モヤモヤ議論にグラフィックファシリテーション!

第41回 未来志向なチームに変身するには「事前の安全設計」でネガティブ議論

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こんにちは。グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこです。

前回触れたとおり,まずは一人一人の「ネガティブな気持ち」を吐き出させること。一人で抱えていた愚痴や不満や違和感をみんなで共有してしまうこと。それがじつは結果的に速くチームの心を一つにします。一人一人を本当の意味でポジティブに立ち上がらせます。未来に向かってチーム本来の力を発揮させることができます。

しかし,多くの会議でネガティブな発言というのは聞き流されるか,否定されるか,そもそも発言すらさせてもらえないといった扱いをされています。そうした扱いがじつは堂々巡りの話し合いを引き起こしていました。

本当に"効率のいい"会議をしたくて「ネガティブな気持ち」を吐き出してもらっても,⁠何の準備も無いまま」吐き出させさると,ネガティブな状態から抜け出せなくなる。そんな"非効率な"会議と紙一重なのもまたネガティブな発言の特徴なのです。

そこで今回は,⁠ネガティブな気持ち」を吐き出してもらうときにぜひ実践してほしい「事前の安全設計」についてご紹介します。ネガをポジに変えられるか,ネガのままか。みんなの気持ちを1つにできるか,できないか。その違いは,事前にある2つの視点で準備したかどうかの差で決まっていました。

1)話し合いがうまくいかない2つの理由

そもそも「何の準備も無いまま」会議にのぞむと,ネガがネガから抜け出せなくなることに気づいたのは,ある共通の絵が描けてきたことです。それが下の絵。

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[二本の線]とそれに挟まれた[モヤモヤ]⁠右上には[太陽]という絵です。⁠事前設計」が甘い(ネガティブな発言に対して何の準備もされていない)対話の現場に何度か立ち合ったとき,必ず描けてきた絵。このモヤモヤは次のような発言を聴いて描けてきます。

  • 「そうはいってもねえ…」
  • 「それでなくても人が足りないのに,今以上に業務が増えると…」
  • 「理想はそうだが,実際,社内や現場を巻き込むとなると…」

モヤモヤは,会議の参加者たちの「吐き出し切れていない気持ち」の固まりです。普段の会議では,わざわざホワイトボードに書き留めるほどの発言ではないでしょうが,絵筆では拾ってしまう,思わずつぶやかれた,ちょっと後ろ向きで,否定的な,心の声です。

右上の[太陽]はこれから進みたい未来を表しているのですが,話し手たちの目線はそちらに向くことなく,目の前の課題や問題を見つめたまま,モヤモヤと議論を繰り返しているという状態を表しています。

話し合いが,行き詰まり,堂々巡りをしている理由は,この絵から明らかでした。それは次の2つ。

  • [1]参加者が未来を見るより,目の前(または過去)のことを議論するのが大好きだから。
  • [2]参加者がネガティブな気持ちを吐き出し切っていないから。

つまり裏を返せばこの2つの視点に気をつけて準備さえすればネガティブループには陥らず,もっと速く一人一人に未来行動を引き起こせるのです。しかし多くの会議では,この2つが原因で,会議がうまくいってないという認識はまずありません。そこでこの2つの原因が,いかに非効率な会議を引き起こしているかについて掘り下げてみます。

2)[未来]のことより[目の前]のことが大好き

まず「未来に目を向ける」ということは,ほとんどの会議が苦手としているということです。⁠未来]の議論をしているつもりでも,できあがった絵を見比べてみると,⁠今,目の前]の課題や[過去]の問題について描いた分量のほうが圧倒的に多いのです。

いや,苦手というよりも,どこか[目の前]の問題や課題を議論しているほうが皆さん居心地よさそうと言ったほうがいいかもしれません。

その証拠に先ほどの絵の[二本の線]に注目してください。まずは上の線。これは「そうはいっても無理だよ。できないよ…」という声からできました。

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  • 「実際,採算性を考えるとムズカシイ」
  • 「事業化するのは,そうはいってもムリ」

何か見えない壁がそこにあるかのようで,その壁に跳ね返され,次第にモヤモヤが吹き溜まっていく。議論を重ねているけれど,じつは"ある一線"を越えようとしていない,一向に未来に近づいてない状態。そんな上の線を「can'tの壁」と名付けました。

一方,モヤモヤが吹き溜まる下の線を「can できるライン」「現状維持ライン」と呼んでいます。この「現状維持ライン」の上では,自分自身のモヤモヤで,どんどん視界不良になっています。 会議室からも実際,こんな声が聴こえてきます。

  • 「話の方向性が見えない」
  • 「みんながどうしたいのか,はっきりしない」

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そして,そう言いながらも、その状態から抜け出そうとはしてこない。どこか目の前の課題や問題点を議論しているほうが居心地がよさそうなのです。

著者プロフィール

やまざきゆにこ

様々な議論の現場で,グラフィックファシリテーション(=グラフィックレコード+グラフィックフィードバック+グラフィックダイアログ)を実施する。300人超のシンポジウムから,企業も国籍も違う参加者の集まる研究会,組織を横断したプロジェクト,経営者・リーダークラスのビジョン研修,組織研修,顧客との協働プロジェクトなど多岐に渡る。企業・組織の事業判断・意思決定,プロジェクトや個人の意識・行動変革の一助になればと"絵筆を持って"活動中。

グラフィックファシリテーター(graphicfacilitator)は,やまざきゆにこの商標登録です。

グラフィックファシリテーション.jp:http://www.graphic-facilitation.jp/

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