モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第11回 自分でも絵を描いてみたいけど絵心がないと思っている人へ(1)

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。さて,今回はもっとも多かった「絵心がないんですけど,自分でも絵が描けるようになりたい」という方々の質問に答えてみます。

いつも本当に多くの方から「どうしたら絵が描けますか」「描くコツを教えてください」という質問を受けます。最初のころは「ルールはないのでとにかく鉛筆を動かせばいいんですよ!」と返事をしていたのですが,

  • 「スケッチブックとか,色鉛筆とか,絵の描き方の本とかだけは買い揃えているのに,実際何も手がついていない状況です。何をどう描いていいか分からないし,下手だから…。一歩が踏み出せないでいる感じです」

「『マインドマップ』にもっと絵を活用したくて練習しているところなんです」と実際にノートを見せてくださる方々もいます。それがまたとても上手! それでも「実際みんなの前に立つと,なかなか描けないんです」とのこと。

あまりにも多いこうした声に,みなさんが納得のいく返事ができず,私自身もどかしさを感じるようになりました。何か伝えられることがあるはず…。でも一方で,みなさんが知りたがっていることと,私が伝えられることには何かズレもありそうな…,ウウウ~ン…。

「趣味としてではなく,実際にビジネスの現場で絵を描けるようになりたい」。けれど,同時に多くの人が二の足を踏んでいる。ならば,その理由を解明して,1つでも,絵を描く方法や,もしくは,絵筆を持たなくても普段の議論で使える考え方をここで紹介したいと思いました。これから数回に分けて,いただいた質問に答えながら,納得してもらえる解答を探してみます。

今回,1回目は,中でも特に多い『マインドマップ』を実践されている方々からの質問に答えてみます。

あなたはどんな絵を描きたいと思っていますか?

Q1:『マインドマップ』は,脳の発想を促進するために,文章でなく,単語の連鎖や絵を使って記述する方がよいといわれています。ゆにさんの『グラフィックファシリテーション(※以下「GF」)』も『マインドマップ』みたいなものですか?

A1:『マインドマップ』「言葉」を拾う?
GFは「発言を取り巻く空気」もいっしょに拾っています。

実際に私が描く様子や絵を見たことがない方からは,他にも「『リッチピクチャー』『見える化』みたいなものですか?」といった同様の質問をいただきます。実は,こうした絵や図で表現する手法が様々あることを,私はこの連載を始めるまで知りませんでした。

そこで,『マインドマップ』を実践されている方の言葉を借りると,「『マインドマップ』は発言を"キーワード"や"言葉"のままで拾うのに対して,ゆにさんは発言から誘発される"イメージ"を拾っている感じ」だそうです。

確かに,以前のQ&Aで「キーワードを拾っているんですか?」という質問をいただいたとき「キーワード」という言葉に私は違和感を感じました(※詳しくは第9回をご覧ください)。私の感覚としては,「キーワード」という単体で抜き取るというよりは,例えば「今いいこと言ってるなあ」とか「みんながなんか盛り上がってるぞ」というように,まさに発言を取り巻くその場の空気に反応して,その"流れ"や"固まり"で捉えている感覚に近いからです。

Q2:『マインドマップ』でもっと絵を描けるようになりたくて,今年は絵の訓練をしたいと思っています。参考になりそうなことがあったら是非教えてください!

A2:『マインドマップ』で必要な絵は"アイコン"や"マーク"?
それなら「画像検索」で練習してみては?

『マインドマップ』で描きたい絵とは,「文字」で書いたものを「絵」に置き換える,もしくはその「文字」から連想したことを「絵」にするイメージでいいでしょうか?

