小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#20 (株)ミクシィ 平林幹雄,長野雅広,津久井玲宏,大窪聡

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mixiアプリ

弾:mixiアプリというサービスを出したわけですけれども,ぶっちゃけた話,mixiアプリが当たればの話ですけども,これからは事情がわからない人が書いたコードがいっぱい,実行されるわけですよね。何か対策というのは?

津久井玲宏さん

津久井玲宏さん

津:たとえば全件走査はできないつくりにしたり,APIに制限を入れています。あとはキャッシュをうまく使うとか,実装を担当しているわけじゃないので具体的なことまでは言えないんですけど,負荷が高くならないようにはしています。

弾:結構怖いんですよね。人様に自由にしていただくというのは。

津:直接データベースをいじれるわけじゃなくて,あくまでAPIをこちらが提供して,そのAPIをたたいてねっていう感じです。

弾:APIさえ監視しておけば大丈夫なはずだと。

津:あと,作ったばかりのアプリケーションは,全員に見えるわけじゃなくて,mixiの審査を通らないといけない。

SNSの健全化

弾:本誌の質問からはみ出ちゃうからもしれないんですけど,SNS(Social Networking Service)のユーザに健全なことを期待するというのは,健全なことなんですか?

一同:(笑)

弾:なんでプライバシーが必要かというと,人間は100%健全ではありませんよ(笑)⁠だからプライバシーが必要なわけですよね。それで,普通のWebにあまりに健全性を求められるから,SNSみたいなところで不健全でもOKな癒しを求めてたはずなのに,そこで健全化というふうにやられると,なんか,すごい苦しくないですか? 僕としてはmixiはそういう不健全な人を健全な世の中から守ってほしいというのがあるんですが(笑)⁠

平:ユーザーが安心安全に利用しやすくするための健全化ということですね。

優れたエンジニアとは

弾:優れたエンジニアってどういう人だと思いますか。

平:僕は2種類いると思っていて,新しいものにどんどん飛びついて,アンテナがすごく広くて,で,短時間で新しいものがどんどん出てくるので,短時間でやって判断して,というタイプが1つで,器用な人はそれでいいと思っています。それはそれでいいエンジニアになれると思うんですけど,たとえば僕は新しい技術とかには全然疎いし,1個のものがいいかどうか判断する能力が全然ないと思っているので,1個に飛びついたらそれをずっとやっちゃう性質なんですね。だからいまだにDBM,20年前の技術をずっとやってるっていう話になるんですけど。そういう結構地味なことをずっとやるのって,モチベーションを保つのがすごく難しいっていう側面があって,となるとそれを一生懸命やるためにはモチベーションを保つ能力はすごく大事だと思っています。じゃあ,そのためにどうするんだっていう話になるんですけど,一番いいと思ってるのは,実際の課題に触れて,たとえば長野さんだったら画像の配信がすごく重いっていう課題に触れてそれを解決するための技術をかき集めてきてインテグレーションして出す。具体的な,しかも本気でやらなきゃいけない課題に自分の身を置けるかが結構重要だなと思います。

弾:ミクシィに入るには,自分で課題を見つけて解くという能力を見ますか? あるいはそういう技術は社内に入ってから培ってもらえばいいと考えますか?

津:面接では,今まで一番困ったことは何か,それをどうやって解決したかをだいたい聞いてます。そういった意味では,問題に行き詰まって,どう解決したかっていうのは重視していますね。

弾:エンジニアは困ってなんぼだと(笑)⁠

大:作り終えた過程よりは,作るまでの過程を含めて困っているっていうシチュエーションこそ楽しかったりしますし,そういう実感を得られるっていうのは1つの資格かなあと思います。できあがったから自慢するっていうのだけではなくて,やっぱりその今,困っているんだぜっていうことこそもっと自慢してほしい。

長野雅広さん
(本誌「大規模Webサービスの裏側」連載中)

長野雅広さん(本誌「大規模Webサービスの裏側」連載中)

長:自分の隣の席の人は,困ってるとずっと笑ってる(笑)⁠すごくおもしろい方で,運用なので,グラフとかログとかダーって流れてるのを見て笑ってるんですよ。それは能力としてすごくおもしろい。あと,運用エンジニアというくくりでいうと,結構なんでもできるんですよ。ブート権限を持ってどこのデータだって,MySQLのSELECTコマンドを叩いたりすればすべて見られるわけじゃないですか。で,それをしないっていうのはどういうことなのかなっていうのを自問自答して考えてます。ちょっと前にイベント注7で,運用エンジニアっていうのは,⁠地図に残る仕事」注8って自分で言ったんですね。地図に残る,道路なり橋なりを作る仕事って,ものすごい自信も持てるし,責任も伴う。そういうことを感じられる人は優れたエンジニアなんだろうなって思います。

平:課題を解決するために計画を立てて物事を進めるということをエンジニアリングだとすると,結局,重要なのは,課題はただ単にゴールだけ設定していると何もできないので,全部必要なものにブレイクダウンして,解けるレベルまで落とし込んでいくというのがすごく大事だと思います。そうすると,最後に出てくるのは自分がちょっとやればすぐ解決できるレベルになっているはずなんですけど,それをどんどん文章にするなり形にしていって,で,1個1個潰していくっていうまとめ方ができる人がエンジニアとしては優れていると思う。

弾:問題を要素まで分解できるということですね。

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注7)
パソナテック10周年記念「インフラエンジニア討論会2008」
注8)
もとは大成建設⁠株⁠の広告スペースで使われたフレーズ。

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

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