Ubuntu Weekly Recipe

第265回 Ubuntu Serverをさらっと用意する方法

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人生というドラマにおいて,Linuxサーバーを用意しなければ幕が下りてしまう展開にいきなり遭遇するかもしれません。今回は,そんなシーンが訪れても慌てなくてすむように,Ubuntu Serverをインストールするいくつかの方法を紹介します。

Ubuntu Server

UbuntuはともすればデスクトップOSと見られがちですが,サーバーにも力を入れています

ベースとなったDebianが世界でもっとも使われているLinuxウェブサーバーであり,最近とみに話題なARMサーバーやOpenStackにも対応していること,LTSという5年間サポートするリリースが2年に一度リリースされることから,デスクトップと同様に採用事例を増やしてきました注1)。

サーバー版といってもデスクトップ版と同じリポジトリを使用するため,使われるソフトウェアはデスクトップ版と変わりありません。Ubuntu 11.04からカーネルもデスクトップ版と統合化されたので,ソフトウェアレベルで何か違いを感じることはないでしょう。

ではなぜサーバー版とデスクトップ版でインストールCDが異なるのでしょうか注2)。これはデスクトップ版がGUIインストールのためにデスクトップ環境をインストールCDに含んでいるのに対して,サーバー版は原則としてテキストベースでインストールを行うためにGUIソフトウェアをCDに用意する必要がないためです。

よって,デスクトップ版をインストール後にサーバーソフトウェアを追加したり,その逆を行うことも可能です。

注1
直近のLTSは12.04で,これは2017年までサポートを行います。なお,2月にはリリース後のセキュリティアップデートを適用済みの「ポイントリリース」である,12.04.2がリリースされました。現時点でUbuntu Serverをインストールするなら,12.04.2を使うのがベストな選択でしょう。
注2
イベントなどではデスクトップ版とサーバー版のCDをそれぞれ配布しているために,よく違いを尋ねられます。

必要要件

ただUbuntu Serverを試してみたいだけであれば,それほどハイスペックなマシンは必要ありません。例えばサーバーガイドにある最小要件は次のとおりです。

  • 300MHzのCPU
  • 128MBのメモリー
  • ベースシステムに500MBのHDD
  • すべてのタスクをインストールするには1GBのHDD

静的なウェブサーバー程度であればこれでも十分動作します。ただプライベートクラウドを構築したいなど,より本格的に使用したいのであれば,仮想化支援機構付きの64ビットCPUや数GB以上のメモリーなどが必要になるでしょう。実際にサーバー版のイメージは用途を考えてすでに64ビット版の方が推奨環境になっています。

ちなみに,x86 CPUだけでなくARMもサポートしています。Armada XP用のイメージも公開されているため,OpenBlocks AX3でも動作します。ただしARMv7以降のアーキテクチャーのみのサポートです。たとえばRaspberry Piでは動作しませんので注意してください。

インストール方法

ISOイメージファイルを使う

Ubuntu Serverの場合も,デスクトップと同様にISOイメージファイルをダウンロードしてインストールするのが一般的な方法です。Ubuntu 12.04.212.10ともにイメージがファイルが公開されているので,それをダウンロードして使いましょう。

デスクトップ版と同じく,「スタートアップ・ディスクの作成」ツールを使って,USBメモリーをインストールディスクにすることも可能です。

この方法のメリット・デメリット
  • 通常のインストールと同じステップでインストールできる。
  • ネットワークがない環境でも実行できる。
  • 実機か仮想環境かを問わずに使える方法である。
  • インストールの自動化にはイメージのリマスタリングなどの手間がかかる。

ちなみにCloudCore VPSさくらのVPSではISOイメージをアップロードしてインストールに使う機能が存在します。Ubuntuのカスタムインストールイメージを作成した時は,これらの機能と併用するとより簡単にインストールできるでしょう。

LXCを使う

LXC(Linux Containers)を使えば,コマンド一つでUbuntuのミニマルな仮想環境を作成できます。このため,お手軽さという意味では一番簡単な方法でしょう。例えば,Ubuntu 12.04.2 (precise)の仮想マシンを作りたいなら,lxcパッケージをインストールした上で,lxc-createコマンドを実行すれば作成できます。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install lxc
$ lxc-create -t ubuntu -n precise
この方法のメリット・デメリット
  • インストール完了まで自動化されているため,今回紹介した方法の中では一番シンプルな手順になっている。
  • 実機サーバーを必要としない。
  • ARMサーバーでも使えるし,x86マシン上でARMマシンをエミュレートすることもできる。
  • lxcコマンドを使えば,サスペンドやコピーもすぐに行える。
  • LXC on LXCのような入れ子構造も可能。
  • どの環境でもカーネルだけはホストと同じバージョンが使われる。
  • ユーザー名などは実行時にオプション指定するか,テンプレートを編集する必要がある。

LXCについては,第226回の記事も参照してください。

ネットワークインストール

別途TFTP/DHCPサーバーを用意できるなら,ネットワークインストールという方法を用いて,メディアを用意することなくUbuntuをインストールできます。お手軽さで言えばインストールメディアを用意するほうがはるかに簡単なのですが,一度セットアップをすませてしまえば,何度でも流用できるため,複数台のインストールが必要な場合に有効な手段となるでしょう注3)。

この方法のメリット・デメリット
  • USB/CDブートできないマシンでも使用できる。
  • 起動時にpreseedファイルを渡すことで比較的かんたんにインストールを自動化できる。
  • あらかじめダウンロードしなければいけないファイルは最小となる。
  • インストール時にパッケージをダウンロードすることになるため,それなりに高速なネットワークが必要になる。

詳しい手順については,第47回の記事を参照してください。ちなみにVirtualBoxのような仮想マシンにインストールする場合でもこの方法が使えます。

注3
ただしこの状況でなおかつインストールするOSがUbuntuに限定されるのであれば,MAASを使った方が良いでしょう。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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