Ubuntu Weekly Recipe

第388回 Intel Compute StickでUbuntuを使う

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

IntelのスティックPCであるIntel Compute StickのWindows版に(あえて)Ubuntuをインストールしていきます。

Ubuntu版を使用しない理由

Intel Compute Stickには,Ubuntu 14.04 LTSのプレインストール版(STCK1A8LFC)が存在していますが,今回はWindows 8.1版(STCK1A32WFC)へUbuntuをインストールしていきます。

理由としては,以下の2点です。

  • 2015年8月中旬時点では,Ubuntu版が日本で発売されていない
  • Ubuntu版はシステムメモリが1GB(Windows版2GB)⁠ストレージが8GB(Windows版32GB)というWindows版よりも控えめの構成で,快適な動作が可能か不安がある

今回ご紹介する方法を試すことで,製造元・販売元のIntel及びアイ・オー・データ機器からの保証が受けられなくなる可能性がありますので,リスクを考えてから試していただくようお願いします。また,プリインストールされているWindows 8.1を消去してしまうので,再度Windows 8.1を使用したい場合は事前に必ずWindows 8.1のシステムバックアップを取得してください。

作業に必要なもの

インストール及び,その後の作業のために以下を準備します。

USBハブ

Intel Compute Stickには,USB2.0ポートが1つしかないため,入力デバイスや,ライブUSBを接続する必要からUSBハブの準備が必須です。最低でも3ポート,可能であれば4ポート以上あるものを準備しましょう。バスパワーハブである必要はありません。

キーボード・マウス

Bluetooth接続以外の物,可能であれば有線のものを準備しましょう。ライブUSBからブートさせた時点ではBluetoothは利用できません。

USBイーサネットアダプタ

ライブUSBからブートさせた時点では内蔵の無線LANは利用できません。インストール後の作業でパッケージを追加でインストールするため,別途でUSB接続のイーサネットアダプタを用意する必要があります。準備するアダプタは有線のものでも無線のものでも問題ありません。筆者は有線のものを使用しました。

Ubuntu 14.04.2のライブUSBイメージ

今回はUbuntu 14.04.2のisoを使用して,Ubuntuをインストールします。これは後述する無線・サウンドデバイス認識のためにkernel 3.16が必要であるためです。Ubuntu 14.04.2のカーネルサポートは2016年8月まで対応しているので,ひとまずここ1年の間は継続して使用できます。ライブUSBは,Ubuntuの場合は「ブータブルUSBの作成」から作成可能です。microSDカードにライブイメージを作成することも可能ですが,筆者は試していません。

インストール作業

ライブUSBをブートさせるために,ブートオプションの変更を実施します注1)⁠ 本体へ電源供給用のMicro USBケーブルを接続してから電源投入後,F2キー押下でBIOS(UEFI)の設定画面に入り,⁠Configuration][Select Operating System][Windows 8.1 32-bit]から[Ubuntu 14.04 LTS 64-bit]へ変更して,設定を保存します(図1)⁠

注1)
どうやら,Intel Compute Stickは32bit/64bitの2つのEFI Shellを持っているようで,UEFIの設定でトグルする仕組みになっています。他のスティック型PCでは32bit UEFIのみ対応となっているものがほとんどなので,Ubuntuを簡単にインストールしたいのであれば,現時点ではIntel Compute Stickが唯一の選択肢となります。ちなみに,32bit UEFIに対応しているDebian Jessieの⁠multi-arch⁠isoイメージを使用すると[Select Operating System][Windows 8.1 32-bit]のままにしてもDebianのインストールが可能でした。

図1 UEFIの[Select Operating System]を変更する

図1 UEFIの[Select Operating System]を変更する

その後,ライブUSBを挿入した状態で,再度電源投入すればライブUSBがブートして,デスクトップが表示されます。後の作業は通常のUbuntuインストールと大きく変わる部分はありません(図2)

図2 Intel Compute Stickのインストール時の画面。インストールに関して特別な作業はない。eMMCはSDカードとして見え,自動パーティショニングを選択した場合はEFIシステムパーティション,ROOT,スワップ領域の3パーティションが作成される。

図2 Intel Compute Stickのインストール時の画面。インストールに関して特別な作業はない。eMMCはSDカードとして見え,自動パーティショニングを選択した場合はEFIシステムパーティション,ROOT,スワップ領域の3パーティションが作成される。

インストール作業での注意点として,手動でパーティションを設定する場合,ディスクの先頭に512MB程度の大きさで,EFIシステムパーティションを作成する必要があります。Intel Compute StickはUEFIブートのみに対応しており,Legacyモードでのブートには対応していないので,ディスクの先頭にUEFIシステムパーティションを作成(して,grub2のEFIアプリケーションを配置)しなければ,インストール作業を実施してもeMMCをブート対象のデバイスとしてUEFIが見つけてくれません。なお,自動でのパーティション作成とした場合eMMC内のパーティション切り分けは以下になっていました。

モデル: MMC S10032 (sd/mmc)
ディスク /dev/mmcblk0: 30.6GB
セクタサイズ (論理/物理): 512B/512B
パーティションテーブル: gpt

番号  開始    終了    サイズ  ファイルシステム  名前  フラグ
 1    1049kB  538MB   537MB   fat32                   boot
 2    538MB   28.5GB  28.0GB  ext4
 3    28.5GB  30.6GB  2054MB  linux-swap(v1)

Intel Compute StickのeMMCも,第323回で吉田さんが紹介されたECS Livaと同じように,デバイスとしては/dev/mmcblk0として見えます。そして,USBポートがUSB 2.0ということも相まって,インストール(eMMCへの書き込み)にかなり時間がかかります(eMMC自身はread平均130MB/s,write平均45MB/s程度でした)⁠筆者は何度かインストールを試して,それぞれで完了までに概ね20~30分程度かかりました。

著者プロフィール

上野竜一(うえのりゅういち)

Ubuntu Japanese Teamが参加するイベントに出入りしている人。パンダが好き。株式会社 創夢所属。

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