Ubuntu Weekly Recipe

第314回 PPA(Personal Package Archive)の登録及び抹消操作の便利ツール

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本連載の第312回で,パッケージ管理に関する様々なレシピをお届けしました。今回はその中からPPA(Personal Package Archive)に着目して,その登録及び抹消操作に関するレシピをお届けします。

パッケージの配布元

ツールの説明の前に,パッケージの配布元に関して説明します。

普通にUbuntuを使っている場合,システムにインストールされるパッケージは,一定の手続き及びUbuntu開発者の合意を経たうえで作成されたものです。こういったパッケージはUbuntuの公式リポジトリから配布されます。

このUbuntu公式リポジトリから配布されているパッケージですが,第312回で説明したように,Ubuntuの正式リリース後,ソフトウェア自体のバージョンが上がるような更新は提供されません注1)⁠

これを受けて,不便を感じた個人が,新しいバージョンのソフトウェアのパッケージを提供することがあります。また上流の開発者が,広くテスターを集めたい,現在主流の環境におけるテストを行いたい,色んなソフトウェアと組み合わせて試すことで予期せぬバグを洗い出したい,などの理由で,最新のソフトウェアのパッケージを提供することもあります。

これらのパッケージは一定の手続きを経ていないため,Ubuntu公式リポジトリから提供されません。個人が別な手段を用意して提供します注2)⁠

手段の1つとして,Ubuntu公式リポジトリと同じように振る舞うリポジトリが挙げられます。配布者はリポジトリを用意してパッケージを置いておきます。利用者はそれをシステムに登録することで,リポジトリ内のパッケージを利用可能にします。

Personal Package Archive(PPA)は,このような手段の1つとして使われます。

なお,このようなパッケージを利用する場合,利用者側は注意する必要があります。つまり,Ubuntu開発者の合意を経ないパッケージをシステムにインストールすることになるため,そのパッケージに起因する不具合が発生したとしても,Ubuntu開発者にバグを報告できないということです。筋としてはパッケージの配布者に対して行うことになります。

注1)
これにはいくつかの例外が存在します。
注2)
俗に「野良パッケージ」と呼ばれます。

Personal Package Archive(PPA)

PPAはlaunchpad.netに用意された,個人用リポジトリです。配布者はlaunchpad.netにアカウントを作成すると,PPAに自由にパッケージを置くことができるようになります。利用者はPPAをシステムに登録することで,PPAで配布されているパッケージをインストールすることができます。

PPAの身近な例として,Ubuntu Japanese TeamのPPAが挙げられます。Ubuntu Japanese Teamでは,Ubuntu 13.10の日本語入力環境のセットアップを簡便にするソフトウェアを開発し,PPAを通じてパッケージを配布しています。また,unzipに対してパッチを当て,日本語環境で一般的に使われる文字符号化方式を正しく検出して処理できるようにしたパッケージも配布しています。

PPAの登録

PPAはシステムに登録しなければ利用できません。そこでここでは,software-propeties-gtkとapt-add-repositoryを紹介します。

software-properties-gtk

これは「ソフトウェアとアップデート」としてGUI画面で操作するソフトウェアです。⁠ソフトウェアとアップデート」を使いPPAを登録する手順は,本連載の第46回で既にお伝えしていますが,ここではもう少し文字を費やして説明します。

図1 ⁠ソフトウェアとアップデート」「他のソフトウェア」タブ

図1 「ソフトウェアとアップデート」の「他のソフトウェア」タブ

「ソフトウェアとアップデート」を起動する方法はいくつかあります。

  • UnityのDashで「ソフトウェアとアップデート」を検索して起動する
  • 「Ubuntuソフトウェアセンター」を開き,メニューで編集,ソフトウェアソース,とたどる
  • 「ソフトウェアの更新」を開き,設定ボタンを押す

「ソフトウェアとアップデート」を使ってPPAを登録するには,⁠他のソフトウェア」タブでボタン「追加」を選択します。ダイアログが開き,⁠リポジトリの完全なAPTライン」の入力を求められます。⁠APTライン」に関する説明は今回の趣旨ではないので省略します。

PPAであれば,正しいAPTラインの代わりに,PPA特有の表記を使うことができます。Ubuntu Japnese TeamのPPAを登録するには,以下を入力します注3)⁠

ppa:japaneseteam/ppa

登録を完了したら「ソフトウェアとアップデート」「閉じる」ボタンを押します。登録されているリポジトリ情報を変更したため,パッケージ情報を更新するかどうかの選択を求められます。とくに事情がなければ「再読み込み」ボタンを押します。

ここまで操作を終えると,UbuntuソフトウェアセンターなどでPPAのパッケージをインストール可能になります。Ubuntu公式リポジトリのパッケージよりも新しいパッケージが利用可能になった場合は,適当なタイミングで「ソフトウェアの更新」が自動起動するはずです。

PPAを無効にするには,同じく「他のソフトウェア」タブでPPAのエントリーのチェックボックスを外します。登録を抹消するにはエントリーを選択した状態で「削除」ボタンを押します。いずれの操作もリポジトリ情報の変更を伴うので,⁠ソフトウェアとアップデート」を閉じようとすると,パッケージ情報の更新を求められます。

これ以外にも「ソフトウェアとアップデート」は,リポジトリの登録に関する重要な機能を持ちます。ですが,これは今回の趣旨ではないので省略します。

注3)
裏では,APTラインへの展開と登録,GPG公開鍵の取得など,重要な処理が一括で行われます。

著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。

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