エンジニアと経営のクロスオーバー

第6回 エンジニアにとって「マネジメント」と「リーダーシップ」はどう違うのか

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マネジメントを嫌がるエンジニアは,食わず嫌い?

前回はリーダーとマネージャーについて書きましたが,今回はエンジニア出身の場合の向き不向きについてです。

まず最初に言えるのは,エンジニアは,傾向としてかなりマネジメントを嫌がるということです。そして,私はこれは大きなまちがいだと思っています。

次の記事は私が6年前に書いたものですが,まずこれを読んでみてください。

「向き不向き」「好き嫌い」は違いますが,嫌々やってもうまくいかないのもまた事実です。⁠良い意味で)本当にマネジメントに向かない,スペシャリスト向きのエンジニアももちろんいますが,マネジメントを嫌がるエンジニアというのはだいたい食わず嫌いではないでしょうか。

「労働による成果を最大化する」のがマネジメント

ただ,ここで重要な前提が1つあります。それは,⁠本来,マネジメントは良いものだ」ということです。

マネジメントとは,それによって労働による成果を最大化する,という機能です。経営にとってビジョンは重要ですが,そのビジョンの達成のために,労働を最適化するのがマネジメントです。

目標が達成できるなら,必要な労働が最小化されるに越したことはありません。それによって失職するケースもあるかもしれないので,⁠100%だれにとっても良い」とまでは言いませんが,労働の費用対効果を最大化することがマネジメントの本質であることはまちがいありません。

ところが世の中には,そうでないマネジメントというものが往々にしてあるのもまた事実です。たとえば,無駄な会議や意見の調整,本質とは違う権力の濫用,⁠仕事しちゃってる感」などです。

こうした無駄なマネジメントを忌避するのは,至極当然です。なので,⁠無駄なマネジメントは嫌だ」ということであれば,まったく問題はないと思います。でも,実際には,必要か無駄かは関係なく,⁠マネジメントは嫌」という意見がほとんどではないでしょうか。

ちなみに話は逸れますが,非エンジニア職種の場合,特にセールスやマーケターの場合,⁠無駄なマネジメント」でも歓迎するというか,やりたがる人が一定数いるような気もします。⁠役職欲⁠のようなものかもしれません。役職というのは,承認欲求を満たすためにあるのではないのですが,難しいところですね。

エンジニアは,マネジメントに関する教育コストが高い

ということで,エンジニアとマネジメントについては,

  1. まず,そのマネジメント自体が必要で良いものかを見極める
  2. 良いものであった場合,そのプラスの効果をきちんと学習する

という手順を踏んだうえで考えるのがいい,ということです。

1.については,そうでなかったらそれは会社とか部署の問題なので,どう改善したらいいんだというのはありますが,2.についてはいわゆる教育です。

エンジニアも,その大半はマネジメントに関わったほうがいい人材なので,正しい教育を経れば全体最適化につながるとことになります。

とはいえ,⁠それでも嫌だ」というシーンは目に浮かびますし,そういう意味ではエンジニアは「マネジメントに関する教育コストが高い」ということを理解しておく必要があるでしょう。

ただ,エンジニア出身の経営者の場合,自身がそうした経験をしてきているケースが多いでしょうから,そうでない経営者よりは「エンジニアの立場をより理解して,教育を実施することができる」かもしれません。

リーダーシップはマネジメントほど「いちエンジニア」としての立ち位置が変わらない

さて,エンジニアとリーダーシップについてはどうでしょうか。

リーダーシップをとるのは,マネジメントほどは食わず嫌いではないでしょうが,とはいえ大半が「喜んでする」ということでもないと思います。

数字はざっくりですが,リーダーシップを喜んでとるエンジニアは1~2割,まあしょうがないかと思ってとるエンジニアが5~6割,リーダーシップをとるのも嫌がるエンジニアが3割くらいではないでしょうか。

結局,エンジニアというのは,自分の作業に没頭したい人の率が高いのは事実だと思います。

ただ,前回も書いたように,リーダーシップというのはみんなの先頭に立って背中を見せるようなものなので,マネジメントほどは「いちエンジニア」としての立ち位置と違わないということもあるでしょうし,また自分がその恩恵を受けている経験もあるため,まだマシなのだと思います。

マネジメントの恩恵はわからないことが多い

ちなみにマネジメントは,自分がそれによって恩恵を受けていたとしても,そうとはわからないことが多いものです。これは立ち位置の問題で,言い方は悪いですが,立ち位置が低いと高い位置のことは見えないのは,ある意味しょうがありません。

でも(正しい)マネジメントの場合,立ち位置が高い人は自分より遠くまで広く見渡しているものなので,たとえその内容が理解が及ばなかったとしても,それに従うメリットはあるのです。とはいえ,理解が及ばない場合,それが正しいのは正しくないのかがわからない,という根本的な問題もありますが。

それに対して,リーダーシップは同じ立ち位置の高さで前に立つものなので,理解もしやすいし,恩恵も直接感じやすい,という違いがあります。ただ,それはエンジニア固有の特性ではないので,マネジメントほどは非エンジニアとの違いはないと思います。

エンジニア固有の話としては,⁠マネジメントに関する教育コストを厭わず取り組む」ということが重要だといえるでしょう。

  • 「当社はエンジニアにはマネジメントには関わらせず,技術に専念してもらいます!」

とかいうと聞こえはいいですが,非エンジニアにマネジメントされるエンジニアのほうが,将来大変なことになるでしょう。たぶん。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータセンターである「データホテル」を構築,運営。2003年にベイエリアにおいてVoIPベンチャーであるRedSIP Inc.を創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 ZETA株式会社)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZETA CX」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

blog:http://blog.zaki.jp/
社長コラム:https://zetacx.com/column

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