Ubuntu Weekly Recipe

第372回 Ubuntu Makeで簡単にAndroid開発環境を構築する

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

Ubuntu 15.04のリリースノートにも記載があるように,今回のリリースの新機能の1つにさまざまなアプリやWeb開発を行う開発者向けツールである「Ubuntu Make」の機能強化があります。今回はこのUbuntu Makeを使って,Ubuntu上でAndroid Studioをインストールする方法を紹介します。

なぜUbuntu Makeなのか

読者のほとんどの方はご存知だとは思いますが,Ubuntuは6ヵ月ごとにリリースを行っています。また,一度リリースを行うと,一部の例外パッケージを除きそのリリースにおけるソフトウェアは同じメジャーバージョンを使い続けることになります。このため,5年サポートを行うLTSで提供されるソフトウェアは,5年間同じバージョンになります注1)。

注1)
セキュリティ対応を含むマイナーバージョンレベルの変更については,Stable Release Updateと言う手続きを踏むことで許可されます。またバックポートリポジトリを使った最新版のパッケージはより緩い条件で許可されています。

このポリシーはシステムの安定性を維持する上では重要ですが,開発環境として考えたときにツールやライブラリが古くなってしまうという弊害が発生します。最悪の場合,特定の言語やフレームワークの最新の開発環境を用意するためには,依存するライブラリまで含めて全部自前ビルドしなくてはならないと言った事態も発生しえます。

たとえばUbuntu 14.04 LTSの標準のRubyパッケージのバージョンは1.9系ですし,Railsは3.2で,Go言語は1.2です。これは14.04のサポートが切れる2019年まで原則として変わりません。特にここ最近のフレームワークのハイペースなバージョンアップを考えると,6ヵ月ないし2年単位のリリースとはいろいろと相性が悪い場合もあるでしょう。

Ubuntu Makeは,そんな悩みを解決するために開発されたPython 3製のコマンドラインツールです。元々の名前が「Ubuntu Developer Tools Center」だったように,ソフトウェア開発者向けのツールとなります。Ubuntu Makeでは,指定した開発環境に合わせて「最新版」のツールをダウンロードし,依存するパッケージも合わせてインストールします。

Ubuntuのパッケージ管理システムとは独立してツールやライブラリを用意することもあるので,システムに副作用を与えないように注意しながら開発が行われています。特にツール側のバージョンが上がっても「ちゃんと動く」ことを確認するためにも,Ubuntu Makeそのもののテストフレームワークも充実しています。

現在対応しているフレームワークは次のとおりです。

まとめると,Ubuntu Makeを使うとLTSのUbuntuでも「最新の開発環境」を,コマンド操作だけでインストールできるのです。

Android Studioのインストール

Ubuntu Makeの中でも,今回はAndroid Studioのインストール方法について説明します。Androidの開発環境と言えば,4年前の第156回で水野源さんが,Android SDKのインストール方法を紹介してくれました。当時はSDKのみの提供で,IDEとしてはEclipseにAndroid Developer Toolsを組み合わせて使うという形態でした。

Android Studioは昨年の12月に1.0がリリースされた,新しいAndroidの開発環境です。従来のSDKのみの提供ではなく,IntelliJ IDEAをベースとしたIDEもセットで提供していますので,これをインストールするだけで開発環境が揃うようになっています。

まずはUbuntu Makeをインストールします。Ubuntu 15.04であれば,公式リポジトリからそのままubuntu-makeパッケージをインストールできます。Ubuntu 14.04 LTSをお使いの場合は,先に次のようにPPAを追加してください注2)。

注2)
15.04にしても,将来的にリポジトリからインストールされる0.6.2よりも新しいバージョンが,PPAから提供されるかもしれません。もしこの記事を読んだ段階で新しいUbuntu Makeがリリースされているようであれば,15.04でもPPAを使うと良いでしょう。
$ sudo add-apt-repository ppa:ubuntu-desktop/ubuntu-make
$ sudo apt-get update

ubuntu-makeパッケージをインストールします。qemu-kvmパッケージは,エミュレーターの高速化のためにインストールしています。

$ sudo apt-get install ubuntu-make qemu-kvm

コマンド名は「umake」です。現在はmanページが用意されていないので--helpオプションを利用してください。

$ umake --help
usage: umake [--help] [-v] [-r] {android,go,dart,games,web,ide} ...

Deploy and setup developers environment easily on ubuntu

positional arguments:
  {android,go,dart,games,web,ide}
                        Developer environment
    android             Android Development Environment
    go                  Go language
    dart                Dartlang Development Environment
    games               Games Development Environment
    web                 Web Developer Environment
    ide                 Generic IDEs
(以下略)

基本は最初のオプションにフレームワーク名を渡し,その後ろにフレームワークごとのオプションを指定します。今回インストールしたいのはAndroid Studioなので次のように実行します。

$ umake android android-studio
[sudo] password for shibata:
Choose installation path: /home/shibata/tools/android/android-studio
Before installing Android Studio or the standalone SDK tools,
you must agree to the following terms and conditions.
(中略)
November 13, 2012
[I Accept (a)/I don't accept (N)] a
Downloading and installing requirements
Installing Android Studio
Installation done

「android-studio」を省略した場合は,そのフレームワークの既定のソフトウェアをインストールします。インストールではなく,削除する場合は「-r」オプションを付けてください。

android-studioの場合,OpenJDK 7や32bit版の各種ライブラリをインストールするため,上記のように管理者権限への昇格用のパスワードが問われます注3)。インストールパスは初期設定のままで良いでしょう。Ubuntu Makeを使って他のフレームワークをインストールした場合も,このtoolsディレクトリに展開されます。

注3)
Android StudioはOracle Javaの使用を推奨していますが,今のところOracleのJDKをダウンロード・インストールする仕組みは実装されていません。ただし将来的にはOracle Javaをインストールするようになるかもしれません。

次に表示されるのはAndroid Software Development Kit License Agreementと呼ばれるもので,これに同意しない限りはAndroid Studioをインストールできません。同意するとAndroid Studioのダウンロードとインストールが始まります。これはネットワーク環境によってはしばらく時間がかかります。

Unityを使っている場合,無事にインストールが完了したら,LauncherにAndroid Studioのアイコンが追加されます。一度インストールしたら,ソフトウェアの更新はAndroid Studio自身に任せてしまって問題ありません。

図1 Launcherにアイコンが追加される

図1 Launcherにアイコンが追加される

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

コメント

コメントの記入