OSSデータベース取り取り時報

第52回 MySQL Innovation Day 2019,PostgreSQL Conference Japan 2019開催

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この連載では,OSSコンソーシアム データベース部会のメンバーが,さまざまなオープンソースデータベースの毎月の出来事をお伝えしています。今回は,MySQL Innovation Day 2019での発表内容と,日本PostgreSQLユーザ会(JPUG)のカンファレンスの内容についてご紹介します。

[MySQL]2019年11月の主な出来事

2019年11月はMySQLの製品リリースはありませんでした。10月に本連載の締切後に,Microsoft Visual Studio 2019に対応したプラグインであるMySQL for Visual Studioのマイナーバージョン1.2.9Connector/C++ 1.1.13Connector/ODBC 5.3.14がリリースされています。

11月7日,8日には,MSQLの開発チームやプロダクトマネージャーなどが来日して講演するイベントMySQL Innovation Day 2019が東京と大阪で開催されました。講師はオリジナルのMySQL法被を着ての登壇となりました。

MySQLコミュニティマネージャー lefredのTwitterより

MySQL公式Twitterより

このイベントではMySQLの高可用性構成やセキュリティ,DevOpsを支援するツールMySQL Shell, さらにはMySQL Cloud Serviceのデータ分析エンジンなど幅広いテーマの最新の技術情報やロードマップが紹介されました。こちらのイベントの資料はmysql.comからダウンロードできます。

MySQL InnoDB Clusterの新機能紹介

高可用性構成の製品技術を担当するMySQLプロダクトマネージャーのKenny Grypは今回が初来日となり,主にMySQL InnoDB Clusterの最新技術と今後のロードマップについて解説しました。

MySQLコミュニティマネージャー lefredのTwitterより

特にMySQL 8.0.17から利用可能となったCloneプラグインは,クラスタ構成にノードを追加する際に既存のノードからMySQLプロトコルを利用してデータの同期を行う注目の機能です。Kennyの講演内でこのCloneプラグインのデモも行われていました。

MySQLのセキュリティ機能の最新動向

日本でのMySQLのイベントでもおなじみとなってきたプロダクトマネージャーのMike Frankからは,彼の専門領域でもあるセキュリティについて講演しました。

MySQLプロダクトマネージャー KennyのTwitterより

MySQLの開発においてセキュリティは最優先課題と位置づけられており,MySQL 5.7から利用可能となっていた領域の透過的暗号化に加えてInnoDBのREDOログ/UNDOログの透過的暗号化,さらにロール機能や動的権限など数多く機能追加や改善を行ったMySQL 8.0のGAリリース以降も,セキュリティ機能の拡張が続けられています。

今回の講演でMySQL 8.0の新機能として強調されていたのは,管理ユーザ用のSYSTEM_USER権限ユーザパスワードの切り替え時に一時的に複数のパスワードを持たせることができる機能などでした。

商用版のMySQL Enterprise Editionでは透過的暗号化などで利用する鍵の管理に,Oracle KeyVaultやAWS KMSなどが利用できましたが,10月のOracle OpenWorldでHashCorp Vaultが利用できるようになったことが発表されたことも報告されました。

またデータマスキングや他のセキュリティ機能に関する機能要望や仕様に関するフィードバックなどを日本のMySQLユーザーの皆さんからいただきたいとも語っていました。一例としてはMySQL Enterprise AuditにてタイムスタンプがUTCのみになっている監査ログを,システムのタイムゾーンなどに変更できるようにする機能追加要望(Feature request)などがあります。バグデータベースへの機能追加要望の登録や既存の要望への⁠Affects Me⁠ボタンでの投票の他にも直接MySQL開発チームにご連絡いただければとも言っています。

DevOpsを支援するツールMySQL ShellとMySQL 8.0へのバージョンアップ

MySQLコミュニティマネージャーのlefredからはMySQL Shellの機能解説とMySQL 8.0へのバージョンアップによるメリットを紹介していました。

MySQL ShellはSQLだけではなくJavaScriptやPythonでのデータの操作やMySQLサーバーの管理が可能なクライアントプログラムです。

MySQL Shellにはプラグインの機構やDevOpsを支援するユーティリティが用意されています。特にMySQL 5.7から8.0へのアップロードの際に,事前に互換性の検証を行うUpgrade Checker Utilityの解説や,lefredがGithubで公開しているプラグインを活用したサンプルやレポートも実演していました。

著者プロフィール

梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。


中西剛紀(なかにしよしのり)

TIS株式会社

TIS(株)においてOSSの技術コンサルティングや保守サポートに従事。過去にさまざまなデータベースと苦楽を共にしたが,現在は日本PostgreSQLユーザ会,PostgreSQLコンソーシアムといったコミュニティでの技術検証や講演を通じて,PostgreSQLの普及活動に力を注いでいる。


溝口則行(みぞぐちのりゆき)

TIS株式会社

OSSコンソーシアム副会長,オープンソースビジネス推進協議会(OBCI)副理事長。その他,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons),日本OSS推進フォーラムなどにも少しずつ関与。勤務先メンバに,PostgreSQL,Zabbix,Ansibleやコンテナ技術などに強みのある癖のある芸人を抱え,タレントマネージャ業が中心になりつつある。