概要
累計12万部『職場の問題地図』『仕事の問題地図』,『職場の問題かるた』に続く働き方改革のバイブル,シリーズ最新作!
「上司や部下が外国人」
「親が突然,要介護状態に……」
「子どもが発熱,さあどうしよう?」
「育休後に仕事復帰したはイイけど,毎日が綱渡り……」
「70歳になってまで通勤ラッシュとか,無理なんですけど」
「台風に地震に大雪に……出社するだけでもうヘトヘト」
そろそろ,実態に即した働き方を考えないとまずいんじゃないですか?
「残業を減らせばいいんでしょ」という考えだけでは対処できない問題とその対策を,業務プロセス/オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまね,1996年からテレワークを活用して子育てや闘病生活を経験しながら時代の働き方を先取りしてきた女性起業家の奥山睦のタッグが教えます。
こんな方におすすめ
- 育児,介護,グローバル化などで働きにくさを感じている方
- 社員の働き方を改善したい経営者,人事の方
著者から一言
そろそろ働き方変えないとヤバいでしょ!? 私たちを襲う7つの無慈悲
「働き方改革」「ワークライフバランス」……そんな言葉がメディアで騒がれるようになりました。ずばり,あなたにお聞きします。
あなたの働き方,変わってきましたか?
よくなってきた実感がありますか?
あらら,手が挙がらない……。そうなんです。メディアで騒がれているわりに,日本の職場の働き方,なかなか変わらない。いまだ変えようとしない企業が,現状に固執する現場が,まだまだ多い!
なぜ,ここまで騒がれるようになって,なおも頑なに変わらないのか? 企業の経営者や部門長から,こんな本音が漏れ聞こえてきます。
「働き方ねぇ。いや,変えなければいけないのはわかっているんです。でもね,何をしたらいいのかわからなくて」
「働き方をよくしたって,儲からないですから。やはり,目先の利益重視ですよ」
「働き方改革? ただのブームでしょ。ブームが去るまでおとなしくしていようと思いまして……」
諦めとも開き直りともとれるメッセージ。でもこれ,ごもっともです。
何のためにやるのか? 何をしたいいのか? ピンとこない。
儲からない。
しょせん,一過性のお祭り騒ぎでしかない(と思っている)。
それでは,組織にも現場にも改革のモチベーションは働きません。
しかし,もはやそんなのん気なことを言っていられない時代になりました。大変残念なことに,働き方側が変わらず悶々としているうちに,世の中の側は勝手にどんどん変わっていっています。それも,悪い方向に。「無慈悲」に!
いったいどんな無慈悲が? 日本の職場を襲う7つの無慈悲を見てみましょう。
①無慈悲なグローバル化
②無慈悲な少子高齢化
③無慈悲な家族問題
④無慈悲な育児問題
⑤無慈悲な女性活躍圧力
⑥無慈悲な雇用延長
⑦無慈悲な地球環境
①無慈悲なグローバル化 ~連日連夜の海外との電話会議で,身も心ももう限界!
「ある日突然,自分の勤める会社が海外の会社を買収した」
「ある日突然,海外の会社に買われた」
「ある日突然,上司や部下に外国籍社員が」
「ある日突然,チームが多国籍に」
「ウチは日本の会社だから大丈夫」「うちの会社にかぎって」と思っていたのに,ある日突然,無慈悲にもグローバル化。これ,日本のあちこちで起こっています。
先日,都内を歩いていてばったり遭遇した,私の元同僚。いつもの笑顔に元気がない。聞けば,去年からチームが海外グループ会社との混合チームになったとか。連日連夜の海外との電話会議・テレビ会議,しかも慣れない英語で疲労困憊。いわば“グローバル疲れ”している様子。私も経験ありますが,かなりの体力と精神力を消費します。
私は,近い将来「グローバルうつ」なるものが出てくるのではないかと本気で心配しています。そして,グローバルな職場を敬遠する若手が増えていく。だって,しんどそうなんだもん。
②無慈悲な少子高齢化 ~「年上の部下」とか「外国人上司」とか……
ついに,少子高齢化が顕在化。2016年9月,総務省は65歳以上の高齢者人口は推計3461万人,総人口に占める割合は27・3%で過去最高と発表しました。
ともなって,労働人口の減少も現実ものになりつつあります。日本の労働人口は2013年12月時点では7883万人まで減少,2060年には4418万人まで減少すると予測されています。大手ファミリーレストランチェーン「ロイヤルホスト」の24時間営業廃止のニュースは私たちの記憶に新しいですが,その背景には労働力確保の困難さがあります。
そんな中,年上の部下,外国人上司などがあたりまえになりつつあります。もはや年齢がどうのとか,国籍がどうのとか選り好みしている場合ではない! いまやコンビニエンスストアで,外国籍の店員さんがレジ打ちしている光景はめずらしくありません。
いままで,企業はこぞって「ダイバーシティ」(多様性)経営を標榜してきました。年齢・性別・国籍・価値観など多様な人材を活用することで,新しい発想が生まれるようにする――発想力や生産性の観点で語られてきたこのコトバ,これからは労働力確保の意味合いが濃厚かつ現実的になりそうです。
さあ,あなたの会社,あなたの職場。ダイバーシティに対応できる働き方になっているでしょうか?
