アナログツールでライフハック:Hipster PDA時々モレスキン、のちトラベラーズノート

第6回トラベラーズノートでスケジュール管理+ユビキタス・キャプチャー

この連載で今まで紹介してきたアナログツールの中に、カレンダーが無かったことに気づいてる方もいるかと思います。筆者が使っているHipster PDA、モレスキン、モレスキン・メモポケッツと、どれもスケジュールを管理するカレンダーを備えていません。筆者は現在、スケジュール管理をトラベラーズノートという手帳で行っています。

今回は、モレスキンとの比較などを交えながら、トラベラーズノートを紹介します。

トラベラーズノートというノート=手帳

トラベラーズノートは、⁠株)デザインフィルが、ミドリというブランドで販売している「ノート=手帳」です。タイ製の、柔らかい革一枚で、ノート型のリフィルを包むようなシンプルな仕組みとなっています。リフィルとは、21cm×11cmのA5変形ノートです。罫線、無地、方眼などのノートをはじめ、日記、ダイアリーなどもあります。リフィルをはさんだ本体は、細いゴムバンドを横にかけて、ノートが開かないようになっています。

大きさは約22cm×約12cm、モレスキンで言えば、ラージサイズ(21cm×13cm)程度、A4を三折りにしたものがちょうど入るサイズです。

色は黒と茶の二色。茶色が人気のようですが、筆者は黒を使っています。

革の手触りがよくて、筆者の感覚では実に「色っぽい」手帳です。

トラベラーズノート、奥に見えるのはザウルス
トラベラーズノート、奥に見えるのはザウルス

リフィルが色々とありますが、これはホームページでも見ていただくとして、筆者は、2008月間ダイアリーと、セクションリフィルの2冊をセットしています。月間ダイアリーは、見開きで月間カレンダータイプ、セクションリフィルは、5mm方眼のノートとなっています。それぞれでスケジュール管理、ユビキタス・キャプチャーをしています。

ちなみに月間ダイアリーは、本体のゴムに通して、簡単に本体から外れないようにしていますが、セクションリフィルは本体に挟むだけにします。これは、仕事中にセクションリフィルのみを本体から外して、机上に置いているためです。このことの意味については後程説明します。

さらにジッパーケースというリフィルをはさんでいます。これはモレスキンでいうポケットの役割をしますが、透明なのでブラックボックス化することがなく便利です。お札やEdyカードを入れると財布になりますし、ペンや定規、旅行の際の切符、買物のレシートなどを入れています。

堅いモレスキン、柔らかいトラベラーズノート

トラベラーズノートは、本体が柔らかい革でできているため、加工することが容易です。堅いモレスキンに対して、柔らかいトラベラーズノートと言えるでしょう。

様々なユーザーのブログを覗きますと、個性豊かにカスタマイズをほどこした使用例があって、それを眺めるのも楽しいものです。このカスタマイズのしやすさは、モレスキンにはない特色です。

ミドリのホームページには、パトリック(Patrick Ng)という方の、素晴らしい使用例があります。GTDも、トラベラーズノートで実践しているこの使用例を見て、筆者は購入を決めたようなものです。

また、薄いリフィルを組み合わせるという仕組みも「柔らかい」と言えます。

基本はリフィル1冊~3冊で構成するのが普通ですが、リフィル4冊をセットする方法なども、先程紹介しましたプロフェッショナルユーザーのパトリックが公開しています。

リフィル1冊あたりのページ数が多くないので、それらを組み合わせることで、それぞれのリフィルに目的を持たせて使用することが可能です。たとえば、無地のリフィルを旅行専用にして、普段は外して保管しておくといった使い方が考えられるでしょう。

トラベラーズノートという名前の通り、旅をコンセプトに作られたノートということもあって、リフィル1冊で1つの旅、といった使用方法を想定しているように思われます。

筆者が、モレスキンだけではなくトラベラーズノートも使うようになったのは、もちろん、その革のtextureも気に入った点なのですが、その広さが大きなポイントでした。

予定がぎっしり詰まっているわけではない私は、月間ダイアリーの一覧性の高さと、紙面の広さでトラベラーズノートを選びました。モレスキンやザウルスのカレンダーは、やはり小さいと感じたのです。

さすがにスーツのポケットなどで携帯するには、トラベラーズノートは大き過ぎます。しかし、通勤ではカバンに入れ、職場ではデスクワーク中心ですので、あまり問題とはなっていません。この辺り、個々の事情でツールの選択肢は変わってくるでしょう。

トラベラーズノートでユビキタス・キャプチャー

連載の第4回で紹介した、ユビキタス・キャプチャーの基本は、1冊のノートで行います。しかし、筆者はモレスキンとトラベラーズノートの2冊使いを実践しています。

2冊使うのは一種禁じ手のようなものですが、この場合大事なのは、使い分ける場面をはっきり分けておくことです。そうすることで、どちらに情報があるかすぐに判断できます。

筆者は職場ではトラベラーズノート、自宅や休日はモレスキンという使い分けをしています。

先ほども述べましたが、職場では、トラベラーズノート本体から、セクションリフィルだけを外して机上に置いています。そして、何か思いついたらすぐにメモ、さらに重要なアイデア等であれば「□i」と記入しておき、後でモレスキンに転記します。

平日職場では、トラベラーズノートでスケジュール管理とユビキタス・キャプチャーをする。自宅および休日は、モレスキンでユビキタス・キャプチャーをする、といった使い分けとなっています。

こうすることで、平日の出勤時は、トラベラーズノートだけを持って行けばいいわけです。この荷物を減らせるというのが、トラベラーズノートでユビキタス・キャプチャーをやる大きな理由です。

「超」整理手帳の手帳術を応用する

筆者はトラベラーズノートの活用法として、リフィル差し込み、本体の縦の長さなど、類似点の多い「超」整理手帳の活用法を参考にしています。

「超」整理手帳は、野口悠紀雄氏が考案し、販売されている手帳です。独特の細長い形や使い方などが個性的ですが、この「超」整理手帳の使い方の多くはトラベラーズノートに応用可能です。

まず「超」整理手帳は、A4サイズの書類を四折りで保管できますが、トラベラーズノートの場合は、A4三折りではさみこむことができます。あらかじめテンプレートをあちこちに準備しておくと、簡単に三折りにすることができるでしょう。

リフィルを1~2冊程度にしぼっておけば、かなり多くのA4書類を挟み込むことができ、仕事でも便利に使えます。

また、⁠超」整理手帳では「母艦(マザーシップ)方式」と言って、手帳にセットされているリフィルを、必要な時に必要なものだけ、本体から外して使うやり方がありますが、もちろんこれもトラベラーズノートで実践可能です。筆者は、職場では本体からセクションリフィルだけを「出撃」させて机上に置いておき、ユビキタス・キャプチャーをしています。

このセクションリフィルだけだと、スーツの内ポケットにもすんなり入りますので、打ち合わせなどに持ち運ぶことができます。

トラベラーズノートはまだ新しく若い手帳ですから、独自の手帳術といったものはこれから充実化されるでしょう。そこが、ユーザーにとっては工夫のしがいがある、おもしろい点となっていると思います。

次回はいよいよこの連載も最後です。

連載のまとめとして、筆者のアナログツールの現状と、その考え方について説明しようと考えています。

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