書籍概要

知の扉

証明と論理に強くなる
~論理式の読み方から、ゲーデルの門前まで~

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概要

論理的に考えるとはどういうこと?証明するってどういうこと?という問いに簡潔に答える論理と証明のための徹底解説本です。論理に強くなるためには,論理記号に対するアレルギーを克服することが第一です。本書は,「かつ」「ならば」などの基本的な論理記号からまず入ります。論理記号や論理式には解釈を逐語訳のように併記するので,臆することなく読み進めてもらえます。そして数学の問題で出てきた「証明」の考え方へと話を進めます。論理と証明の考え方を習得することがゲーデル不完全性定理の理解につながることにも言及します。

こんな方におすすめ

  • 論理力を身につけたい人,論理学に興味がある人,ゲーデルの不完全性定理の基礎を知りたい人,公務員試験で論理問題が苦手な人

目次

  • まえがき

序章 「証明」と「論理」を学ぶと何の役に立つのか?

  • 本書のテーマは?/「論理的」の論理ってなに?/公務員試験・資格試験の論理問題はどう解く?/中高生に論理を教えるにはどうしたら良いか?/数学はなぜいつも正しいのか?/なぜ,三角形の内角の和が180°でない世界がある?/証明法には,何か根拠があるのか?/数理論理の教科書はなぜわかりにくいのか?/ゲーデルの定理とはどう証明されるのか?/私たちの認識ってどういうもの?

第1部 論理式に慣れよう
   第1章 論理記号を読めるようになる

  • 論理とは,私たちの認識/論理記号に慣れよう/論理の記号は6個/論理記号は主張から別の主張を作る/新しい主張の生成/3つの主張を接合する/論理式の優先順位/少し練習してみよう

第2章 論理式の真偽は考える世界で変わる

  • 論理式に「正しい」「正しくない」をあてはめる/「可能世界」ってなんだろう/命題記号と可能世界/命題記号の真理値/¬(でない)の真理値/Λ(かつ)の真理値/∨(または)の真理値/→(ならば)の真理値/「ならば」でこんがらがるのはなぜか?/複雑な論理式の真理値/常に真の論理式

第3章 大学入試・公務員試験を解いてみよう

  • 論理は,いろいろな試験で問われる/真偽表から解く/必要条件と十分条件/必要ってなに? 十分ってなに?/入試問題を解いてみよう/論理式の同値/二重否定/「ならば」と同値な論理式/対偶は元と同値になる/否定による「かつ」「または」の逆転

第2部 証明するとは何をすることか
第4章 言論と推論

  • 証明するとは何をすることか/「証明とは何か」の歴史/言語と記号操作/MIUゲーム/MIUゲームの演繹システム/MIUゲームで遊んでみよう/七並べからCLwへ

第5章 「等しい」とはどういうことか?

  • 等号に関する演繹システム/「等しい」とは何だろう/等号の推論規則/等号について定理を演繹してみよう/式計算とは等号の演繹システムと同じ/等号が「正しい」「正しくない」とは?/他のモデルも見てみよう/集合世界のモデル/「等しい」を特徴付ける

第6章 「かつ」「または」「ならば」「でない」の推論規則

  • 論理における証明/命題論理と述語論理/論理の演繹システムは3種類ある/自然演繹は,私たちの認識の根底に近い/自然演繹の言語/自然演繹の公理/どんな規則が推論規則として選ばれているか?/「ならば」の推論規則/三段論法/「かつ」の推論規則/「または」の推論規則/証明における場合分けとは?/ 「でない」の推論規則/矛盾からは何でも証明できる/命題論理の自然演繹のシステムは完了

第7章 「証明できる」と「正しい」の関係

  • 「証明できる」と「正しい」の関係/等号の演繹システムの健全性定理/等式のモデルでの真偽/健全性定理はなぜ成り立つか/等号の演繹システムの完全性定理/自然演繹の健全性定理/数学の正しさは健全性定理から来る/健全性が成り立つ理由のポイントは?/すべての推論規則に対して確認しよう/自然演繹の完全性定理/前者から後者は出てくる/構文論的な同値と意味論的な同値/健全性定理は,論理の正しさを本当に示しているのか?

第8章 述語論理を読めるようになる

  • 述語論理に進もう/述語論理ってどんな論理?/「すべて」と「ある」/述語論理はフレーゲによって生み出された/量化記号の読み方の順序/述語論理の真偽/イプシロン・N論法

第3部 自然数を舞台に公理系を学ぶ
第9章 1+1=2を証明しよう

  • 自然数を舞台に述語論理を学ぼう/自然数とはいったい何だろう/自然数をどう定義する?/自然数を特徴付ける/3つの自然数の演繹システム/メカ自然数/メカ自然数の公理/形式的な自然数としてのメカ自然数/他にもいろいろ証明してみよう/否定型の定理の演繹/証明できる式は真なる式/真なる等式はすべて証明可能/完全性はなぜ成り立つのか

第10章 ∀と∃を操作しよう

  • メカ自然数への不満点/∀と∃の導入/メカ自然数Q/推論規則[∀除去]は,具体的な式を生みだす/推論規則「∀導入」は,文字式による証明と同じ/推論規則[∃導入]は,単に「存在するよ」を見せるだけ/「存在する何か」を何かのまま操作する/大小関係を意味する論理式

第11章 数学的帰納法とはどんな原理か

  • メカ自然数とメカ自然数Q/「任意」と「すべて」は同じじゃない!/数学的帰納法とはどんな原理か/数学的帰納法を備えたメカ自然数P/メカ自然数Pにおける証明を見てみよう/ニセ自然数/ニセ自然数はメカ自然数Qのモデルである/「任意」と「すべて」の隔たりは?/数学的帰納法でニセ自然数が排除される理由/メカ自然数Qの不完全性

第4部 ゲーデルの定理の予告編で終わる
第12章 ゲーデルの定理,その予告編

  • ゲーデルの定理の門前を目指す/ゲーデルの完全性定理/不完全性定理登場/不完全性定理の証明のアイデア/不完全性定理の証明/演繹システムの算術化とはどういうことか/公理や推論規則を自然数で表す
     
  • 補足
  • 練習問題の解答
  • お勧め文献・参考文献
  • あとがき
  • 索引

サポート

正誤表

本書の以下の部分に誤りがありました。ここに訂正するとともに,ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

(2018年1月19日最終更新)

P.343 練習問題6.1 (2) の図

誤

正


(以下2017年7月14日更新)

P.157 図6.9 出発点としての仮定①の矢印の先

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