpages-ja
  
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| CentOS | 
$ sudo yum install man-pages-ja
  
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| OS X | 
OSXには,日本語のmanページは標準では入っていません。日本語のマニュアルを使えるようにするには,日本語に対応したgroffをインストールし,日本語のmanページをインストール(OS XはFreeBSDベースなので,http://www.jp.freebsd.org/man-jp/search.htmlからFreeBSDのものを取得するのが良いでしょう)するなどの対応が必要です。 
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