Ubuntu Weekly Recipe

第503回 2018年のデスクトップ環境

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ご挨拶

新年あけましておめでとうございます。

本連載は今年で無事に10周年を迎えました。長年のご愛顧,誠にありがとうございます。10周年だからといって特別なことはせず,堅実かつユニークにさまざまな情報をお伝えしていきたいと考えております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は昨年の初めと同じく,デスクトップ環境の今について取り上げます。

GNOME

GNOMEは毎年3月と9月にリリースを行っており,この3月には3.28のリリースが予定されています。また,タイミング的にこのバージョンがUbuntu 18.04 LTSで採用され,5年間サポートされることになるものと思われます。

どのような変更点があるのかはまた別途お知らせするとして,今年の注目点は引き続きWaylandサポートと,それに伴うHiDPIディスプレイ対応の改善でしょう。

現在のGNOMEもHiDPIディスプレイの対応として,⁠サイズ調整」でスケールの設定ができますが,100%と200%しかありません。100%だと広すぎるものの200%だと狭すぎるといった場合は125%や150%にしたいところですが,現段階では不可能です。

これをWaylandセッションの際は25%刻みに変更できるようにする開発が進んでいます。実は現在のGNOME 3.26でも機能としてはデフォルトで無効になっていますが存在しており,有効にすると試すことができます図1)⁠しかしデフォルトで無効になっている分バグもあります。

図1 Ubuntu 17.10で「サイズ調整」に125%,150%,175%を追加したところ

画像

この機能がデフォルトで有効になればWaylandを積極的に選択する理由になる上,HiDPIディスプレイも使用しやすくなります。またWaylandセッションでは複数のディスプレイで異なったスケールの設定もできるようになるはずです。

現段階ではWaylandのメリットはあまり感じられませんが,こういった実利的なメリットが出てくるとユーザーが増えることが見込まれます。

一方,Files(Nautilus)からデスクトップ機能を削除するというも出てきて時代の流れを感じます。Ubuntu 17.10のGNOME Shellはデスクトップにごみ箱アイコンを表示していますが,これができなくなる,あるいはほかの方法で実現することになります。

KDE

KDEが今年目指す方向はすでにKDE's Goals for 2018 and Beyondで示されています。大きくは基本的なアプリケーションの使い勝手と生産性を向上させること,プライバシーの保護をより広く推進すること,新しい貢献者への間口を広げる施策を実行する ことの3点を挙げています。

例で挙げられている基本的なアプリケーションはデスクトップシェルのPlasma,ファイルマネージャのDolphin,ドキュメントビューアーのOkular,アプリケーション管理のDiscoverです。しかし詳細情報にはもっとたくさんのアプリケーションがリストアップされています。おそらくKDE Flamework 5への移行作業が一通り完了し,次のフェーズに移行する段階に来たということなのでしょう。

Waylandのサポート状況も気になります。Kubuntu 17.10には間に合わなかったPlasma 5.11で大幅に改善されたとのことで,確かに実際に検証してみてもあと一歩というところまで来ています。Kubuntu 18.04 LTSはおそらくPlasma 5.12を採用することになり,より安定したWaylandサポートが見込まれます。

Xfce

XfceはGTK+3へのポーティングが完了して4.14がリリースされるかどうかがここ数年の関心事ですが,ロードマップを見る限りでは年内のリリースが現実的に思えます。世界中で使われている軽量デスクトップ環境としては開発リソースが少ないのは気になりますが,そんな中でも継続して開発を進めている開発者さんにはただただ頭が下がるばかりです。

Ubuntu Weekly Topics 2017年12月15日号を見ても,あるいはGTK+3のメジャーバージョンアップ終了とGTK+4への注力を見ても,GTK+2はPython 2と同じく「レガシー」扱いです。これから先のプロジェクトのことを考えるとGTK+3へのポーティングは必須であり,そのタイミングも,もし今年いっぱいポーティングの完了にかかったとしても遅すぎることはありません※1)⁠

※1
Debianに関してはあまり明るくないのですが,今年中にDebianデスクトップをGTK+2なしでインストールできるようにする予定のようです。ただし,検討上でも言及されているようにLXDEがある限りこのプランの完遂は難しいように思います。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。

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