前回に続き,マウスとのインタラクションを扱う。今回のお題は,マウスのイベントだ。マウスイベントはとくに複数のインスタンスが絡むので,気をつけなければならないことがいくつかある。順に,解説していこう。
マウスイベントは誰が受取るのか
まず,マウスイベントは誰が受取るのかを確かめたい。クリックしたインスタンスに決まっている,と思うかもしれない。しかし,インスタンスがタイムラインにいくつも置かれているときは,マウスイベントの発生についてもう少し詳しく知っておかなければならない。
手始めに前回と同じく,インスタンスのマウスクリックで呼出されるInteractiveObject.clickイベント(定数MouseEvent.CLICK)に,リスナー関数を定義しよう。ボタンのインスタンス名は,button_mcとする。ただし,前回のスクリプト1と異なり,MovieClipシンボルの中ではなく,インスタンスbutton_mcを置いたフレームアクションとして記述する。
// タイムライン: メイン
// MovieClipインスタンスbutton_mcを配置
// フレームアクション
button_mc.addEventListener(MouseEvent.CLICK, xTrace);
function xTrace(eventObject:MouseEvent):void {
trace(button_mc.name);
}
また,MovieClipシンボル内のフレームアクションでは,マウスポインタを指差しカーソルに変えるためにSprite.buttonModeプロパティはtrueに設定しておく(図1。シンボル名は"Button"とした)。
もちろん,[ムービープレビュー]でボタンのMovieClipインスタンスをクリックすれば,[出力]パネルにはインスタンス名"button_mc"が表示される(図2)。
つぎに,ボタンのインスタンスと少し重なり合うように,別のMovieClipを前に置いた。重なりがわかりやすいように[カラー効果]の[アルファ]で半透明にしたほかは,スクリプトも設定していなければ,インスタンス名さえつけていない。
[ムービープレビュー]で確かめると,ふたつのインスタンスが重なり合った部分では,マウスポインタが指差しカーソルに変わらない(図4左図)。それだけでなく,そこでクリックしても,InteractiveObject.clickイベントのリスナー関数は呼出されない。ボタンのMovieClipインスタンスの重なっていない部分であれば,カーソルは変わり(図4右図),リスナー関数も正しく動く。
ActionScript 3.0では,マウスイベントを受取れる(InteractiveObject)インスタンスが同じ階層で重なり合っている場合,つまり兄弟のインスタンス同士では手前のインスタンスが排他的にイベントを受け取る。それは,それらのインスタンスに,マウスイベントのリスナーが設定されているかどうかを問わない(※1)。
インスタンスのInteractiveObject.mouseEnabledプロパティをfalseに設定すると,マウスイベントを受取らなくなる。このプロパティのデフォルト値はtrueだ(マウスイベントを受け取る)。つぎのスクリプト1は,手前の矩形のMovieClipインスタンスにcover_mcという名前をつけたうえで,そのInteractiveObject.mouseEnabledプロパティをfalseにした。これで,後ろのボタンのMovieClipインスタンスが,マウスイベントを受取れるようになる(図5)。
スクリプト1 手前のインスタンスのInteractiveObject.mouseEnabledプロパティをfalseに設定
// タイムライン: メイン
// MovieClipインスタンスbutton_mcを配置
// フレームアクション
button_mc.addEventListener(MouseEvent.CLICK, xTrace);
cover_mc.mouseEnabled = false;
function xTrace(eventObject:MouseEvent):void {
trace(button_mc.name);
}
- ※1
- ActionScript 2.0/1.0では,マウスイベントのハンドラが設定されていないインスタンスは,マウスイベントを受け取らなかった。