③無慈悲な家族問題 ~親が突然,要介護状態に……
老若男女働けムード全開のいまの日本において,介護は向き合わなければならない重要テーマといってもいいすぎではないでしょう。介護の潜在人口>子育て人口だからです。
まわりを見渡してください。親がいる人の数のほうが,子どもをもつ人の数より多いことに気がつくでしょう。親が2人いたら,それだけ介護の潜在リスクがあるということです。加えて,育児の期間と介護の期間の潜在的長さも,要介護期間>要育児期間と,これまた介護のリスクが高いです。
④無慈悲な育児問題 ~子どもが発熱,さあどうしよう?
子どもとは無慈悲なものです。土曜日曜あれだけ元気だったのに,月曜朝になると突然熱を出す。保育園で発熱が発覚すると,容赦なく仕事中のお父さんお母さんに呼び出しコール。
私の妻は都内で保育士をしています。日々,園児の親御さんのドタバタエピソードを私も聞いているのですが,なかでも印象的だったのがこの1件。
「私も夫もどうしても休めないので,花巻(岩手県)の両親に東京に向かってもらっています!」
そこまでやりますか? のひと言。でも,これは長く続けるには無理がありますよね。経済的にも,体力的にも,精神的にもヘトヘトになる。国は1億総活躍社会を目指したいようですが,このままでは……
- 子どもが常に健康な人
- 親が健在,かつ近くに住んでいて子どもの面倒を見てもらえる人
しか活躍できなくなります。家庭も仕事もまわらなくなります。働き方側(企業側)も,譲れるものは譲っていかないと。
⑤無慈悲な女性活躍圧力 ~育休後に仕事復帰したはイイけど,毎日が綱渡り
私のまわりには,働くママさんがたくさんいます。私自身,働くママさんを部下にもったことも過去あります。彼女たちはみんな,ほんとうにパワフル。つねに高速で仕事をこなしていて,頭があがりませんでした。その一方,本当にしんどそうでした。
育児明けで仕事に復帰した時短勤務の女性は,限られた時間で猛烈に働きます。そして,保育園の閉園時間に間に合うよう一目散に帰宅し,子どもをお迎えして,家事をこなします。加えて,④で見てきたようなリスクといつも背中合わせ。しんどくないわけがありません。
先日,都内のある会社に勤める友人(働くママさん)から大変残念なエピソードを聞きました。彼女は時短勤務で育児をしながら,たまに国内出張もこなしています。ところがある日,人事部の担当者からこう告げられたそうです。
「出張できるってことは,フツウに働けるってことですよね。ならば,時短勤務は解除してもらえませんか?」
私は,あいた口がふさがりませんでした。
「本来,時短勤務なのに,会社のために無理して出張している。そこに対する感謝がないのか!」
彼女は怒りを露にしていました。これでは,会社に対する愛も忠誠心も冷めてしまいます。
女性活躍を下支えする人事制度,働き方の導入が進んできています。しかし,女性だけの負担を増やすやり方ってどうなんでしょう?
