GTDの生みの親David Allenさんへの独占インタビューの第2回である前回は,GTDを実践する上で最初のハードルとなる「頭をクリアーにする」習慣についてご紹介しました。さて,この習慣が身についてくるとGTDの恩恵が感じられるようになってきますが,今度はそれを維持することが難しいことに気づかされます。
実際,GTDが爆発的な人気を獲得してからのこの数年は,GTDを「完璧」に運用できる「聖杯」のようなツールやソフトウェアなどを求めて膨大な情報交換と開発がネットで行われてきた年月でもありました。
今回は,そんなGTDの「実装」についての誤解や問題点,そして長期的にGTDを続けるためのコツについてうかがってみました。
GTDの実践を作り込みすぎてはいけない
堀(以下,MH):
「よくネット上の議論で言われることですが,GTDというのは一種『悟り』をひらけば2度と何も調整をしなくてもいい,永久機関のような仕事術ととらえてしまう人も多いようです。ですが,実際は常に油をさして整備しないといけないのですよね」
David Allen(以下,DA):
「申し訳ないが,その通りだよ(笑)。私がGTDで受ける質問の90%はウィークリーレビューをちゃんといていれば,問題にならないことが多いんだ」
「たとえば,『プロジェクトとアクションをどのように結びつければいいの?』といった質問は,ちゃんとレビューをして,自分がかかえているコミットメントと向き合っていれば,おのずとわかることなんだよ。というのも,君自身のGTDのシステムがどんな形をとっていたとしても,それが君の人生以上に複雑だということはあり得ないからね。そして君は毎日自分の人生と向き合っているだろう?」
「GTDが人気となった最初のころ,ITに通じた読者の一部は『DavidのGTDってやつは,頭を空にしてくれるそうだ! じゃあ,GTDを完璧に実装するソフトを開発して,二度と何も考えなくて済むようにしてみよう!(笑)』と考えてしまい,それがGTDの実践方法を過剰にエンジニアリングしてしまうという問題につながったんだよ」
「皮肉なのはそうした過剰に作り込まれたソフトを使おうとすると,それを使うために必要以上の思考を費やさなくてはいけないはめに陥る点だ。そうなると今度は,『こんなつまらないタスク1つを実行するためにこんなにキー入力をしないといけないだって? そんなこと知らないよ! 自分は頭の中で全部管理してやる!』という具合に元も子もなくなってしまうんだ」
MH:
「システムに入り込みすぎてしまうわけですね。たしかあなたが43FoldersのMerlin Mannからインタビューを受けていた時に,自分が実際に仕事をしているときにはすでにGTDを離れているとおっしゃっていたこととも関係しますね。GTDは今必要なタスクだけを通すゲートキーパーで,実際に仕事を行なう段階では,すでにそれは必要ないという」
DA:
「そうなんだよ。多くの人がProductivity P0rnと呼ばれたりする,GTDを含めた仕事術を過剰に接種している状態になっている。新しい仕事術を趣味として楽しんでいるのだったらそれでもいいけれども,私に言わせるなら『何がしたいの?』というアウトカムだけをはっきりさせたなら,あとは人生に飛び込んでやるべきことを片付けてしまえばいいのに!と思うね(笑)」

