知りたい!サイエンス
なにがスゴイか?万能細胞
―その技術で医療が変わる!―
- 中西貴之 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2008.6.21
- 判型
- 四六
- 頁数
- 256ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3514-4
サポート情報
概要
07年11月、京都大学の山中教授が初めて作り出したことで有名になった「万能細胞」。「フツーの細胞から体のどんな部分でも作り出せるようになった」として世界中で話題になったので、覚えている人も多いだろう。
世界中の研究者が追い求めてもなかなか実現しなかった万能細胞とはいったい何なのか? 韓国の黄教授が偽装したES細胞と何が違うのか? 万能細胞が作りだせるようになった秘密とは? この技術はどれほどの可能性を秘めているのか? 倫理的に問題はないのか? 一般の人々の生活に影響を与える日が来るのか?……。
そんな一般の人々が感じる疑問を、本書がスパッとわかりやすく解説! 日本が誇るノーベル賞クラスの発見を、ぜひ身近に感じてほしい。
こんな方にオススメ
- 生物学に興味のある方
- 最近話題の科学ニュースに敏感な方
- 医療技術に興味のある方
目次
第1部 iPS細胞の誕生
- 1-1 臓器の機能を回復させる医療
- 1-2 人間の体ができる仕組み
- 1-3 再生医療とは何なのか
- 1-4 再生医療の障壁とは
- 1-5 失われる全能性
- 1-6 胚性幹細胞(ES細胞)
- 1-7 iPS細胞――乗り越えられない壁を越えた技術
- 1-8 細胞初期化研究の歴史
- 1-9 ES細胞との細胞融合による細胞初期化
- 1-10 Fbx15-iPS細胞の誕生
- 1-11 Fbx15-iPS細胞からNanog-iPS細胞への展開
- 1-12 iPS細胞作成の鍵となる転写因子
- 1-13 ヒト由来細胞からiPS作成に成功
- 1-14 c-Myc(-)-iPS細胞
- 1-15 もう一つのiPS細胞
- 1-16 iPS細胞の謎
- 1-17 もとになる細胞をどこから採取するかによって異なる性質
- 1-18 iPS細胞を使った病気の治療に成功
- 1-19 iPS細胞誕生の必然
- 1-20 iPS細胞における多能性と全能性
- 1-21 ドリーの登場
- 1-22 ドリーの視点とES細胞の視点
- 1-23 エピジェネティックとインプリンティング
- 1-24 iPS細胞の仲間たち(1)――EpiS細胞
- 1-25 iPS細胞の仲間たち(2)――ntES細胞
- 1-26 iPS細胞の仲間たち(3)――mGS細胞
- 1-27 iPS細胞の仲間たち(4)――pES細胞
- 1-28体性幹細胞の発見と応用
第2部 万能細胞と再生医療の現場
- 2-1 創薬研究への応用
- 2-2 遺伝子組み換え動物の限界
- 2-3 細胞シート工学
- 2-4 バイオ・プリンティング
- 2-5 皮膚の再生
- 2-6 神経細胞は死ぬばかりではなかった!?
- 2-7 できるのにできない膵島移植
- 2-8 心臓再生
- 2-9 ES細胞を使った血液工場
- 2-10 失われた視覚はよみがえるか?
- 2-11 肝臓の再生
- 2-12 オーダーメイド医療
- 2-13 ES細胞を使った遺伝子治療の可能性
第3部 万能細胞 その可能性と課題
- 3-1 幹細胞を用いた医療がもたらすもの
- 3-2 再生医療実現までに解決しなければならないこと
- 3-3 日本におけるヒト幹細胞を用いる臨床研究
- 3-4 法律の問題
- 3-5 各国が急追する研究の現場
プロフィール
中西貴之
1965年、山口県下関市彦島生まれ。山口大学大学院応用微生物学修了。現在、総合化学メーカー宇部興産株式会社有機化学研究所で鋭意創薬研究中。趣味は中学時代に始めた写真。前著書で「腕が鈍って困っている」と書いた直後に写真雑誌の月例コンテストに入賞。これをもって最近の信念は「口に出せば願いはかなう」。地元下関の伝統芸能「平家踊り」では音頭取りを務める変わった研究者。著書に『最新科学おもしろ雑学帖』『人を助ける へんな細菌すごい細菌』(技術評論社)。日本質量分析学会、日本科学技術ジャーナリスト会議会員。