⑥無慈悲な雇用延長 ~70歳になってまで通勤ラッシュとか,無理なんですけど
少子高齢化,労働人口減少に伴い,定年延長を実施する企業が増えつつあります。個人の側も,今後予想される年金支給額の減少,年金支給開始年齢の引き上げなどにより,いままでよりも長く働かなければならない覚悟が必要でしょう。
ここでよりネックになるのが,通勤ラッシュの問題。65歳や70歳を超えてまで,毎日あの通勤ラッシュに耐え続けられますか?
私の知り合いで,湘南(神奈川県)に家を建てて東京・丸の内の会社に勤務している人が,ついこの間ふたたび都内に戻ってきました。理由は「このままずっと通勤するのは,体力的に無理だと思った」とのこと。
「通勤ラッシュのひどい路線ランキング」などが誌面やインターネットを飾る日々。いまだ都市部では通勤ラッシュの問題が解消される見通しがありません。
鉄道会社の改善努力も期待したいところですが,なかなか難しいでしょう。働き方側でナントカしていかないと,70歳を超えてまで労働なんて,とうてい無理です。
⑦無慈悲な地球環境 ~台風に地震に大雪に……出社するだけでもうヘトヘト
ある意味,最も無慈悲かもしれないのがこれ。地球環境。
近年,異常気象を肌身で感じつつあります。2016年には大型の台風が北海道を襲い,道内のインフラに大きな傷跡を残しました。11月には,東京で降雪。そして,いまや震度5~6レベルの地震が日常茶飯事になりつつあります。
地球はもはや平常でない。無慈悲に悪い方向,悪い方向に変化しています。それなのに,雨が降ろうが,雪が降ろうが,大地が揺れようが,通常どおり出社しようとする/させようとする。これを理不尽といわずして,なんという?
出社しただけでヘトヘトなのに,そこからお決まりの長時間労働がスタート。それでは,世界と生産性もモチベーションも開く一方です。そろそろ働き方を変えていかないと,企業も個人もボロボロになるでしょう。環境が異常になっているのに,働き方がいままでの正常を保とうとすること自体に無理があります。
これら7つは,いずれも私自身が企業で働いてきた戦士として,いまはコンサルタントとして,現場で日々実感している無慈悲です。
本気で働き方を変えないと,ヤバい!
なのに,頑なに変わりそうにない日本の働き方。
無理もありません。いままで,働き方改革は,単に個人のプライベート時間を増やすための取り組みのようにしか語られてきませんでした。「残業規制すればいいんでしょ?」「はい,自由時間を増やしました,あとは知りません」くらいにしか扱われなかった(だから「ワークライフバランス」って言葉,私は好きではありません)。
加えて,たとえば「時短勤務」「テレワーク(在宅勤務)」「ダイバーシティ(多様性)」など働き方を柔軟にする施策や,キャリアサポートなどの制度が個別にしか議論されてきませんでした。それらの個別の制度のメリット/デメリットだけをとらえて,導入する/しないを論じる。ともすれば,導入することが目的化する。「なんのために?」の面の視点が抜け落ち,点でしか議論されてこなかった。そこが問題です。
本書では,働き方を網羅的に考えます。ポイントは大きく2つ。
①「時短勤務」「テレワーク(在宅勤務)」など,“点”で語られがちな制度や施策を,“面”でとらえます。
②企業と個人(働く私たち),双方のメリットをひもときます。
今回,沢渡あまねともう1人,奥山睦さんにも筆を執ってもらいます。奥山さんは,1996年にテレワークを活用した事業を開始。その後も,女性雇用や障がい者雇用などを促進してきた女性経営者です。キャリアコンサルタントの顔も持ち,キャリア形成の視点での働き方を語ることのできる,数少ない有識者。ご自身も子育てや闘病生活を経験されながら,これからの時代の働き方を先取りして体現されてきました。私,沢渡(41歳(執筆当時)・働く男性・子持ち)とのタッグで,
- 「男性視点」「女性視点」の一方に偏らない働き方
- 「企業」と「個人」双方がハッピーになる働き方
を網羅します。
働き方改革を一過性のブームで終わらせないためには?
定着する働き方,今風のカタカナ言葉でいえば,サステイナブルな働き方とはなにか?
未来を見据え,企業も個人もハッピーになるにはどうしたらいいか?
私たちといっしょに考えましょう。
旧態依然の働き方は,そろそろおしまい。本当に,働き方を変えましょう!