概要
「あ,やっぱりダメだったか」
売れない製品が生まれてしまう理由とは?
豊富な事例を知り尽くした熟練コンサルタントが,マーケティングの失敗パターンを,成功確率を上げるマーケティング理論とともに体系化。
- U&E
- イノベータ理論
- ダブルイノベータ理論
- 価値観分類
- 認知ベース行動
- プロダクトライフサイクル理論
- クープマンの目標値
- プロダクトコーン理論
- ブランディング
- コンセプトの純化
- 意識のブリッジ理論
- Lて山スラッシュ理論
- 差別優位性
- DCCM理論
- 守りと攻めの戦略
30年以上のコンサルティング実績に裏打ちされたノウハウの集大成。
こんな方におすすめ
- 製品企画担当者,マーケティング担当者
- 経営者
- 他部署から商品開発部,広告宣伝部,新サイトの企画を任された方
- なかなかヒットが生まれず悩んでいる担当者の方
- これからマーケティングを学ぼうとする学生の方
- 直接ヒット商品には関係ないけれど,知的好奇心の強い方
著者から一言
日本のスマートフォン出荷台数の7割を占めるiPhone。
日本の全世帯の3分の1が買ったNintendo Switch。
累計10億枚売れたヒートテック。
日本歴代映画興行収入1位『千と千尋の神隠し』を軽々と超え,2021年8月に403億円に到達した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。
すべての企業の開発担当者が夢見る大ヒット商品たちです。
しかし,残念なことに,大半は露と消えていきます。
「どこがマズかったんだろう」
「コンセプトはああしておけばよかった」
「製造部門や営業部隊が反対したからダメだったんだ」
「上司が頑固だったから,あそこを改良できなかった」
「競合相手が強すぎる」
「うちは高コスト体質だから価格を下げられない」
反省することしきり。「よし,次はがんばろう」と思っても,なかなかヒットは生まれません。
じつは,手がけた新商品や新サービスが成功する方法があります。それは「失敗から学ぶ」ことです。
マーケティング・コンサルタントを30年以上続けている私だけでなく,みなさんにもこんな経験はありませんか。
「なぜ,こんなアプローチをした商品を世に送るのだろうか? 失敗は目に見えているに……あ,やっぱりダメだったか」
「正解がわからずに試行錯誤しているようだな……あ,やっぱり話題にすらならなかった」
成功するかどうかはわからずとも,失敗しそうなのは感覚でわかります。それをできるだけ論理的に解説しようとしたのが本書です。
日本では「マーケティングの失敗例に学ぶ」まとまった書物はほとんどありません。私のアメリカの学生時代には,コトラーのマーケティング教科書とともに,失敗例だけを集めた副読本がマーケティング専攻の全学生に配布されたものでした。私が本書を記そうとした動機が,学生時代の原体験でした。
本音を言えば,編集者の傳さんからご連絡があり,本書のコンセプトを聞いたのがきっかけでした。私はすぐ「これはいける」とピンときました。もともと自分のメルマガで失敗例からマーケティングを学ぶスタンスの記事が大半を占めていたことも,すんなり納得できた理由でもあります。私があまりにも自然に話を進めてしまったため,傳さんが「本当にこの話を受けてくれるのか」と心配になったほどでした。
「失敗から学ぶ」が本書のコンセプトではありますが,それをどう書籍化するのか。「パッケージが赤だったから売れなかった」のような表層的な結論では元も子もありません。そこで,本書でみなさんに伝えたいのは2つです。
- 失敗にはパターンがある
- 理論をもとにすれば対処が可能である
失敗にはパターンがあり,その多くはマーケティング理論から外れたことをしてしまったケースなのです。したがって,パターンを解析することで失敗を回避し,成功確率を上げることができます。そして,失敗パターンをマーケティング理論とつなげれば,対処方法もわかります。
誤解を恐れずに言えば,我々マーケティング・コンサルタントは成功事例と失敗事例,そしてそれにともなうパターンの両方を駆使して,成功確率を高めます。例えていえば,お祭りの射的で,普通の人は銃身の短いピストルを使いますが,我々は銃身の長いライフルを使い,かつ身を乗り出して的との距離を極力縮めることで,的の中心に弾丸を当てる確率を極力高めます。「ずるい」と言ってはいけません。ライフルを使うことがマーケティング理論および成功と失敗のパターンを駆使することなのですから。みなさんもぜひ,ライフル,いやアサルト・ライフルを使って的を当て,豪華な賞品を獲得してください。