Ubuntu Weekly Recipe

第349回 Unity 7を使いこなす

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Ubuntu 14.10は目立った新機能がほとんどない,とても大人しいリリースになりました。特にUbuntu標準のGUIシェルとして開発されているUnityのデスクトップ向けバージョンが,メンテナンスモードになっていることもその一因でしょう。そこで今回はそんなUnityの現状を振り返り,今一度その使い方を見直してみます。

現在のUnityのステータス

UnityはGNOMEデスクトップ環境上で動く,Ubuntu標準のデスクトップシェルです。元々はただのネットブック向けのアプリケーションランチャーだったものが,一時期流行った3DウィドウマネージャーであるCompizのプラグインになり,最終的に自前のツールキットであるNuxに加えてIndicatorやNotifyOSDとセットで使うことでUbuntu独自のデスクトップUIを形成する存在になりました。

Ubuntu 11.04でデスクトップシェルがGNOMEからUnityに変わった当時は,さまざまな異論・反論が巻き起こったものの,その後もその地位を変更することなく不具合修正や機能拡張を行い続けて,最近ではだいぶ安定し軽快に動作するようになっています。

そんなUnityもUbuntu 13.10でバージョン7になって以降は,ほぼ不具合修正がメインというステータスで,開発の軸足はUbuntu Touch向けに作成中のUnity 8に移っています。将来的にこのUnity 8がデスクトップでも採用される予定ではありますが,早くても1年後,場合によっては2016年4月まではUnity 7が標準のままになるかもしれません。

Ubuntu 14.10で何が変わったのか

先日Ubuntu 14.10がリリースされ,Unityのバージョンは7.2.3から7.3.1と変わりました。このバージョン間の変更点はほぼ不具合修正のみで,目立った新機能の追加はありません注1)⁠

注1)
1年以上前の昨年5月(つまり13.04リリース直後)に書いたUnity 7の新機能と比べても,ほとんど見た目の変更がないことがわかります。

おもだったところを挙げると,次のような修正が行われました。

HighDPIサポートの拡充
Unity 7.2の時点でHighDPIのサポートが謳われていましたが,その後の未完だった作業が引き続き行われています。たとえばHUDやロック画面の文字の大きさも正しく設定されるようになりました。
ロック画面のリファイン
マルチディスプレイ時にロック画面が使い辛かった問題の修正や,パスワード入力部分にナビゲーターの表示,ロック中もクリップボードにデータが残っていた問題の修正などの対応が行われました。
Launcherへのドラッグアンドドロップ機能の改善
Launcherへたとえばファイルをドラッグしたとき,そのファイルタイプに対応しているアイコンのみがアクティブになります。これまではそのまま特定のアイコンにドロップするとそのアイコンのアプリでファイルを開けるだけでしたが,今回からドロップせずに1秒以上待つと,そのアプリにフォーカスが合うようになりました。さらに複数のウィンドウが開いている場合,自動的に複数のウィンドウを展開して任意のウィンドウにドロップできるようにもなっています注2)⁠
ウィンドウ展開時の順番を直感的に
Super+Wを押した時や,複数のウィンドウを開いているアプリのLauncherアイコンをクリックした時に,ウィンドウが画面全体に展開されます。これまでは,この展開時にフォーカスに合っているウィンドウが常に右下に表示されていました。新しいUnityでは,ウィンドウの開いている位置に応じた配置に展開されるようになっています。
シャットダウンダイアログの抑制
ゲストセッションなど,シャットダウン権限がない環境でハードウェアの電源ボタンを押したときに,シャットダウンダイアログが表示されてしまう問題が修正されました。
マウススクロールイベントのハンドリング
Dash上やアプリケーション切り替え時のマウススクロールイベントが正しく処理されるようになりました。
systemdの対応
UnityはもともとUpstartのSession Jobから起動されるサービスとして実装されていましたが,今後のsystemdへの移行を踏まえて,systemdでも起動できるようにJobファイルやログの保存先,パッケージの依存関係の見直しが行われています。
注2)
「お前が何言ってるかわからない」って方は,Firefoxのウィンドウ(タブではなくウィンドウ)を2つ開いておいて,Nautilusを起動し適当な画像ファイルをLauncherのFirefoxのアイコンまでドラッグしてください。そのまま1秒ほど待つと何が起こるかわかるはずです。ちなみにこれは3年以上前に報告された要望を実現した形となります。