だとしたら,画像検索に向いていますね。

画像検索サイトでその「文字」「キーワード」を入力して検索すれば画像が出てきますから,それを参考に,「文字」に後から絵を追加していってみてはどうでしょう? GFで描く絵は「シーン」であることがほとんどで,そこには会話や感情など様々な要素が盛り込まれてくるので(例えば,カスタマーセンターに問い合わせたユーザーがオペレーターと話したことで怒りが治まっていく様子など)画像検索に向いていないのです。

『マインドマップ』で描きたい絵が,シンプルなマークやアイコン,挿絵的な単体のイラスト画のようなものであれば,他の練習アイデアとしては,例えば電車を待っている間に指示標識のイラストを参考に描いてみる,雑誌やフリーペーパーで使われているアイコンを真似して描いてみる,といった練習もできそうですが,どうでしょう?

ただ,最初は『マインドマップ』を描いている最中に,無理に描こうとしないほうがいいと思います。描くことに意識を取られて,議論や頭の中の発想を拾い損ねては本末転倒です。文字だけで仕上がった『マインドマップ』をもう一度見直しながら,絵を描き足していく。そのほうが,手当たり次第に絵の練習をするより,はるかに近道かと思います。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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コメント

  • Re:

    おー、今回はマインドマップできましたか。
    私はマインドマップの手法は好きです。文章ではなく、単語でつないでいく。連想の流れを視覚化する。その方法が私にはしっくりくるんですね。

    マインドマップを書く上で、絵にすることにこだわる必要はない、というのに賛成です。マインドマップに上手な絵が必要なのか?例えば写実性を求めるのなら、写真を張り付けることが有効なのか?

    そうではない気がします。マインドマップは文章で表現するのと同様、ある考え、概念を表現する方法の一つなのでしょう。ただ、文章とはちょっと違う視覚的表現。そこに絵を入れるのは、脳の使い方をちょっと変えるため。たぶん、右脳をちょっと刺激するためではないかと思います。言語はロジカル。言語は左脳。

    それに対して、絵はイメージ。アイコン。象徴。絵画としての絵ではなくて、マインドマップで使用する絵とは、何らかの概念の表現。イメージをふくらますためのトリガー。上手である必要はないように思います。

    要は自分が分かればよい。違うかな。自分でマインドマップって面白いと思って、実際書いてみて、それを人に見せたんですが、よくわからないといわれました(笑)。私の発想が独創的なのか、それとも単なる独りよがりなのか。わかりませんが、そんな経験から、私にとってのマインドマップは自分のためのもの。

    他人に伝えるためには、たぶん、私には文章で表現した方がまだ分かりやすい。でもマインドマップはなんていうか、ぱっと見で分かる。直感的にわかる。全体が俯瞰できる。私にとってはそんな道具です。

    パソコンでマインドマップを書くためのソフトもあり、使ったこともありますが、なんか、手書きの方が味がある感じがします。それもたぶん、手書きの方が右脳を刺激するからではないかな。

    でも、どうぐなんだから、マインドマップのために絵を描くことにこだわる必要はない。その通りだと思いますね。自分で分かればいいんだもんね。

    なんか、カタチとか、手法にこだわる人が、無理してマインドマップ使う必要ないんじゃないの?とか思ったりしちゃいました。

    グラフィック・ファシリテーションとマインドマップの対比って、確かになんとなく共通項があるようで、おもしろかったですが、私的には、マインドマップって自分のためのもので、GFは、人と共有するためのものっていう気がする。

    そして、GFが議論の場の雰囲気を写し取るもの、という点にも共感しました。流れというか、プロセスを残すための手段、というか。まあでも、議論の一言一句を残すものではなく、重要なポイントを残すもの。熱くなったところを残すためのもの。プロセスの記録。本質を切り出して保存するためのもの。それがGFだという感じがします。

    そしてその場にいた人たちの間で、共通の体験の記録としてのもの。逆に言うと、その場にいた人にしか共有できないもののような感じもします。結果ではなくプロセスだから。

    なにか、今回もたくさん刺激をもらったので、長文書いてしまいました。

    けど、ゆにさん、文章うまいと私は思いますよ。伝えるのが上手だもん。右脳と左脳のバランスが良いのかしらん。

    Commented : #1  くろめがね (2008/04/12, 23:56)

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