失敗の科学 ―世間を騒がせたあの事故の⁠失敗⁠に学ぶ

「失敗の科学」のカバー画像
著者
池田圭一いけだけいいち 著
定価
1,738円(本体1,580円+税10%)
発売日
2009.10.31[在庫なし]
判型
A5
頁数
192ページ
ISBN
978-4-7741-4037-7

概要

どんな大惨事も、きっかけは1つの“失敗”から。複雑に交錯する事故の背景をひもといていくと、ありきたりなヒューマンエラーや組織体制の問題が見えてくる。ニュースでさんざん取り上げられたあの事故やその事故の根本原因は何だったのか?科学的観点による事故レポート集。

こんな方にオススメ

  • 過去の事故に興味のある方
  • 失敗をビジネスチャンスに活かしたい方

著者の一言

本書は、過去のさまざまな失敗事例を取り上げ、なぜそのようなことが起こったのかを科学的な視点で見つめ直してみたものです。宇宙開発や深海探査という極限の現場で起こった失敗や、無計画なプロジェクトによる損失、ささいな原因が大きな事故の引き金となった事例、身の回りで発生した失敗の数々……それら多くは、物事についての適切な知識と入念な計画・準備があれば避けられたかも知れない失敗でした。

誰だって失敗は回避したいものです。しかし世の中には、何かを成し得るために必要とされる失敗だってあるのです。ミスや過ちを犯したそのときに「失敗したこと」に気が付いたら、それを積極的に認めましょう。どうして失敗したのかを再確認することで、同じ過ちを繰り返すことのないように対策や次案を練ることができます。

失敗を恐れてばかりでは何も手につきませんし、過去の失敗を振り返っているばかりでも前に進めないでしょう。失敗との付き合い方を学ぶ助けなれば! との気持ちで書きあげました。個人的なレジャーの予定から、公共の大型プロジェクトまで、各種計画の立案者にぜひとも読んで欲しい一冊です。

目次

1章 未知への挑戦

宇宙と深海、挑戦者たちの失敗

  • スペースシャトル・コロンビア号の帰還失敗
  • 深海無人探査機「かいこう」の行方不明
  • 帰還せよ! アポロ13号
  • 小惑星探査機 はやぶさの事例
  • H-Ⅱロケット8号機打ち上げ失敗
  • 希望(のぞみ)を叶えられなかった火星探査機のぞみ

2章 公共事業の失敗

組織構造、無理な計画や低コスト化による失敗

  • 相次ぐ建設途中の斜長橋崩落
  • JR西日本新幹線トンネル内壁の剥落
  • 諫早湾干拓、20世紀型大型事業の失敗
  • つくば市風力発電事業の失速
  • 高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ

3章 小さな失敗、大きな損害

油断が生んだ失敗

  • 火星気象探査衛星の行方不明
  • 原因を放置、液体窒素貯槽が大破裂
  • みずほ証券、取引での入力ミスで400億円の損失
  • オートパイロット入力ミスが引き起こした航空機の墜落
  • たった1つのナット、人工オーロラ実験の失敗

4章 身近な失敗

すぐそばにある危険な失敗

  • 強化ガラスは安全? 過信が呼ぶ失敗
  • 水にぬれた生石灰で火災が起こる
  • 学校のトップライト破損による墜落事故
  • 不飽和脂肪酸(油脂)の自然発火
  • 宇宙での忘れ物は命取り

コラム ~ 1980年代それは、世界を揺るがす大事故が頻発した時代だった ~

プロフィール

池田圭一いけだけいいち

1963年生まれ。パソコン誌編集を経てフリーランスライター。主にパソコン、ネットワーク、デジカメ関連の雑誌・Web媒体への企画、執筆を担当。天文や生物など自然科学分野の記事も寄稿する。主な著書に『これだけは知っておきたい生きるための科学常識』(2009、東京書籍)、『科学を遊ぶ達人が選んだ科学実験キット&グッズ大研究」(2005、東京書籍)、『やっぱり安心水道水』(2008、水道産業新聞社)『光る生き物―ここまで進んだバイオイメージング技術―』(2009、技術評論社)など、いずれも共著。