Ubuntu Weekly Topics

2011年10月21日号 Ubuntu 11.10 Japanese Remixのリリース・11.10の紹介記事各種・Preciseの開発開始・Ubuntu Open Week・Ubuntu Hardware Summit・UWN#236

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Ubuntu 11.10 Japanese Remixのリリース

Ubuntu Japanese Teamでは,Ubuntu 11.10の「日本語環境向け」RemixであるJapanese Remixをリリースしました。Japanese Remixは,ubuntu.comでリリースされているものよりも「より日本語環境に特化した」初期設定・パッケージ設定をあらかじめ施したものです。今回のリリースからマスタリングに利用しているツールが変更になった関係で,WubiによるWindows環境への導入が行えなくなっています。

既存のUbuntu 11.04環境からのアップグレードも可能です。11.10 Beta2をインストールした環境の場合,単にアップデータを適用することで11.10リリース相当(もしくはそれ以降)の環境に更新できます注1)⁠

すでに11.10(ubuntu.comからリリースされたもの)をインストールしている場合は,リポジトリを追加することで同等の環境にすることもできます。厳密には,利用するフォントの優先順を制御するために/etc/fonts/conf.d/69-language-selector-ja-jp.confの以下3行(confファイルの6〜8行目)を削除する必要がありますが,Qtを利用したソフトウェア以外では顕在化しないため,この処理は必須ではありません注2)⁠69-language-selector-ja-jp.confへの修正はPrecise(12.04 LTS)向けの公式な修正として提案し,通ればOneiricにもSRUをかける予定なので,Pや「近い将来の」Oneiricではこうした面倒な修正を加えることなく利用できるようになる見込みです注3)⁠

<test name="lang" compare="contains">
            <string>ja</string>
        </test>
注1
Beta2メディアに含まれていたバグ(LP#322830。先週少し触れたリリースを遅らせかけたもの)により,DBusが用いるMachine IDがuniqueではない状態になっています。Japanese Remix Beta2からインストールした環境では,問題回避のため「sudo /bin/ch -c 'dbus-uuidgen >/var/lib/dbus/machine-id'」を実行してシステムを再起動してください。一般的な環境では「同一のメディアから複数のマシンにインストールし,かつ,それらの環境でOneConfを利用する場合」に顕在化します。
注2
これはfontconfigの設定ファイルの設計上,本来行うべきではない(各言語で設定スコープを制約することで,設定の相互作用を小さくすべき)ものですが,現時点においてUIの表示品質を担保するための苦肉の策として採用しています。これは既存のいくつかのフォントにはCJKそれぞれの文字範囲が重複して収録されています。⁠中国語のフォントなのに日本語の文字と重複している」⁠韓国語の(以下同文)⁠といった問題や,fontconfigが複数の文字指定をハンドリングできない,ユニコードの一部漢字がCJKの字形差を無視しておりそれを識別する方法がない,さらに最近はdroidやMicroHeiなどの各種言語を統合したフォントが出てきた等,一筋縄ではいかない問題が複数重なりあっているため,簡単な解決は難しい状態です。
注3
これから議論(というか言語系パッケージのメンテナの説得)を行う必要があるため,現時点では確定ではありません。

Ubuntu 11.10の紹介記事

Ubuntu 11.10が無事リリースされたため,各サイトでは11.10の紹介記事が花ざかりです。11.10の最後の開発レポートを参照しつつ,すでにインストールした11.10の設定の参考にしたり,インストール時期の検討材料としてひと通り眺めてみてはいかがでしょうか。

なお,CanonicalによるARM環境向けリリースの解説もあります注4)⁠

注4
今回のリリースにはDynabook AZ向けのイメージも含まれています。Android端末としての利用に飽きて放置してあるDynabook AZをUbuntuマシンに仕立てることができます。

Preciseの開発

11.10のリリースが終わって一息ついたところですが,ほとんど間を置かずにPreciseの開発がスタートしています。pre-alpha(と言いつつBeta中盤よりは安全な)なPrecise環境を体験することも可能ですが,まずはOneiric環境で見つかったバグの報告から手がけるのが良いでしょう。

Ubuntu Open Week

Oneiricのリリースが無事に完了し,Ubuntuコミュニティのお祭りUbuntu Open Weekが行われています。

Open Weekは,コア開発者やコアメンバ・各種コミュニティマネージャやCanonical社員が「インターネット越しに」参加者からの質問に答えるイベントです。Ubuntuの開発プロセスやコミュニティ運営について,参加者により深く知ってもらうことを目的としています。開催場所は,irc.ubuntu.com上の#ubuntu-classroomチャンネルです。参加方法はこちら

開催後はwiki.ubuntu.com上にログが公開されます。

UWN#237

Ubuntu Weekly Newsletter #237がリリースされています。

Ubuntu Hardware Summit 2011

CanonicalがOEM/ODMベンダ向けに行うイベント,Ubuntu Hardware Summitが12月に行われる予定です。Hardware Summitはあくまで「Ubuntuでビジネスを行うハードウェアベンダ」向けのイベントではあるものの,2010 年にはUbuntu Lightのお披露目など,重要な情報が出てくるイベントです。

イベント後の各種情報についてはこの連載でお届けする予定です。続報をお待ちください。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1228-1:Linux kernel (OMAP4) のセキュリティアップデート
usn-1229-1:PostgreSQL のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001444.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS・8.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-2483を修正します。
  • PostgreSQLが利用しているpgcryptoモジュールに実装されたblowfishアルゴリズム(crypt_blowfish)実装に問題があり,パスワードに8bit文字が含まれている場合,パスワード文字列が保持する空間が極端に小さくなり,容易に攻撃が可能です。
  • 通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1230-1:Quassel のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001445.html
  • Ubuntu 11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。LP#846922で報告された問題を修正します。
  • quasselcoreデーモンが利用するディレクトリのパーミッション設定に問題があり,本来権限のないユーザーであっても該当ディレクトリに保存されたログ・証明書を閲覧可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1231-1:PHP のセキュリティアップデート
usn-1232-1:X.Org(X server)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001447.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2010-4818, CVE-2010-4819, CVE-2011-4028, CVE-2011-4029を修正します。
  • X Serverの一部のAPIにおいて,入力値を適切に扱っていない問題がありました。これによりXサーバーのクラッシュ,また任意のコードの実行のおそれがあります。ロックファイルの不適切な取り扱いによる不正なファイル閲覧とファイル有無確認が可能な問題も修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,セッションを再起動(一度ログアウトして再度ログイン)してください。
usn-1233-1:Kerberos Vulnerabilities
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2011-October/001448.html
  • Ubuntu 11.10・11.04・10.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-1527, CVE-2011-1528, CVE-2011-1529を修正します。
  • KDCのLDAPバックエンド・Berkeley DBバックエンドにおいて,NULLポインタ参照,あるいはassert()の呼び出しが発生する問題がありました。これによりKDCサービスを停止させることが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合,アップデータを適用することで問題を解決できます。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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