モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第12回 ビジョンを絵にして共有したい!~自分でも絵を描いてみたいけど絵心がないと思っている人へ(2)~

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4 分

「語りたくなる」

A3-④ 完成度の高さよりも「未来図」の大事なポイントは
「ストーリーテリング」される絵かどうか

とはいえ,例えば全国の拠点に居る従業員全員の手元に「未来図」を配りたい場合,完成度の高い絵に仕上げたくなるのは当然です。実際に,海外に工場を持つあるメーカーでは,その会社が歩んできた創業からの道を描いた大きなポスターが,世界中の工場に貼られてると聞きました。

ただ,その絵の素晴らしさは完成度の高さもさることながら,本当にすごいのはどの国の工場スタッフもその絵を見てその会社の歴史を「語れる」という点だと思うんです。

新人スタッフが入ってくると,先輩スタッフがその絵を使って「語る」んだそうです。その絵には,そのメーカーにとって忘れてはならない過去の失敗も描かれているそうです。⁠語る」ことによって,新人スタッフだけでなく,先輩スタッフにもその行動指針が浸透していく様子が想像できます。

GFでも,描いた絵を後日「ストーリーテリング」していく効果を味わってほしいと思っています。例えば,研修で描いた絵を後日,部署の壁に貼り出してもらったとき,研修に参加しなかった人に「この絵は何?」と質問されて,研修に参加した人が「ストリーテリング」を始めました。聞き手は,参加しなかった研修の時間を共有しました。話し手は,再び自分の言葉で,研修で起きたことを語って,改めて自分の中に新しい発見や確認をしました。周囲への伝播と同時に,自己浸透が深まる効果があるんです。

「ビジョンを絵にしたい」という声が高まる中,いつも「ビジョンって一体どんな絵なんだろう?」と考えていました。

「ストーリーテリング」される絵,⁠共有した時間を語ることができる」絵。それは絵でなくても,先ほどの文字をつなげただけの「スライドショー」でもいいんです。⁠他の人にも語りたくなる」スライドショー。

「いいビジョンが描けた」とは,そんな「語りたくなる」ストーリーが描かれているものなのではないかと感じています。

Q4:絵心がないと,頭にも上手く描けないってことあるんでしょうか。だとしたら,絵を習いたいと思いました。

A4:絵筆を持たなくても「思い描くコツ」「時間」を振り返ること。
「時間」を振り返るには,文字でもできる

「思い描く」って,なんだか「突然ひらめいた!」というようなイメージがあるのかもしれませんね。でも実際は,一枚の絵を描くに至るまでの「時間」「ストーリー」は無視できないものだと実感しています。それは言い換えれば,⁠ある日突然,理想の未来図を頭に思い描くなんてことはだれもできない」ことだとも思うんです。

一枚の絵やキーワードにまとめるということは一見,便利で伝わりやすいように思えますが,実際には,必ずだれかが,そこに至るまでの試行錯誤を繰返しているわけで,⁠突然ひらめく」なんて都合のいいことはないんじゃないかと思うんです。

GFでもっとも大事なのは"絵巻物"という「時間」を振り返ることです。そしてその中に「未来図」の候補になる絵,みんなの意識をグイッと1つにする絵を見落とさないことです。その鍵となる絵を抜き出してつなげて,初めて「これが未来図に近いかも」というものが見えてきます。

それはまだ「未来図」を探している道の途中であることがほとんどですが,つないだことで,少しずつ「こうなったらいいな」⁠こうあるべきだよな」と自分の頭で未来図を思い描けるようになっていきます。

理想のビジョンを探して「一緒に歩いて」いきさえすれば,メンバーはそのうち自ら「未来図」を思い描き始めます。もし自分で「思い描く」訓練をしたいと思うなら,議論や自分自身の試行錯誤をとりあえずメモして記録して,見返してみることにつきると思います。すると必ず何度も言っている言葉や,どうしても捨てられない言葉に気付くはずです。それらを拾って,つないでみれば,おのずと次の一歩が「思い描ける」のではないでしょうか。

さいごに,今回の私の記事を,私なりに「言葉」だけでつないでみます。

  • ① GFは→未来図を探している過程を描いた"絵巻物"
  • ② "絵巻物"は→不完全
  • ③ 完成した未来図は→メンバーは要らない
  • ④ メンバーが欲しいのは→⁠時間を共有する」こと
  • ⑤ ⁠時間を共有する」⁠⁠ストーリー」が生まれる
  • ⑥ ⁠ストーリー」があると→⁠未来図」を思い描ける
  • ⑦ ⁠未来図」は→みんな"じぶんで"描きたい
  • ⑧ みんながじぶんで描きたくなるために→共に探して歩く「過程」が大事

みなさんなら,どうつないでみるのでしょうか?

さて,絵筆をもたなくても「思い描く」コツをあえて探してみましたが,いかがでしたでしょうか? 次回も,もう少し"思い描く"思考のヒントを探ってみたいと思っていますので,楽しみにしていてください。ということで,今日のところはここまで。グラフィックファシリテーターのゆにでした(^-^)

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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