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第18回 突然つながる発見

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検印,署名,蔵書印,蔵書票…

逆にいえば,一般的な本でない本には,検印を押してあったり署名が入っていたりするのです。喜国雅彦の『本棚探偵の冒険』も,初版には検印が押してありますし,⁠本棚探偵の回想』には,蔵書票がついています。

本に蔵書印を押すのは,その本との間に特別な関係を構築する行為です。モノは,壊れることでしか個性を発揮し得ないし,不完全である故にいとおしさが生まれるのではないでしょうか。傷こそが経験を経験として刻印しうるのだと思うと,それを傷と捉えるか思い出と考えるかは,同じ行為を前にして正反対の立場に立つことであろうと思います。

そういうものに興味があるから,蔵書印を押すのであるし,検印に目が留まるわけです。単になんでもかんでも押しまくっているというわけではないし,ばらしまくってスキャンしているのではありません,と,なんかいいわけみたいですけど,ともかくスキャンの直前に本を見ると,いろいろなことに気づきます。

川上弘美の『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』(平凡社)にも,検印があるのに気づきました。蔵書印を押したら,奥付に「川上」と青い小さな印鑑が押してあったのです。まごうかたなき検印でした。ほかの本には押されてません。なぜにこれだけ? 川上弘美さんに取材して聞いてみたくなりました。年内は無理ですかね。ふむ。

などといろいろなことに気づくものです。

喜国雅彦『本棚探偵の冒険』⁠本棚探偵の回想』

喜国雅彦『本棚探偵の冒険』『本棚探偵の回想』

『本棚探偵の冒険』には検印が,⁠本棚探偵の回想』には蔵書票がついています。

喜国雅彦『本棚探偵の冒険』の検印。

喜国雅彦『本棚探偵の冒険』の検印。

上は筆者の蔵書票。下が検印です。

喜国雅彦『本棚探偵の回想』

喜国雅彦『本棚探偵の回想』

『本棚探偵の回想』の蔵書票。凝ったつくりです。こういう本は大好きです。

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

先日ふと,建石修志の個展を見に行ったら,旧トレヴィル関係の本が大量に出ているのに気づきました。両手に抱えるほど買って帰ってきたそのうちの1冊を開いたら…。

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

ミルキィ・イソベ氏は『本棚探偵の冒険』⁠本棚探偵の回想』の装丁をなさったらしい。

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

ミルキィ・イソベ監修『紙から読み解く本づくりの極意 造本解剖図鑑』DTPWORLD ARCHIVES

で,⁠本棚探偵の冒険』⁠本棚探偵の回想』は,昭和初期の雰囲気を出すために,新バフン紙というざらついた紙を使っていると解説されてました。いろんなことがつながるものです。ほんとに。

川上弘美の『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』

川上弘美の『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』

なにげなく手にとった一冊。

川上弘美の『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』

川上弘美の『東京日記2 ほかに踊りを知らない。』

ここにも検印が!

川上弘美はコンプリートをめざしています。

川上弘美はコンプリートをめざしています。

ほかの本には,検印の影もかたちもありません。

著者プロフィール

美崎薫(みさきかおる)

夢想家,未来生活デザイナー,『記憶する住宅』プロデューサー,記憶アーティスト。住宅,書斎,机をはじめ,ハードウェア,ソフトウェアの開発をプロデュース。著書『デジタルカメラ2.0』(技術評論社)など多数。