OSSデータベース取り取り時報

第21回 MySQL 8.0.1開発版とInnoDB Cluster製品版リリース,PostgreSQL10の新機能紹介,Apache Cassandraは3.0.x系統のメンテナンス版3.0.13をリリース

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MySQL本体のアップデートに加えてMySQL InnoDB Clusterが製品版となりました。PostgreSQLの更新はありません。今回はPostgreSQL10の新機能を紹介させていただきます。Apache Cassandraは3.0.x系統のメンテナンス版3.0.13をリリースするとともに,RPMパッケージ形式を初めて提供するようになりました。

[MySQL]2017年4月の主な出来事

4月11日にMySQLサーバー,MySQL Clusterならびにツールなどのマイナーバージョンが行われました。MySQLサーバーの次期メジャーバージョン8.0の2つめのDMR(開発途上版)として8.0.1.がリリースされました。MySQL 8.0.1では,デフォルトの文字コードがUTF-8(utf8mb4)になったほか,多数の機能追加が行われています。

MySQL 8.0.1の新機能

MySQL 8.0では,8.0.0で追加されたデータディクショナリをはじめとしてMySQLサーバーのアーキテクチャに大きな変更が行われています。MySQL 8.0.0については第14回にてご紹介しています。

MySQL 8.0.1では,幅広い機能で追加や改良が数多く行われており,MySQLサーバー開発チームのブログにて解説されています。さらに将来のマイナーバージョンでの機能追加のための準備も行われています。主な機能追加や変更点は以下の通りです。

今後の実装が予定されている機能追加への対応として,JSONデータ型レコードの部分的な更新のためのBLOBデータ型の改良,ヒストグラムのためのhandler API追加,効率的なプリペアードステートメントの再利用のための改良などが行われています。

2017年4月の製品リリースとMySQL InnoDB Clusterについて

MySQL 8.0.1に加えて,もう1つの重要なリリースは,マルチマスター型レプリケーションを構築運用するためのソフトウェアパッケージMySQL InnoDB Clusterが製品版となったことです。MySQL InnoDB ClusterはMySQLサーバーのグループレプリケーション機能に加え,運用を支援するAdmin APIを含むコマンドラインクライアントMySQL Shellと,アプリケーションから各MySQLサーバーへのアクセスのルーティングを行うMySQL Routerを統合したパッケージです。MySQLサーバー 5.7.18のリリースのタイミングで,MySQL Shell 1.0.9MySQL Router 2.1.3が同時にGA(製品版)となりました。なおMySQL InnoDB Clusterについては第20回もあわせてご参照ください。

MySQL 5.55.65.7のバグフィックスを中心としたマイナーバージョンがそれぞれリリースされています。特に5.6, 5.7の各バージョンの商用版で使用しているOpenSSLライブラリの脆弱性に対応しているため,商用版をご利用のお客様は,ソフトウェアをMy Oracle Supportからダウンロードの上,早急なバージョンアップをご検討ください。

またMySQL Cluster7.37.47.5のバグフィックスを中心としたマイナーバージョンがそれぞれリリースされています。MySQLサーバーと同じく商用版のみで利用しているOpenSSLライブラリの脆弱性対応が含まれています。なおMySQL Clusterの各マイナーバージョンのリリースノートには,内包しているSQLノードであるMySQLサーバーの各バージョンのリリースノートへのリンクのみが記載されているので,見落としがちですのでご注意ください。

[PostgreSQL]2017年4月の主な出来事

PostgreSQL10は5月のbeta版リリースに向けて開発や発表の準備が進行中と思われますが,新機能などについて,残念ながら公式発表は出ておりません。しかしながら,有志による評価検証,関係者による非公式の技術情報開示などにより少しずつ,PostgreSQL10の姿が見えてくるようになりました。

今回は,新機能のうち,実装されることがほぼ確実と思われる2機能を紹介します。

宣言的パーティショニング

これまでのPostgreSQLはテーブル継承機能とトリガ機能を活用してパーティショニングを実現させていましたが,設定が複雑で,パフォーマンスの特性があまり良くありませんでした。

PostgreSQL10ではパーティショニングがネイティブサポートされることにより,設定についてはSQLにて容易にパーティションを構成できるようになり,パフォーマンスについては特にINSERTにおいて10倍程度の高速化が実現できているという検証結果が公開されるなど,大きな改善が期待されています。

ロジカルレプリケーション

これまでのPostgreSQLはストリーミングレプリケーションと呼ばれる物理的なレプリケーションを行っていましたが,マスター側で発生したWALをそのままスレーブに反映させる仕組みのため,データベース全体をレプリケートする使い方に限定されるほか,マスター/スレーブ間でPostgreSQLのバージョンやOSアーキテクチャが異なっていると利用できない制約がありました。

PostgreSQL10では論理的なレプリケーションがサポートされることにより,テーブルレベルでのレプリケーションが可能になり,バージョンやOSアーキテクチャを越えたレプリケーションも可能になるなど構成自由度が向上します。また,SQLによる設定が可能となることでその設定も容易となることが期待されています。

著者プロフィール

山本文彦(やまもとふみひこ)

TIS株式会社

アプリ兼インフラエンジニアとしてさまざまなECサイトの開発現場を担当後,現在はOSSサポートサービスにおいて技術コンサルティングや保守サポートに従事。PostgreSQLだけでなく,MySQL, OracleなどのRDB,Amazon DynamoDBといったNoSQLなどさまざまなDB製品の利用経験を活かして,OSS製品の普及活動に力を注いでいる。


木本吉信(きもとよしのぶ)

DataStax Inc.

OSからデータベース,各種アプリケーションの国内導入やローカライズにかかわる仕事を株式会社創夢,イデアコラボレーションズ株式会社,Japan Leadershipで,学生時代から現在に至るまで30年に渡り行う。業務として,また業務の傍ら,マニュアルや書籍,記事の翻訳や監訳・執筆なども行う。


梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。

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