【改訂新版】情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシー

[表紙]【改訂新版】情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシー

A5判/208ページ

定価(本体1,380円+税)

ISBN 978-4-297-11081-9

電子版

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書籍の概要

この本の概要

イラストや図表が随所に入った,「やさしくわかりやすい,情報倫理の教科書」が新しくなりました。
新版では,これからの時代の課題となる「ビッグデータとAIの倫理」の章を新設。さらに「メディア・リテラシー」「ネット時代のコミュニケーション」「企業と情報倫理」などの既存章もアップデートし,ネットトラブルに巻き込まれたときの対処法など,ネットを活用する誰もが知っておくべき情報を盛り込みました。
幅広い観点から,情報に関するモラルやルールを学ぶことができる1冊です。

こんな方におすすめ

  • 「情報倫理」の授業を履修する学生の方
  • 現代の情報と倫理について,広く考えるきっかけをつかみたい方

著者の一言

本書『情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシー』は,2015年に初版を発行しました。スマートフォンが普及してきた状況で,安心して,安全にネットのサービスや情報に関するさまざまな課題を,主に大学生を中心した若い人たちに理解してもらうことを目的として刊行されました。発行以来,大学の情報倫理関連の授業でも採用いただいています。
5年を経た2020年現在,情報通信社会はさらに進化しています。スマートフォンの利用はさらに進み,いつでも,どこからでも欲しい情報を探し,発信し,支払など各種のサービスにも利用するようになりました。また,ビッグデータと呼ばれる大量かつ多様なデータを収集,分析し,AI(人工知能)を活用するシステムも増えてきました。
一方,情報漏えいや標的型攻撃などサイバー犯罪は,相変わらず後を絶ちません。ビッグデータ活用により,個人情報やプライバシーの不正利用に関する不安も高まっていることでしょう。「情報」を活用する利便性の一方,「情報」の不正な入手や利用による問題や課題も起きているのです。
今後の社会では「データ駆動社会」の言葉があるように,より情報の活用が求められることは間違いありません。豊かで安全,安心して暮らせる社会を築いていくには,「情報倫理」と呼ばれる情報に関するモラルやルールを理解し,実践することが重要です。学生の皆さんにとっては学生生活をより充実したものにし,社会にでるための準備としても役立つことでしょう。
「情報倫理」の領域は確立した学問分野ではなく,新しい領域です。日々,起こる社会の出来事と結びついています。そうした出来事を理解し,主体的に考え,これからの新しいルールを作るための基礎となる知識,知恵として本書を役立ててください。
多様な倫理観を示し,深い知識をもとに新たな章を執筆くださった同志社大学の原田隆史先生,そして改版にあたり,見直しをしてくださった岡部晋典先生,佐藤翔先生に感謝します。

髙橋慈子

目次

はじめに

第1章 情報倫理とは

  • 倫理とは何か
  • 「倫理学」の意味
  • 応用倫理学としての情報倫理
  • 社会的ジレンマ
  • 情報倫理が指す範囲
  • 情報倫理が重要になってきたわけ
  • 情報倫理で取り扱われる領域

第2章 情報通信社会とインターネット,進化と変遷

  • 情報社会は1960年代からはじまった
  • テレビ,新聞。マスメディアによる情報発信
  • 情報が社会を変える第三の波
  • さらなる変化。情報通信社会の到来
  • インターネットの誕生と広がり
  • インターネットの通信技術「TCP/IP」と基本ソフト「UNIX」を採用したことが鍵
  • 現代の情報の「4つの特性」を理解しておこう

第3章 ネット時代のコミュニケーション

  • インターネット以前の連絡手段
  • インターネットが時間,距離の制約をなくす
  • メールは,相手を特定した連絡手段
  • 手軽で簡単。メッセージングサービス
  • ネットを使った音声通話・ビデオ通話
  • Webを使った情報発信
  • Webより簡単に情報発信できるブログ
  • 人と人とのつながりを促す,ソーシャルネットワークサービス(SNS)
  • ネットマナーに気をつけよう

第4章 メディアの変遷

  • 「情報」と「メディア」
  • 言語と文字の発明
  • 教育と識字率
  • 紙と印刷:アジアのメディア
  • 活版印刷の成立と影響
  • マスメディアの成立
  • 画像・動画メディア
  • 音声メディア
  • 通信・放送の発展
  • マスメディアの時代からネットワークの時代へ

第5章 メディア・リテラシー

  • 「メディア・リテラシー」の定義
  • 「メディア・リテラシー」教育の必要性
  • テレビの仕組みと見方,考え方
  • 新聞の仕組みと読み方,考え方
  • 広告の動向,新しい動き
  • インターネットが変えるニュース
  • メディア・リテラシーを高めるには

第6章 情報技術とセキュリティ

  • 何故,インターネットには危険があるのか?
  • 外部と内部の両方にある脅威
  • 外部からの脅威,ウイルス
  • 不正アクセスに備える
  • サーバー攻撃の踏み台にならない
  • 天災にも備える
  • 内部からの脅威にも留意する
  • 自分のパソコンを守るためにしておくべきこと
  • インターネットやメールを利用するときのセキュリティ対策としてすべきこと
  • スマートフォンでもセキュリティを意識しよう

