Ubuntu Weekly Topics

2014年11月21日号 UOS 14.11:15.04におけるMySQL・車載デバイスへの展開の現状・15.04と14.04.2のリリーススケジュール・UWN#342

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UOS 14.11:15.04におけるMySQL

Ubuntuの関係者が集って,夢や希望や厳しい現実を話し合うオンラインイベント,Ubuntu Online Summit(UOS)が先週開催されました。今週は先週に引き続き,UOSで話題にされた議題を追いかけていきましょう。

15.04で発生するであろう比較的大きな変化として,MySQL 5.5系から5.6系への更新が挙げられます。この変化は15.04だけでなく,致命的な問題がなければ14.04 LTSにもバックポートされるため,現在Ubuntuを使ってLAMP的な環境を利用しているユーザーすべてに影響する可能性があります。

基本的には14.04 LTS・14.10時代から議論されてきた通り,15.04が5.6系への正式な切り替えタイミングとなる予定です。同時に15.04で実施されるであろう,Upstartからsystemdへの本格切り替えにも対応する方向で主に実務的な議論が行われました。無事に完了すると,現在の「5.5がmainでサポートされ,5.6がuniverseとして提供されるので利用可能」という状態から「5.6がmain,5.5がuniverse」という扱いに切り替わります。mainとuniverseの違いは「Canonicalがサポートしているかどうか」なので,15.04でも5.5系列を利用することは可能です。

また,MySQLにはMariaDBを始めとするさまざまな派生物がありますが,少なくともMariaDB(MySQL 5.6系に相当するMariaDB 10.0)がある程度のレベルでサポートされ,Perconaも利用可能になる状態となりそうです。MariaDBが比較的優遇されているように見えますが,これは主にRHELやSLESがMariaDBを本格的に採用しているためと考えられます。あえて業界の趨勢に反してMySQL 5.6がプライマリになっているのは,Red HatやNovellに比べるとCanonicalはOracleとまだしも友好関係を構築できていることが主な理由と見てよいでしょう。

UOS 14.11:車載デバイスへの展開

Ubuntuを昔から追いかけている場合,3年ほど前に登場した「Ubuntu IVI Remix」存在を憶えているかもしれません。GENIVI Allianceの認定を受けてから3年,現在の車載機器への取り組みについての現状報告が行われました。

要約すると,⁠残念ながら大きな変化はなく,目立ったエピソードは増えていない」というのが現状です。しかしながら,車載ITデバイスは今後大きな躍進が見込まれる分野なので,なんらかの布石は打てないだろうか?ということを中心に話し合いが行われました。⁠車載デバイスにはOTAアップデートが必要だ。だって販売店で滞留したときにファームが古くてメーカーに返すとかナンセンスだし」⁠というかGENIVI Remixどこいった」⁠もういっそGENIVI以外にもQNXにも手を出すべきなのでは」⁠GENIVIとQNXは車載デバイス向けプラットフォームで,おおむねライバル関係にあります)⁠GENIVI的な開発環境をセットアップできるようにするにはどうすれば」といった,夢と現実を摺り合わせる議論が展開されたものの,⁠とりあえずすぐにUbuntuが車に載ることはなさそう」というあたりに結論が落ち着いています。

vividのリリーススケジュール

UOSを経て,vivid(15.04)「ひとまず」の開発スケジュールが策定されました。開発が順調に進んだ場合,Ubuntu 15.04 “Vivid Vervet⁠は2015年4月23日にリリースされます。

大きなマイルストーンとしては,11月27日にFeature Definition Freeze,そして年明け2月5日にDebian Import Freeze,そして2月19日がFeature Freeze,4月9日にKernel Freezeとなっています。

これはおおむねこれまでの開発と同じペースで,⁠リリース4ヶ月前に仕様の概要が,そしてリリース2ヶ月前には基本機能が固まり,3週間前にカーネルが確定」というスケジュールとなります。もしも15.04に投入したい新機能がある場合,ただちに仕様を提案する必要があるでしょう。また,15.04がきちんと動いていないと困る場合は,成人の日あたりをメドにテストを開始し,遅くとも雛祭りの頃にはバグレポートが完了していなければいけないというペースです。ただし,現時点でのマイルストーンは「とりあえず」という扱いなので,今後問題が発覚する,あるいは15.04を搭載する大口OEMが発生するといった事情によって変動する可能性があることに注意してください。

また,14.04の2回目のポイントリリースの時期についても話し合いが行われ,⁠ひとまずのターゲットは2月の第2週とする」という合意も形成されています。

UWN#342

Ubuntu Weekly Newsletter #342がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-2409-1:QEMUのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002727.html
  • Ubuntu 14.10・14.04 LTS・12.04 LTS・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2014-3615, CVE-2014-3640, CVE-2014-3689, CVE-2014-5263, CVE-2014-5388, CVE-2014-7815を修正します。
  • QEMUのvgaデバイス・vmware_vgaデバイス・USB xHCIデバイス・ACPI PCIホットプラグ・ゲストネットワーク・VNC接続に関連する問題を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
usn-2411-1:mountallのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2014-November/002728.html
  • Ubuntu 14.10用のアップデータがリリースされています。
  • UEFIモードでインストールした場合,誤って/boot/efiが777でマウントされていました注1)⁠
  • 対処方法:アップデータを適用の上,システムを再起動してください。
注1
UEFIで用いるシステムパーティション(ブート領域置き場)に相当するESP(EFI System Partition)は,さまざまなOSから利用するためにFAT16でフォーマットされています。FAT16にはパーミッション的な仕組みは準備されていないため,この領域をどう扱うかはOS側の実装に依存します。Ubuntuではこれを/boot/efiにマウントし,かつ一般ユーザーからは書き込みできないようにパーミッションを補正する処理を行っていたのですが,14.10ではこの機能がうまく作り込まれておらず,誰からでも書き込み可能な777でマウントされる結果となっていました。この領域にブートしたいファイルを配置することで,システムを侵害することも可能です。14.10を利用している場合は速やかにアップデートと再起動を行ってください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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