知りたい!サイエンス
光る生き物
―ここまで進んだバイオイメージング技術―
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加藤薫 監修
池田圭一,武位教子 著 - 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2009.9.24[在庫なし]
- 判型
- 四六
- 頁数
- 208ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3996-8
サポート情報
概要
生物発光物質は、これからの研究ツールや医療に関連する先端テクノロジーの基盤として、大きな期待が寄せられています。本書は、なぜ光るのか・どういう仕組みで光るのかといった根本的な部分に加え、発光たんぱく質を組み込むことにより遺伝子の振る舞いを細胞レベルで可視化する光イメージング技術やその医療への応用といった、最先端の研究にまで言及します。「キレイ」なだけのイメージから、さらに一歩踏み込んだポピュラーサイエンスの視点で、生物発光のしくみと現状を解説します。
こんな方にオススメ
- 光る生き物に興味のある方
- 蛍光タンパク質について知りたい方
- 最先端の観察技術について知りたい方
- 生物顕微鏡について詳しくなりたい方
目次
1部 光る仕組みと見る仕組み
発光生物の基礎知識
- 1-1 発光生物事情、さまざま
- 1-2 超高効率!生物発光の仕組みを探る
- 1-3 生物発光とバイオイメージング
細胞の動向を探る! バイオイメージング技術
- 1-4 蛍光タンパク質を、細胞に導入する
- 1-5 顕微鏡観察システムの基本
- 1-6 細胞から小器官、さらに1分子へ! 最先端のバイオイメージング技術
- 1-7 ここまで進化したバイオイメージング技術
- 1-8 バイオイメージングを撮る技術
2部 最先端研究の世界を覗く
- 2-1 究極の医療にいたる「光」の道筋
- 2-2 脳神経細胞のイメージング
- 2-3 メタボのイメージング―内臓脂肪の悪戯に迫る―
- 2-4 ナノ粒子の知恵の輪、DDSのイメージング
- 2-5 発生初期に何が起こっているのか!
- 2-6 ミトコンドリアのイメージング―動力源で、死や老化にも関与?―
- 2-7 食品偽装が一目瞭然! 遺伝情報のイメージング
プロフィール
加藤薫
1964年生まれ。独立行政法人 産業技術総合研究所 脳神経情報研究部門 主任研究員、筑波大学大学院 生命環境科学研究科 構造生物科学専攻 分子細胞生理学 准教授(連携大学院)、日本細胞生物学会・評議員、日本バイオイメージング学会・理事(講習会委員長)。大学院では細胞生理学(生物物理学)で学位を取得。米国で応用物理学(顕微鏡光学)のボス(Dr. Oldenbourg, Dr. S. Inoue)下でのポスドクを経て、電総研(当時)に物理職で採用、現職に。生物と物理の狭間の研究を行う。
池田圭一
1963年生まれ。パソコン誌編集を経てフリーランスライター。主にパソコン、ネットワーク、デジカメ関連の雑誌・Web媒体への企画、執筆を担当。天文や生物など自然科学分野の記事も寄稿する。主な著書に『これだけは知っておきたい生きるための科学常識』(2009、東京書籍)、『科学を遊ぶ達人が選んだ科学実験キット&グッズ大研究」(2005、東京書籍)、『やっぱり安心水道水』(2008、水道産業新聞社)『光る生き物―ここまで進んだバイオイメージング技術―』(2009、技術評論社)など、いずれも共著。
著者の一言
2008年に下村脩博士が発光クラゲ(オワンクラゲ、Aequorea victoria)からの緑色蛍光蛋白質(GFP)の発見でノーベル賞を受賞されました。このGFPは、生物発光の基礎研究に留まらず、医学から農学まで、幅広いバイオテクノロジーの研究で、普通に使われるツールなのです。蛍光タンパク質で光らせた生き物や細胞を使って、がんや肥満の仕組みや、食の安全が研究されています。本書はこの分野の入門書です。
この本では、一般にはなじみが薄い、このGFPやその仲間の蛍光蛋白質とは、どんな物質で、どのような方法で、研究のどの場面に使われているのかを取り上げます。
自然界の光る生き物の研究から、実験室の光る動物や、光る培養細胞が生まれ、先端機器を用いて観察され、さまざまな応用研究に使われる様子を、見て頂けたらと思います。