Ubuntu Weekly Recipe

第40回 クライアント・サーバ環境の活用(1)

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Ubuntuのユーザの中には,複数のPCを利用されている方もいるでしょう。今回から数回に分けて,複数のPCを使いこなすユーザ向けのレシピをお届けします。今回は伝統的なUnix環境のノウハウが中心です。

リモートデスクトップ

複数台のマシンを利用している場合,第21回などで紹介したリモートデスクトップがもっとも単純な相互利用の方法です。大抵の環境ではリモートデスクトップだけで問題ないでしょう。具体的な設定方法は本連載の過去の記事を参照してください。

リモートデスクトップを使うことによる利点は幾つかありますが,主立ったものは次の通りでしょう。

  • 「使い慣れた環境」を複数のマシンから利用することができる。
  • クライアント側になるマシンの性能が低くても問題ない。

特に,クライアント側のマシンの性能が低くても問題ない,というのは大きなメリットになります。NetBook/NetTopといった低性能のマシン注1や,古いマシンを流用する場合であっても,これらのマシンをクライアントとして使い,ある程度高性能なマシンに接続するのであれば快適に利用できます。

注1)
ただし,2002年前後のマシン(CPUクロックが1GHz前後・メモリ256MB程度)に比べるとNetBook/NetTopの方が高性能です。

ファイルの共有

複数のPCを利用する場合,次のような点が問題になります。

データの共有ができない:

ローカルPCをあくまでリモートデスクトップクライアントとして(つまりシンクライアントのように)使うのであれば問題になりませんが,通常のデスクトップとして使いつつ,たまに他のマシンにリモートデスクトップに接続する,といった利用方法の場合,各マシン間でデータ(ドキュメント以下にあるファイルや,あるいはブラウザのブックマークといったもの)が揃わなくなっていきます。

ネットワークに依存してしまう:

リモートデスクトップはネットワーク越しの操作ですから,ネットワークが正常に機能していなければ利用できません。ネットワークが不安定な環境注2では実用にならないでしょう。

この問題については簡単には解決できませんので,今回は扱いません。

注2)
たとえば2.4GHz帯の無線LAN(11b/g/n)を利用している場合だと,電子レンジを稼働させただけでネットワークは途切れます。

NFSサーバ

Unix OSにおいて,もっとも容易なファイル共有方法はNFSです。あまりUbuntu的な解決策ではありませんが,容易に設定できるため,簡単なファイル共有としては非常に便利に利用できます。

ただし,セキュリティ的にはほとんど配慮されていませんので,クローズドなネットワークで利用する必要があります。

NFSサーバのインストールは次のように行います。

$ sudo apt-get install nfs-kernel-server

この状態でNFSサーバは動作しますが,一切ファイルを公開していない状態ですので,/etc/exportsに外部に公開したいディレクトリを定義します。ここでは,192.168.200.*というネットワークに対して/homeへのアクセスを提供しています。お使いのネットワークに合わせて設定を変更してください。

# /etc/exports: the access control list for filesystems which may be exported
#               to NFS clients.  See exports(5).
#
# Example for NFSv2 and NFSv3:
# /srv/homes       hostname1(rw,sync) hostname2(ro,sync)
#
# Example for NFSv4:
# /srv/nfs4        gss/krb5i(rw,sync,fsid=0,crossmnt)
# /srv/nfs4/homes  gss/krb5i(rw,sync)
#
/home   192.168.200.*(rw,root_squash,no_subtree_check)

設定を反映させるため,NFSサーバをリロードします。

$ sudo /etc/init.d/nfs-kernel-server reload

NFSのクライアント側では次のパッケージを導入します。

$ sudo apt-get instlal nfs-common autofs

さらにクライアントに,/etc/auto.masterと/etc/auto.homeという設定ファイルを設置します。ここではNFSサーバになるマシンのIPアドレスが192.168.200.10であると仮定していますが,これもお使いの環境に合わせて変更してください。

/etc/auto.master

#
# $Id: auto.master,v 1.4 2005/01/04 14:36:54 raven Exp $
#
# Sample auto.master file
# This is an automounter map and it has the following format
# key [ -mount-options-separated-by-comma ] location
# For details of the format look at autofs(5).
#/misc  /etc/auto.misc --timeout=60
#/smb   /etc/auto.smb
#/misc  /etc/auto.misc
#/net   /etc/auto.net

/nfs/192.168.200.10/home   /etc/auto.home

/etc/auto.home

*       -intr,tcp,nosuid 192.168.200.10:/home/&

設定を反映させるため,クライアントのautofsサービスをリロードします。

$ sudo /etc/init.d/autofs reload

この状態で/nfs/192.168.200.10/home/にアクセスすると,192.168.200.10のマシン上のhomeディレクトリ以下にアクセスすることができます。複数のマシンを登録したい場合,エントリをその数だけ増やすことで行えます。たとえば,192.168.200.10と192.168.200.20にあるマシンにNFSアクセスしたい場合,以下のようになるでしょう。

/etc/auto.master

/nfs/192.168.200.10/home   /etc/auto.home.10
/nfs/192.168.200.20/home   /etc/auto.home.20

/etc/auto.home.10

*       -intr,tcp,nosuid 192.168.200.10:/home/&

/etc/auto.home.20

*       -intr,tcp,nosuid 192.168.200.20:/home/&

また,WindowsXPや,Windows Vista Ultimate/Enterpriseをお使いであれば,Windows環境からNFSを見ることも可能です。これらの具体的な利用方法は今回は説明しませんが,SFU3.5をインストールする(WindowsXPの場合)か,もしくはSUAを利用してNFSクライアント機能をインストール(Windows Vistaの場合)してください。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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