モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第7回 グラフィックを「もう一度,読み解く」 その効能

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坂本龍馬の船

続けて,バイエルの女の子の近くに,サッカーや陸上の練習にいそしむ個人の絵を描きました。これは

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「ある経営者が,強い組織とは個性の強い組織だと言っていた。山登りが得意な人とラグビーが得意な人とサッカーが得意な人が集まって,それぞれが能力を高めていける組織が理想だと言っていた」という話を聞いて絵にしたものです。

そして,そんな人たちが乗り合わせた船(=組織)を中央下のほうに描きました。ものすごく勝手なイメージですが坂本龍馬が船出するような感じです(乗組員はサッカーボール蹴ったりしてますが⁠⁠。

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これは1つの話から連想した絵というよりも,みなさんが議論していた次のような内容を受けて1つの絵になったという感じです。

  • 「これからは閉鎖的な組織で考えるより,いろんなバックボーンを持った人たちが集まって議論する場が増えてくるはず。そのほうが生成的な価値が生まれるという流れになってきている」
  • 「閉じられ議論の枠をとっぱらいたくてグラフィックを使った」
  • 「⁠⁠コミュニケーションが複雑』という話は10年も20年も前から言われていること。でもそこでイメージを出すことができたら議論が進む」

これの発言を聞きながら,私がこれまで立ちあった,未来を語る熱い議論を交わしていた人たちの思いを思い出し,勝手に坂本龍馬に重ね合わせてしまったのかもしれません。

水面下のグラフィック

ところで,坂本龍馬の船のお尻近くにいるグラフィックたちがふーっふーっと口を尖らせているのが見えますか? 船が浮ぶ水面近くで,⁠潮の流れ⁠を起こして船の進みを推し進めようとしている感じです。これは,大海原でモヤモヤと迷走している船の迷いを断ち切り,目標を見つけて,力強く漕ぎ出せるような,そんな手伝いがしたいという私の気持ちの表れです。

船にドライブがかかるような,大きな⁠流れ⁠に乗せてあげたい。それには壁に飾られるだけの美しい絵では力不足で,こんなふうにふーっふーっと汗をかいて船を押すぐらいの力を持つグラフィックでなければ意味がないと,私自身この絵を見ながら再確認したところです。

ぐるぐる回るコーヒーカップ

龍馬が乗り合わせた船は目標(小山が旗を振ってます)を見つけて「GO!GO!」とドライブをかけて前進しています。しかし,それとは対照的に,まだ行く先も決まらずその場にぷかぷか浮いているのが,紙面右上のコーヒーカップです。閉じた会議でぐるぐるぐるぐる同じことを議論して前に進んでいない様子をイメージして描きました。でも,それをなんとか前に進めとばかりに,ここではダンボがそばでぷーっぷーっと鼻息をかけてます。

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これらの絵は,確か

  • 「グラフィックは未来の不確実なテーマに限らず有効。例えば堂々巡りの会議って多いけど,原点はここだよねというのに使える」
  • 「言葉はわかっているけどそれぞれがまったく違ったイメージを抱いているような抽象度の高いものをすりあわせるのにもビジュアルは有効」

といった内容を聞きながら描きました。

そして,コーヒーカップを描いた後に,私は龍馬の船まで一気に川の流れを描きました。

この川の流れを描いたことで,私が描く絵も,プロジェクトや議論の進み具合(川上~川下)によって役割が違うということが,ものすごく整理されました。ゴールを絵にすることで龍馬の船出に立ちあうときもあれば,ものすごく小さなコミュニケーションミスやロスで上手く進んでいない議論から抜け出すために筆を動かし続けている,そんなシンボリックな2つのシーンがここに描けました。

川底の絵に何かを見つけた人たち

川の途中には葉っぱの船に乗った人たちがいます。川底をのぞいて「本質!」と叫んでいます。これは次のような言葉が印象的で書き足した絵です。

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  • 「1つのテーマにもっと半年や1年という長い期間に関わったらいいと思う。関わることで見えてくる流れ,目に見えない大きな流れがきっとある。参加している我々もなんとなくその流れは感覚的にわかっているけど,やっぱり大きな流れを見えていなくて,それを埋める可能性がグラフィックにはあるのでは」
  • 「議論から本質的なものを見つける力がグラフィックにはある」

まだ力強く走り出していない議論を,潮の流れに任せて流されている葉っぱのイメージで描きましたが,議論をする中ですごい大事なものを見つけた瞬間を描いてみました。これから力強く漕ぎ出す,まさにその直前です。議論が一気に収束したり,実行レベルに議論が進む感じが,川の位置にしてもきっとこの辺りだと思います。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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