Ubuntu Weekly Recipe

第254回GNOME 3.6用の拡張機能12選(前編)

今回はUbuntu 12.10におけるGNOMEの概要と、お勧めの拡張機能について紹介します。

Ubuntu 12.10とGNOME

Ubuntu 12.10のGNOMEは、原則として3.6にバージョンアップしました[1]⁠。Ubuntu GNOME Remixという新しいフレーバーもリリースされ、GNOMEファンにはうれしいバージョンです。ただし、Ubuntu固有の問題でIBusのアイコンが表示されないというのがあります。これは現状どうしようもなく、[キーボード・インプットメソッド]を起動して[言語パネルの表示]を[アクティブであるとき]にし、ツールバーを表示するぐらいしか有効な手段がありません。

なお、GNOME ShellでもUnityと同じくllvmpipeで動作するようになっており、ログイン時に意図的に選択しないとGNOME Classicは使用できません。

宣伝で恐縮ですが、Ubuntu Magazine Japan vol.10ではUbuntu GNOME RemixあるいはUbuntu 12.10にGNOME Shellをインストールし、活用するテクニックを寄稿しましたので、この記事とあわせて読んでいただければ幸いです。

今回はUbuntu GNOME Remixで検証していますが、gnome-shellパッケージをインストールしても同じです。その場合はTweak Tool[2]もインストールしてください。

GNOME Shellの拡張機能についてのおさらい

過去に何度かGNOME Shellの拡張機能について紹介していますが、あらためておさらいです。GNOME ShellはJavascriptとCSSで書かれた拡張機能が使用でき、かゆいところに手が届くようにカスタマイズできます。ただしGNOME Shellのバージョンに依存すること、現状自動的にアップデートする仕組みがない[3]など、いくつか懸念事項もあります。

今回取り上げる拡張機能はUbuntu GNOME Remix上のGNOME 3.6で検証したものであり、Ubuntu 12.04 LTSのGNOME 3.4では動作しないものが含まれている可能性があります[4]⁠。今のところUbuntu 13.04はGNOME 3.6のままの予定なので特に問題はなさそうですが、将来的にGNOME Shellのバージョンが上がるとまた問題となるので、ご注意ください。気に入った拡張機能がある場合、それがGNOME Shellの最新版に対応しているかよく確認してからアップグレードするようにするといいでしょう。

拡張機能の管理は拡張機能のWebサイトとTweak Toolで行えます。今回は前者を使用します。FirefoxやWeb[5]といったWebブラウザーでアクセスすると、拡張機能のインストールや管理画面が使用できます。

拡張機能のインストール方法

拡張機能のインストールについては第203回で言及しています。方法は変わっていませんので、必要であればこちらをご覧ください。

お勧めの拡張

さて、ここからは筆者お勧めの拡張を紹介していきます。

Dash to Dock

Dash to Dockは筆者お気に入りの拡張機能であり、Ubuntu Magazine Japan vol.10でも取り上げました。しかし、何度でも取り上げたいほど素晴らしい拡張機能なのです。

Dash to Dockはその名のとおりDashをDockにするものです。Dashは、UnityのDashとは異なり左側に表示されるランチャーのことです。しかし、アクティビティ画面[6]でないと表示されず、マウスで操作する場合はウィンドウの切り替えだけでもアクティビティ画面に移行する必要がありました。拡張機能としては前々からDockもありますが、右側に出てくるためワークスペースの切り替えをするときに邪魔になることもありましたし、そもそも似たような機能を持ったものが左右に出てくるのは鬱陶しかったのです。しかし、この拡張機能でそれらの問題が一気に解決します。普段は隠れていますが、アクティビティ画面でなくてもカーソルを左側に持っていくと表示されますし、細かなカスタマイズもできます。しかし、GNOME 3.6では、[アプリケーションの表示]ボタンがDashに追加され、これをDash to Dockに追加するのに少々時間がかかりました。しかし、ようやく追加されて新バージョンがリリースされました。

Dash to Dockのインストール後、[Installed Extensions]を表示すると、青い道具アイコンが表示されているはずです。これをクリックして設定画面を表示し、必要であれば設定を変更してください。通常は変更の必要はないでしょう。

図1 Dash to Dockを使用しているところ。アクティビティ画面ではないのに表示されている
図1 Dash to Dockを使用しているところ。アクティビティ画面ではないのに表示されている

Gmail Notify

Gmail Notifyはその名のとおりGmailの通知を表示します。まず、この拡張機能をインストールする前にgir1.2-goa-1.0パッケージをインストールしておいてください。もし忘れた場合は、インストール後にAlt+F2キーでダイアログを表示し、[r]と入力して[7]エンターキーを押してください。するとGNOME Shellが再起動します。

さらにシステム設定の[オンラインアカウント][8]でGoogleのアカウントを追加してください。同時にGmailのパスワードも質問されるので、入力してください[9]⁠。これでメールが来た際に通知されるようになります。

図2 Gmail Notify を使用しているところ。とてもわかりやすいものの、ディプレイが小さいとやや厳しい
図2 Gmail Notify を使用しているところ。とてもわかりやすいものの、ディプレイが小さいとやや厳しい

Activities Configurator

Activities Configuratorは、その名のとおりアクティビティの設定を変更する拡張機能です。

インストール後、即アクティビティの文字が消え、電球のアイコンになります。このアイコンを右クリックすると拡張機能の設定画面が表示されます。[New Text]で[アクティビティ]の代わりの文字列を入力することができますし、テキストをなしにすることもできます。アイコンも変更することができますし、なしにもできます。それどころか、アクティビティの表示自体を消すことすらもできます。[Set Panel Background]で色を変更し、[Panel Transparency]で透明度の設定もできます。一発でリセットできるのもなかなかいいです。

図3 Activities Configuratorを使用し、いろいろ変更したところ。アイコンをつけ、[アクティビティ]の文字列を変更し、配色を変更しつつ半透明にした。ここまでカスタマイズできるとは驚きだ
図3 Activities Configuratorを使用し、いろいろ変更したところ。アイコンをつけ、[アクティビティ]の文字列を変更し、配色を変更しつつ半透明にした。ここまでカスタマイズできるとは驚きだ

Todo List

Todo Listは、その名のとおりTodoをリスト表示するためのものです。非常にシンプルで全く管理しないところがいいです。Todoに入れたいことは下の欄に入力し、登録すると個数がインジケーターに表示されます。終わったらこの項目をクリックし、消します。たったこれだけです。長期的なTodoの管理には向きませんが、1週間以内ぐらいのToDoであれば、これで管理してみるといいのではないでしょうか。

図4 ToDo Listを使用しているところ。メニューすらないシンプルな作りだ
図4 ToDo Listを使用しているところ。メニューすらないシンプルな作りだ

拡張機能紹介の後編は、来月の早い段階でお届けする予定です。来週と新年一発目は待望の特別企画ですので、どうぞお楽しみに。

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