Ubuntu Weekly Recipe

第296回 Ubuntu 13.10と日本語入力

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

今回は,Ubuntu 13.10で大幅に変更された日本語入力の設定方法について解説します。

変更点の概要

Ubuntu 13.04から13.10の間に,多言語入力(ここでは日本語だけを取り扱うので日本語入力とします)に関して大きな変更がありました。まず,IBusが1.5にバージョンアップされました。通常バージョンアップによって機能は増えるものなのですが,IBusでは逆でかなり減っています。これは1.5からGNOME注1との統合(同時に使用されること)が前提になったことによる影響と思われます。それに伴い,Ubuntuでも13.10からIBusとGNOMEが統合された状態で使用できるようになりました注2)。また,IBus 1.4までではUnityのインジケータにIBusのアイコンが表示できるようにパッチが適用されていましたが,これは1.5からはなくなりました。その代わりに,indicator-keyboardという専用のインジケータが用意されました。ツールバー(言語パネル)もよく使用されていたのではないかと思いますが,これもなくなりました。

IBus 1.5の仕様変更に伴い,IBusのオン/オフという概念がなくなり,常時起動になりました。そして,さまざまなキーボードや変換エンジンなどをSuper注3+spaceで切り替えるようになりました。いわゆる半角と全角の切り替えは,半角/全角キーで行うようになりましたが,今までは半角と全角の切り替えを使用せず,IBusのオン/オフをもって半角と全角を切り替えているユーザが多数存在する,ということが筆者の観測から明らかになりました。

すなわち,感覚的にはこれまで半角/全角キーで半角と全角の入力を切り替えていたのが,Super+spaceに変更されただけということです。これはWindows 8での挙動と同じであり,また初回ログイン時にその旨の通知が表示されるので,なんとか理解できなくもないのでは,と思います。

問題はUnityの不具合でSuper+spaceキーが効かないことです。indicator-keyboardからマウスで切り替えることはできますが,いちいち面倒です。Shift+Super+spaceというワークアラウンドもありますが,そんなのわかりようがないですし,わかったとしてもindicator-keyboardの表示が変わらないという問題があります。つまり,UnityがSuper+spaceを受け取っていないと考えられます注4)。さらに,半角/全角キーを押して半角と全角を切り替えるのはいいのですが,現在のIBusにもindicator-keyboardにもその状態を表示する機能はありません注5)。さらに,言語パネルがなくなったために,その変換エンジン(AnthyやMozc)の専用ツールを起動する方法がなくなってしまいました。Anthyの単語登録はショートカットから呼び出せますが,Mozcの辞書ツール,手書き認識,文字パレット,単語登録は(コマンドライン以外から)呼び出す方法がなくなってしまいました。

注1)
より正確には、gnome-settings-daemonとgnome-control-centerが影響を受けています。
注2)
13.04まではソースコードレベルで統合を無効にしていました。
注3)
Superキーは,WindowsではWindowsキーであり,MacだとCommandキーです。
注4)
Super+spaceとShift+Super+spaceはUnityとIBusと両方にアサインされており,通常では両方にアサインされた場合はUnityに割り当てられます。これは,プレエディット(確定前文字列)が表示されている状態でAltキーを押してしまうと,確定してHUDが表示されてしまうことからもわかります。しかし,Unityに割り当てられないということからこの推測が成立します。
注5)
GNOME Shellにはあります。

indicator-keyboard

まごうことなきUbuntu 13.10の新機能ですが,現段階ではあくまでIBus 1.4のインジケータ対応パッチとほぼ同じ項目の表示しかできません。以前は足りない部分は言語パネルを表示すればよかったのですが,IBus 1.5だとそれができず,機能不足が目立つことになってしまいました。indicator-keyboardはより活発な開発が必要であるのは明白ですが,それがなされるかは不透明といったところです。どなたか開発に興味がある人はいないものでしょうか。

図1 これがindicator-keyboard

図1 これがindicator-keyboard

図2 GNOME Shellだとこのような表示になるので,indocator-keyboardも同様になるのが理想と言える

図2 GNOME Shellだとこのような表示になるので,indocator-keyboardも同様になるのが理想と言える

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバー。Ubuntu Japanese Teamではパッケージングなどを担当。ほかには日本語入力関連やOpenOffice.org日本ユーザー会コミッティも兼任。

コメント

コメントの記入