実践!GTD~一歩先の仕事管理
第10回 Somedayリストと「自然に計画するためのモデル」について
自然に計画するためのモデル
自分のしたいことがあっても,あまりに漠然としていたり,大きな内容すぎて,手をつけられないようなことがあります。これを,具体的なプロジェクトにするための考え方として,GTDは「自然に計画するためのモデル」を提供しています。ここではその内容を簡単に紹介します。
自然に計画するための5つのステップ
計画というと,ものすごく緻密な計画が必要と思いますが,数年~数十年の大規模プロジェクトならともかく,私たちが生活で頻繁に接するプロジェクトでは,もうちょっと手軽な計画でも問題ありません。また,ある流れに沿って考えると,考えやすい順番というものがあります。GTDの「自然に計画するためのモデル」は,この二つができるようにまとめられたステップです。
「自然に計画するためのモデル」は5つのステップから構成されます。
- 目的と原則を定義する
- 結果を思い描く
- ブレインストーミングする
- 整理する
- 次の行動を明らかにする
つまり,「どうして,何を,どんな風に,どこから始めようとするのか?」について考えるわけです。今回は,「友人と秋の味覚を堪能する」というSomeday項目を,「自然に計画するためのモデル」で展開しながら説明していきます。
次の図は,「友人と秋の味覚を堪能する」というSomeday項目を,「自然に計画するためのモデル」を使って展開した例です。
1.目的と原則を定義する
自然に計画するためには,まずそのことの目的と原則を決めます。目的は端的に言えば,それを何のためにするのか,ということです。原則は,これだけははずせない,ということです。原則は自分で意識して考えなくても決まっていることがあります。それをこのステップで,明確に理解しておきます。
例えば,「友人と秋の味覚を堪能する」では,目的は友人と楽しみたい,秋においしいものを食べたい,というのがしたい理由があるでしょう。次に原則についてです。目的を鑑みると,そもそも友人と一緒に楽しまないことには,意味がないことがわかります。つまり,「友人がいる」ということが原則に当たります。次に,楽しむにしても今回の目的はおいしいものを食べることです。最悪,秋においしいものじゃなくても,とにかくおいしい物を食べさえすればいい,という原則でもありです。
目的と原則は密接に関わっているため,同じタイミングで考える必要があります。この例のように,目的=原則ということもありますが,そうではないこともあります。自分がどうしてそれをしているかわからなくなった時にも,「そもそも自分は何をしたかったんだろうか?」と,自分自身に訊ねてみるのも,よいかもしれません。
2.結果を思い描く
目的と原則が明確になった所で,ようやく結果をイメージします。結果とは,マラソンで言うところの,ゴールテープはどこにあるか,です。テレビショッピングなどでよくされている,商品を使ったらどのような状態に変化するのか,というところをイメージするのがここの役割です。
例えば,「友人と秋の味覚を堪能する」で,目的・原則は,友人がいることと,おいしい物を食べることと決めたとします。ここから結果を膨らませていきます。友人がいるわけですが,一緒にいる友人は具体的には誰ですか? 堪能している場所はどこですか? どこかの山や川や村ですか,それともどこかのレストランですか? あるいはハイキングをしての楽しいひと時ですか? 友人と何を食べておいしいと言っていますか? 栗ですか? 柿ですか? それともお肉ですか? そこでは何を着ていますか? 山や川にいるならカジュアルな姿ですか? レストランだったら正装ですか?
誰と誰とが,どこで,何をしているのか? そこでどんな風にしているのか? いつ行っているのか?――そんな質問をしてパーツを決め,さらにそこから具体的に肉付けをします。ある瞬間の幸せな風景を,よりリアルに思い描きましょう。
3.ブレインストーミングする
結果を思い描いた後は,それをネタとしてブレインストーミングします。今まではゴール状態の部分しか詳しくは確認できていませんでした。しかし,ブレインストーミングで膨らませるのは,ゴールもそうですが,ゴールに至るまでの全ての過程においてです。ここで,全ての過程においてイメージを膨らませ,ゴールまでの道筋をより具体的にできるように,考えるためのパーツを準備します。
結果を思い描くことが,マラソンで言うところのゴールを決めるなら,ブレインストーミングは,ゴールまでの道のりを決めるための判断材料を集めることです。そして,実際に決めるのは次のステップです。
例えば,「友人と秋の味覚を堪能する」で,結果を決めたところで,それを実施するための準備する方法などを考えていきます。山や川に行くと決まったら,どの山や川に行くのか? 歩いて行くのか? その際にはどんな物が必要なのか? そういえば靴はあったのか? どこから歩き始めるのか? そもそも歩くのか,車で向かうのか? いろいろ考えることがあります。レストランに行くにしても,どのレストランに行くのか? 行くのが決まっていないなら何を食べたいのか? どのお店なら予算に会うのか? 参加者は何人? 日付は決まったの? ……というふうに考えを広げていきます。
4.整理する
ゴール状態に行き着くまでの道のりを決めるべく,ブレインストーミングした後は,実際に道のりを決めるために,ブレインストーミングした情報を整理します。整理する作業自体は,情報がたんまりあると,自然と実行されます。最終的に行いたいことは,GTDの処理ステップと同じです。つまり,各情報について,それが不要か必要か,必要ならば行動が必要なものかそうでないものか等の判断作業を行います。
数あるゴールへの複数の道のりのうち,進むべき道のりを一つに決めるのがこの作業にあたります。
例えば,「友人と秋の味覚を堪能する」では,ブレインストーミングした中で,山や川に行くという結果に決めた場合,車もしくは電車で行くのかを決めたり,服装を決めたり,実施日を決めたり,途中で寄る店を決めたりします。
5.次の行動を明らかにする
情報を整理し,ゴールへの道のりが決まったら,次の行動を明らかにします。次の行動とは,GTDのNextActionと同じことです。自然に計画するこのモデルが終了した後,最初に行うべき行動が決まることになります。
例えば,「友人と秋の味覚を堪能する」で,計画を立てましたが,そもそもまだ友人が参加できるかどうかが,わかっていません。そこで,次の行動は,一緒に遊びに行きたいと思っている友人に声をかけて,行けるかどうかを確認することにしました。
次の行動が決まったところで,「自然に計画するためのモデル」はこれにて終了です。
この「自然に計画するためのモデル」は,Somedayリストの項目をProjectリストに移す際に実行したり,Projectにしたけれども曖昧な場合に,「自然に計画するためのモデル」を実施すること自体を,NextActionにしたりすることで,利用すると良いでしょう。



