Ubuntu Weekly Recipe

第432回 HP EliteBook Folio G1のUbuntu ロードテスト

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今回のレシピは,HP EliteBook Folio G1 にUbuntuをインストールしたところ,ほぼほぼ全機能がストレスなくすんなり使えてしまったというレポートです。

Ubuntu ロードテストとは

かつてUbuntu Magazine Japanというムックが株式会社アスキー・メディアワークス注1から出版されており,Ubuntu Japanese Teamのメンバーやその友人知人が気ままに執筆に参加していました。特集のひとつとして「Ubuntu ロードテスト」があり,執筆者は思い思いのラップトップやデスクトップ,サーバーにUbuntuをインストールし,その使い勝手について述べていました。

注1
現在は株式会社KADOKAWAのアスキー・メディアワークスというブランドになっています。

筆者は一度もUbuntu ロードテストに寄稿したことがありませんが,新しいラップトップを購入したこの機会に,当時のノリを模倣してお届けします注2)⁠

注2
「出版社が違う」など細かいことは気にしないでください。

HP EliteBook Folio G1とは

筆者はこれまで,2011年に購入したThinkpad Edge E420を持ち運び用ラップトップPCとして使っていました。体力の関係で特に重量など気にならなかったのと,コードを書くか読むか原稿を書くか読むかくらいにしか使っていなかったためにスペック等も気にならなかったので,まだしばらく使うつもりでした。しかし先日のUbuntu 16.04 LTSリリース記念オフラインミーティングの発表資料をベッドの上で書いた際,落とした拍子に電源アダプタのプラグ部分を破損してしまい,思いがけず代替機の調達に迫られました。機械学習が世間を賑わすこの時代,もっと我が家の家計のことを考慮してインテリジェントに壊れてくれたらよかったのに,残念でなりません注3)⁠

注3
ただの八つ当たりです。

普段の筆者のマシン調達方針は,数世代前のアーキテクチャを採用したマシンで,かつビジネス向けに安価に製造されたものを物色することです。しかし今回はとある事情で注4)⁠その方針を変更して割と新し目のものを物色することにしました。すると人間欲が出るもので,バッテリー放電時間が長く,ファンの風切り音が静かで,かつて愛用していたThinkpad X21程度にコンパクトなものが欲しくなりました。

注4
Intel社のSkylake世代向けPCHに集積されているHDAコントローラー用ALSAドライバの動作確認のためです。

Panasonic社やDell社などの製品が候補となりましたが,ちょうどキャンペーンをやっていたHPのEliteBook Folio G1にしました。

図1 HP EliteBook Folio G1。左はGoogle Nexus 7 (2012)

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まずはスペックから確認します。

  • 実売価格:15万8,000円
  • CPU:Intel Core(TM) M5-6Y54
  • チップセット:Intel Sunrise Point LP
  • メモリ:LPDDR3 8GB オンボード
  • ストレージ:128GB M.2 SSD (SATA III)
  • 無線LAN:Intel Dual Band Wireless-AC 8260 802.11 a/b/g/n/ac
  • サイズ:292(w)×209(d)×12.4(h)
  • ディスプレイ:12.5インチ,フルHD(1,920 × 1,080 dot)
  • 重量:0.97kg
  • バッテリー持続時間:11.5時間

メモリやストレージはオプションで増強できます注5)。重量が1kgを下回っていたり,バッテリー駆動時間がもう少しで半日に届きそうだったり,ファンレスだったりと,筆者の使用目的にはちょうどよさそうに思いました。

注5
筆者の用途では増強の必要がないので,デフォルトのままとして出費を抑えました。

Ubuntu Certified hardwareではない

Ubuntuプロジェクトに参加しているCanonical社では,ハードウェアベンダーの協力のもと,動作確認済みのマシンのリストを公開しています。このリストを確認することで,購入対象のハードウェアでUbuntuが使えるかどうかがわかります。

残念ながらFolio G1はリストにありませんでした。そこで「まぁ困ったらWindows 10で使えればいいや」という妥協のもと,購入に踏み切りました。

到着そして分解

購入したハードウェアが到着した瞬間に分解して内部を見るのは,一部の人にとっては嗜みのようなものです注6)⁠というわけで底面パネルを外してみました。Folio G1は底面パネルが8つの特殊ねじで固定されているだけの簡素なパッケージでしたので,それほど苦労することなく内部を見ることができました。

注6
「分解することで動かなくなってしまった」という経験をしなければ治らない病気のようなものです。

図2 底面パネルを取り去った状態

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リチウムポリマーバッテリーが場所を取っています。パームレスト直下にはアナログスピーカーが配置されています。イヤホンやBluetoothヘッドセットを主に使う方であれば,スピーカーを外して十数グラムの軽量化を行ってもよさそうに思いました。

図3 バッテリーモジュールとスピーカーモジュール

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WifiとBluetoothのコンボモジュールにはIntelの名前を見ることができます。また,HDAコーデックとしてConexantのチップを使っていることもわかります。残ったヒンジ直下のスペースにCPUなどの載ったシステム基盤があります。

図4 システム基盤とタッチパッド基盤

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ライブUSBによるUbuntuのブート

UbuntuをインストールしてプリインストールOSであるWindows 10を潰してしまう前に,ライブUSBから一度Ubuntuをブートしておくと,本当に使い物になるかどうかの目処をつけられます。場合によってはUbuntuのインストールを諦め,Windows 10を使い続けるべきでしょう。今回はUbuntuのDaily イメージからブート可能なUSBメモリを作成し,Ubuntuのライブブートを試みました注7)⁠

注7
なお,このイメージは現在開発中のUbuntu 16.10のAlphaですが,カーネルは16.04と同じバージョンを使っていることから,Ubuntu 16.04 LTSでも同程度には動作するものと思われます。

電源を投入してHPのロゴマークが表示されたらF2キーを押してUEFIのメニューに入ります。最初にHPのユーティリティが起動し,exitするとBIOSの設定画面になります。Boot Optionsを選択し,ブート可能なディスクのリストからUSBフラッシュメモリを選択します。しばらく待つとUbuntuのデスクトップが表示されました。

筆者の試す限り,結構な頻度でマウスカーソルが表示されないという不具合がありました。またあるPythonスクリプトがエラーを発生しました。それ以外は特に目立った不具合等はありませんでした。原稿を書いたりコードを書くくらいなら多少のGUIの不具合は何とかなるので,実用できるだろうという見通しを立てました。

Windows 10のリカバリメディアの作成とリカバリ

Ubuntuをインストールして使うものの,事情によってはWindows 10に戻さざるを得なくなるかもしれません。その場合に備え,Windows 10のリカバリメディアを作成しておきました。⁠リカバリメディアあっても実際にリカバリできるかどうかはわからないよ」というアドバイスを同僚からもらったこともあって,リカバリの確認もしておきました。Windowsのユーティリティを使いメディアの作成を行い,1時間程度かかりました。UEFIのメニューからリカバリメディアをブートし,リカバリ処理に1時間半程度かかりました。

図5 Windows 10のリカバリ中

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著者プロフィール

坂本貴史(さかもとたかし)

Ubuntuのマルチメディア編集環境であるUbuntu Studioのユーザ。主にUbuntu日本コミュニティとUbuntu Studioコミュニティで活動。いつかユーザ同士で合作するのが夢。

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