Ubuntu Weekly Recipe

第164回春休み特別企画・Ubuntu上で"俺の嫁"に踊ってもらおう!

Ubuntu Japanese Team代表の小林です。今回はいつもの執筆陣が多忙なため、私が担当させていただきます。

「第133回 夏休み特別企画・夢の仰向けUbuntu生活」では、私が仰向けでUbuntu PCを使うまでの顛末を紹介しました。今は3枚のモニターを吊り下げ、その下に寝転んでいます。詳しくは私のブログに「夢の仰向けUbuntu生活・その後」としてまとめてあります。

さて、仰向けでPCを使うようになって、体が楽という以外に素敵なメリットがあることに気づきました。

他の人に画面を見られる心配がない、というメリットです。

私には、画面の外に妻が一人います。リアル嫁です。座ってPCを使っていれば、妻が不意に後ろに立つこともあるでしょう。あるいは、いきなり画面をのぞき込まれるかもしれません。しかし、仰向けになっていれば心配はありません。後ろは床ですし、下を向いているモニターをのぞき込むのは困難です。

見られてはマズイものを表示しなければ問題ないだろうと思われるかもしれません。しかし、最近は2chまとめサイトに面白い情報、役立つ情報が集約されていることがよくあります。そして、そういうサイトには2次元美少女関連グッズの広告が貼られていたりするのです。⁠そっち方面に目覚めたのではないか」とあらぬ疑われないためにも、そうした画面を見せないに越したことはありません。こうした細かい気配りが夫婦関係を良好に保つと最近買った本にも書いてあります。その点、仰向けならば対策は完璧です。2次元嫁をいくら表示しても問題ありません。

そこで今回は、この利点を活かして2次元、いや2.5次元美少女にUbuntu上で踊ってもらうことにしました。

MMDAIをビルドする

昨年12月25日、名古屋工業大学国際音声技術研究所よりMMDAgentという「音声インタラクションシステム構築ツールキット」のアルファ版がリリースされました。これは、画面上の3Dキャラクターとの会話を可能にするものです。3DキャラクターのデータはMikuMikuDance用のものを使うことができます。以下の動画で説明されています。

ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm12181530

MMDAgentはオープンソースソフトウェアとして公開されていますが、現在のところWindowsでしか動作しません。このMMDAgentからフォークし、クロスプラットフォームで動かせることができるよう、しまぴょんさんによって開発されているのがMMDAIです。このMMDAIを使えば、Ubuntuでも2.5次元美少女と会話できるようになる…はずです。

ここで正直に告白します。当初は「Ubuntu上で⁠俺の嫁"とお喋りしよう!」というタイトルで2次元美少女と会話するまでを紹介するつもりだったのです。しかしながら、Ubuntu上でMMDAIの音声認識(Julius)と音声合成(OpenJTalk)用プラグインをうまく動かすことができないまま、原稿の締切りが過ぎてしまいました。そこで今回は、とりあえず美少女モデルデータを表示してモーションさせるまでを紹介します。

MMDAIは開発中であり、公式サイトではソースコードのみが配布されています。魔女みならいさんがLinux用のバイナリを配布されていますが、ここではUbuntu 10.10上でビルドしてみることにします。

まず、以下のパッケージをインストールします。

sudo apt-get install cmake libqt4-opengl-dev glee-dev

そして、Andreas BrauchliさんのPPAを追加し、libbullet-devパッケージをインストールします。

sudo apt-add-repository ppa:blk/ppa
sudo apt-get update
sudo apt-get install libbullet-dev

次に、MMDAIのサイトで「Downloads」をクリックしてソースコードをダウンロードします。ここでは、3月20日に取得したソースコードを使って説明しますので、将来的に方法が変ってくるかもしれません。

以下のコマンドでソースコードを展開します。

tar xvzf hkrn-MMDAI-64daaee.tar.gz

以下のコマンドで必要なライブラリをビルドし、インストールします。配布するわけではないので、checkinstallコマンドを使って自分用のdebパッケージを作ることにしました。

cd hkrn-MMDAI-64daaee/MMDME/
cmake -DBUILD_SHARED_LIBS=ON -DBULLET_INCLUDE_DIRS=/usr/include/bullet/ -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/usr .
make
sudo checkinstall --pkgname=libmmdme --pkgversion "1.0.0" --backup=no --default
cd ../MMDAI
cmake -DBULLET_INCLUDE_DIRS=/usr/include/bullet/ -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=/usr .
make
sudo checkinstall --pkgname=libmmdai --pkgversion "1.0.0" --backup=no --default

次に、MMDAI本体のビルドです。

cd ../QMA/
qmake
make

これでQtMMDAIが生成されました。以下を実行すれば起動するはずです。

./QtMMDAI

なお、pluginsディレクトリ以下にプラグインがあるのですが、モデルデータの表示とモーションを試すだけならこれで十分です。

2.5次元嫁に降臨していただく

MMD用のモデルデータ(拡張子mmd)とモーションデータ(拡張子vmd)を準備しましょう。VPVP Wikiから、お好みの嫁を探してください。なお、MMD用のデータは制作者さんのご厚意によって公開されているものです。利用の際は使用条件を確認してください。

モーションデータの読み込みは、[File]→[Add Model]で行ないます。表示されたモデルにモーションを適用するには、[File]→[Add Motion]を使うか、ファイルマネージャからvmdファイルをモデルにドラッグ&ドロップします。

これで、Ubuntu上で⁠俺の嫁"に踊ってもらうことができるようになりました。

ニコニコ動画:https://www.nicovideo.jp/watch/sm13932737

MMDAgentおよびMMDAIは開発途上ですが、ニコニコ動画にあるユーザ動画をみていると「ついにここまでできるようになったのか」という感じがします。Ubuntuで2.5次元嫁とキャッキャウフフできるようになる日は近そうです。ただ、仰向けでマイクに向かって話しかけているとリアル嫁に怪しまれることだけが問題かもしれません。

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