まだチャンスはあるのか?Firefox OSレビュー

第7回世界に放たれたFirefox OS搭載の端末達

Mobile World Congress 2013(MWC2013)で、MozillaからFirefox OSの発表が行われました。先月末から、さまざまなニュースが報じられていますが、気になるニュースをピックアップします。

泳げる頃には……

昨年秋の話ですが、2013年第1四半期に、Firefox OSが搭載された端末(Firefox OSケータイ)の製品化を目指すとされていましたが、MWC2013の発表では、少し先になり、2013年の夏にTelefonicaがスペインやラテンアメリカで発売するとしています。その頃まで、注目度を保つことができるのか心配になりますが、端末が登場する頃には、次期Firefox OSの話が聞こえてくるようになり、また、盛り上がりを見せるはずです。

さて、リリースされたFirefox OSで気になるのが、日本語入力アプリを追加する枠組みが存在するか?です。残念ながら、リリース版のFirefox OSには、こうした仕組みはないようです。

本連載の第2回で取り上げましたが、初期のFirefox OSには、ケータイ打ちで予測変換が可能な日本語入力アプリが搭載されていました。これを知っていたので、OS側に何らかの枠組みが搭載されているものと期待していたのですが、そうではなく直接組み込まれていたもののようです。

ただ、githubにあるGaiaのソースを眺めてみると、日本語入力アプリが残されているようにみえるので、いつでも実装できる状態ということなのかもしれません。ともあれ、次期Firefox OSで、日本語入力アプリを追加する枠組みがサポートされることを期待します。

ZTEがFirefox OS搭載端末を披露

MWC2013の会場では、Firefox OSケータイとして、⁠ZTE Open」が注目を集めていたようです。ZTE Openは、ハーフVGAのタッチスクリーンに、CPUがMSM7255A 1.0GHz、メモリー256MB、ストレージ512MB、802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1+DER、GPS、FMラジオ、3.2メガのカメラというスペックの端末です。

Firefox OSケータイが、ローエンド市場向けと言っても、パソコンの常識ならば、2008年秋に登場したAndroid初号機の「G1」と変わりないスペックのハードに、新しいOSが乗って登場することはないので、スマートフォンの市場は、まだまだ、ひと波乱の可能性があると感じさせます。

コンパクトなサイズのZTE Open。デザインは平凡か……
コンパクトなサイズのZTE Open。デザインは平凡か……

話がそれたので、⁠ZTE Open」の話題に戻します。

披露された端末は、手のひらにすっぽりと収まるほどの大きさです。

最近の端末は、手のひらに納まり切らないものばかりなので、この大きさは新鮮です。端末の前面は、静電式と思われるホームボタンがひとつあるだけです。右側面にはボタンがなく、左側面には、ボリュームボタンと思われるスイッチが存在しています。また、前面カメラはなく、背面カメラのみです。端末マニアの物欲をそそるほどではありませんが、$100前後で登場するのであれば、狙い通りローエンド市場をFirefox OSが席巻するのではないかと思わせます。

もうひとつの話題は、ソニーモバイル

ソニーモバイルの動きは予想外で、発売済みのXperia E向けに、Firefox OSのテストROMを公開しました。

Xperia Eのスペックを簡単に紹介すると、ハーフVGAのタッチスクリーンに、CPUがMSM7257A 1.0GHz、メモリー512MB、ストレージ4GB、802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+DER、GPS、3.2メガのカメラです。先で取り上げたZTE Openと似たスペックです。

SONY自ら、Xperia Eで動作中のFirefox OSのビデオを公開している

メーカ自ら、テストROMを公開するのは異例のように思えますが、Telefonicaと端末発売に向けて共同開発しており、取り組み成果の発表と、開発者からフィードバックが得られることを期待しての公開のようです。公開されたROMは、通信機能が無効になっていたり、メモリカードが使えない、タッチパネルの最適化がされていないなど、日常的に使うには難があるようです。

こうした動きは、ソニーモバイルが、自らコントロールできるOSを欲しいと考えているためと筆者は推測します。星の数ほどあるAndroid端末の中で、Xperiaは独自のユーザーインターフェースを持ち、広範囲に手が入っているのが特徴で、こうした端末は他にありません。

SONYは、ユーザービリティに関して、独自の哲学を持つ企業です。Android OSは、高い自由度がありますが、緩い縛りがあるので、自分たちの考えをいかんなく発揮でき、完全にコントロールできるOSを求めているように感じます。それが、今回の素早い動きとして現れたのではないでしょうか。

端末の登場が待ち遠しい

触れていませんが、スペインのgeeksphoneから開発者向けの端末が発売されます。入手予定なので、また機会を設けて紹介します。

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