ちなみにこれらの修正のほとんどは,Ubuntu 14.04 LTSの7.2.3にもバックポートされています。このためUbuntu 14.04 LTSを使い続けたとしても,上記の修正による恩恵を受けられます。

Unityの基本的な使い方

実際のところUbuntu 14.04 LTSはUnity 7ですので,人によってはUnity 8の進捗に関係なく,2019年まで今のUnityを使いつづけることになります。そこで今回は,特に12.04からアップグレードした人をターゲットにこのUnity 7の使い方について今一度おさらいしてみましょう。ちなみに,Ubuntu 12.04 LTSからUbuntu 14.04 LTSへアップグレードする際の一般的な注意点は第337回を参照してください。

UIとショートカット

UnityのUIはDash,Launcher,Indicator,HUDからなります。この構成そのものは変わっていません。

図1 Unityを含むUbuntuのUI構成

図1 Unityを含むUbuntuのUI構成

これらのコンポーネントのうち,12.04から大きく変わったのはDashでしょう。DashはUnityの中核とも言える検索インターフェースで,Superキー(一般的なWindows PCであればWindowsキー)をタップすることで表示されます。Dashは「Lens」と呼ばれるカテゴリーごとの検索UIも持っており,Super+Aでアプリケーション検索,Super+Fでファイル検索と切り替えられます。

このDashには12.10から「プレビュー機能」が追加されています。たとえばSuper+AでアプリケーションLensを表示し「Stellarium」と入力すれば,Stellariumのアイコンが表示されます。このアイコンを右クリックすると表示されるのがプレビュー画面です。

図2 Dashのプレビュー画面

図2 Dashのプレビュー画面

プレビュー画面ではアプリの説明や代表的なスクリーンショットが表示されますし,⁠インストール」をクリックすればソフトウェアセンターや端末を開くことなくインストールできます。ファイルLensで検索したファイルならPDFの中身を表示したり,メールに添付するボタンなどもあるため,ファイルブラウザーを使うことなくファイルを探すことができるのです。プレビュー画面は適当な場所をクリックするかESCキーで閉じることができます。

Launcherはよく使われるアプリや起動中のアプリのアイコンが表示される領域です。アイコンの左には起動中のウィンドウの数,右にはフォーカスがあたっているウィンドウにマークが付くようになっています。対応しているアプリであればここにメールやRSSの未読数なども表示されます。Launcherにアイコンを追加したい場合は,Dashでアプリを検索したうえでアイコンをLauncherにドラッグアンドドロップします。また,既存のアイコンは一番上のちょっと勢いよく回りすぎているUbuntuアイコンとゴミ箱以外は順番を変更できます。右クリックしてメニューを選択すればLauncherからの登録を解除できます。

Indicatorは各種ステータスを表示する領域です。14.04までにレガシーなインジケーター(システムトレイ)は登録できないようになっていますので注意してください。HUDはAltキーをタップすることで表示されるアプリケーションのメニューの検索インターフェースです。これも12.04とはそれほど変わっていません。

また,Unityそのもののショートカットに変更はありません。Superキーを軸にしたショートカット体系で,Superキーを長押しすることでその使い方が表示されます。

図3 Unityのショートカットヘルプ

図3 Unityのショートカットヘルプ

ちなみにあまり使っている人を見かけませんが,Unityはマルチタッチ操作にも対応しています。しかしながらその操作方法はかなり難しくタッチスクリーンに対して数本の指をリズム良くタップすることに自信がある人向けです。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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