第7章 インターネットと犯罪

  • 減少しないサイバー犯罪
  • ウイルスだけではない不正プログラムの被害
  • 情報をこっそり送り出す「スパイウェア」
  • コンピューターを自在に操るボット
  • 「人質」を取り脅迫してくるランサムウェア
  • フィッシング詐欺による情報の不正入手
  • ソーシャル・エンジニアリングを理解しておく
  • サイバーテロ対策への取り組み
  • 国と国との連携で取り組む

第8章 個人情報とプライバシー

  • 変わる「プライバシー観」
  • OECDによるプライバシーガイドライン
  • 日本の「個人情報保護法」を知る
  • 個人情報保護法の基本的な考え方
  • 「個人情報」の定義
  • 「個人情報保護法」の対象
  • 「個人情報」の取り扱いで守るべき4つのルール
  • 個人情報を行政が適切に活用していく仕組み,マイナンバー法
  • マイナンバー制で懸念される危険
  • オープンデータの利活用へ
  • プライバシーを守っていくのは自分自身

第9章 知的所有権とコンテンツ

  • 知的所有権とは何か
  • 著作権
  • 著作者人格権
  • 著作権条約と著作権の保護期間
  • 著作権の保護対象とならないもの
  • 著作物の「利用」と「使用」
  • 著作権侵害について
  • デジタル著作権管理(DRM)
  • 情報を「囲い込まない」オープンの思想

第10章 企業と情報倫理

  • 企業の社会的責任「CSR」
  • 地域社会も企業の「ステークホルダー」
  • 米国の粉飾決算事件が企業責任の見直しに
  • 粉飾防止に「会社改革法」を制定
  • 「内部統制」の確立が求められる
  • 日本では「新会社法」で内部統制を取り入れる
  • 企業の信頼を守るITシステム
  • ITシステム利用者が守るべき倫理
  • 情報セキュリティポリシーを守る
  • 企業の内部統制と自由

第11章 科学技術と倫理

  • 科学技術は,人間の使い方次第
  • 原子力を人間はどう使ったか
  • 公害が生み出した病気と社会問題
  • 技術決定論と社会決定論
  • 科学に対する信頼性
  • 技術者の倫理
  • 防犯カメラによる監視問題
  • 監視社会の未来
  • 科学技術を利用する側として
  • 情報活用能力と不安
  • 科学技術を理解して伝える

第12章 ビッグデータとAIの倫理

  • ビッグデータと倫理
  • 人工知能の定義
  • 機械学習と人工知能
  • ディープラーニングと人工知能
  • 人工知能はどこまで知能か
  • ビッグデータとプライバシー
  • ビッグデータの法的規制
  • 人工知能と倫理
  • 人工知能と日本の法律
  • 今後の社会の変化と情報倫理

第13章 デジタルデバイドとユニバーサルデザイン

  • デジタルデバイドは何故起こる?
  • 世界での携帯電話によるモバイル通信の普及
  • バリアフリーからユニバーサルデザインへ
  • ミスターアベレージは誰か
  • ユニバーサルデザインの7原則と事例
  • 情報機器を使いやすくするための工夫
  • ウェブアクセシビリティを高める

第14章 ソーシャルネットワークサービス(SNS)と情報モラル

  • ソーシャルネットワークサービス(SNS)の動向
  • 情報の残存性に留意する
  • 公開範囲を設定する
  • 不正なスマホアプリに注意する
  • セクストーション(性的脅迫)に気をつける
  • SNSによる人間関係のトラブルにも注意
  • SNSでのトラブルに巻き込まれたら
  • 誹謗中傷をネットに書かれたら
  • セキュリティ対策もしておく
  • 「フィルタリング」を利用して危険から守る

第15章 情報通信社会とリテラシー

  • どのようなIT社会を目指しているのか
  • サイバー空間に現実世界が乗る現代
  • 情報通信社会を生きる私たちに必要な情報リテラシー
  • メディア・リテラシー教育も並行する
  • 膨大な情報から自分にとって必要な情報と出会うために
  • 情報倫理の教育のこれから

索引

著者プロフィール

髙橋慈子(たかはししげこ)

第2,3,5〜8,10,13〜15章
テクニカルコミュニケーションの専門会社 株式会社ハーティネス代表取締役
立教大学,慶應義塾大学,大妻女子大学 非常勤講師
情報処理学会ドキュメントコミュニケーション研究会運営委員


原田隆史(はらだたかし)

第1章(共著),第9章,第12章
同志社大学 免許資格課程センター 教授
同志社大学大学院総合政策科学研究科 教授
国立国会図書館 電子情報部 非常勤調査員。Project Next-L 代表
専門:図書館情報学,図書館システム


佐藤翔(さとうしょう)

第4章
同志社大学 免許資格課程センター 准教授
専門:図書館情報学


岡部晋典(おかべゆきのり)

第1章(共著),第11章
愛知淑徳大学 人間情報学部 講師
専門:図書館情報学