グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。さて,今回はもっとも多かった「絵心がないんですけど,自分でも絵が描けるようになりたい」という方々の質問に答えてみます。
いつも本当に多くの方から「どうしたら絵が描けますか」「描くコツを教えてください」という質問を受けます。最初のころは「ルールはないのでとにかく鉛筆を動かせばいいんですよ!」と返事をしていたのですが,
- 「スケッチブックとか,色鉛筆とか,絵の描き方の本とかだけは買い揃えているのに,実際何も手がついていない状況です。何をどう描いていいか分からないし,下手だから…。一歩が踏み出せないでいる感じです」
「『マインドマップ』にもっと絵を活用したくて練習しているところなんです」と実際にノートを見せてくださる方々もいます。それがまたとても上手! それでも「実際みんなの前に立つと,なかなか描けないんです」とのこと。
あまりにも多いこうした声に,みなさんが納得のいく返事ができず,私自身もどかしさを感じるようになりました。何か伝えられることがあるはず…。でも一方で,みなさんが知りたがっていることと,私が伝えられることには何かズレもありそうな…,ウウウ~ン…。
「趣味としてではなく,実際にビジネスの現場で絵を描けるようになりたい」。けれど,同時に多くの人が二の足を踏んでいる。ならば,その理由を解明して,1つでも,絵を描く方法や,もしくは,絵筆を持たなくても普段の議論で使える考え方をここで紹介したいと思いました。これから数回に分けて,いただいた質問に答えながら,納得してもらえる解答を探してみます。
今回,1回目は,中でも特に多い『マインドマップ』を実践されている方々からの質問に答えてみます。
あなたはどんな絵を描きたいと思っていますか?
Q1:『マインドマップ』は,脳の発想を促進するために,文章でなく,単語の連鎖や絵を使って記述する方がよいといわれています。ゆにさんの『グラフィックファシリテーション(※以下「GF」)』も『マインドマップ』みたいなものですか?
- A1:『マインドマップ』は「言葉」を拾う?
GFは「発言を取り巻く空気」もいっしょに拾っています。 実際に私が描く様子や絵を見たことがない方からは,他にも「『リッチピクチャー』や『見える化』みたいなものですか?」といった同様の質問をいただきます。実は,こうした絵や図で表現する手法が様々あることを,私はこの連載を始めるまで知りませんでした。
そこで,『マインドマップ』を実践されている方の言葉を借りると,「『マインドマップ』は発言を"キーワード"や"言葉"のままで拾うのに対して,ゆにさんは発言から誘発される"イメージ"を拾っている感じ」だそうです。

確かに,以前のQ&Aで「キーワードを拾っているんですか?」という質問をいただいたとき「キーワード」という言葉に私は違和感を感じました(※詳しくは第9回をご覧ください)。私の感覚としては,「キーワード」という単体で抜き取るというよりは,例えば「今いいこと言ってるなあ」とか「みんながなんか盛り上がってるぞ」というように,まさに発言を取り巻くその場の空気に反応して,その"流れ"や"固まり"で捉えている感覚に近いからです。
Q2:『マインドマップ』でもっと絵を描けるようになりたくて,今年は絵の訓練をしたいと思っています。参考になりそうなことがあったら是非教えてください!
- A2:『マインドマップ』で必要な絵は"アイコン"や"マーク"?
それなら「画像検索」で練習してみては? 『マインドマップ』で描きたい絵とは,「文字」で書いたものを「絵」に置き換える,もしくはその「文字」から連想したことを「絵」にするイメージでいいでしょうか?
だとしたら,画像検索に向いていますね。
画像検索サイトでその「文字」=「キーワード」を入力して検索すれば画像が出てきますから,それを参考に,「文字」に後から絵を追加していってみてはどうでしょう? GFで描く絵は「シーン」であることがほとんどで,そこには会話や感情など様々な要素が盛り込まれてくるので(例えば,カスタマーセンターに問い合わせたユーザーがオペレーターと話したことで怒りが治まっていく様子など)画像検索に向いていないのです。
『マインドマップ』で描きたい絵が,シンプルなマークやアイコン,挿絵的な単体のイラスト画のようなものであれば,他の練習アイデアとしては,例えば電車を待っている間に指示標識のイラストを参考に描いてみる,雑誌やフリーペーパーで使われているアイコンを真似して描いてみる,といった練習もできそうですが,どうでしょう?
ただ,最初は『マインドマップ』を描いている最中に,無理に描こうとしないほうがいいと思います。描くことに意識を取られて,議論や頭の中の発想を拾い損ねては本末転倒です。文字だけで仕上がった『マインドマップ』をもう一度見直しながら,絵を描き足していく。そのほうが,手当たり次第に絵の練習をするより,はるかに近道かと思います。


